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毎日が山歩き 案内人 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)  50歳を過ぎてからでも楽に山歩き、愉しく山登り、のんびり山遊びが楽しめる毎日を紹介します。

講座 2008.1.17更新  

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【講座50】通年登山のすすめ


「月イチ」登山の効用

2007年、私が山に出かけたのは84回で延べ113日だった。ここ数年、だいたい同じ状態が続いている。

基本的には毎月7回、定期の山があって、そのうち2回が1泊2日。84回で108日というのがベースで、それに増減が若干ある。夏にはすこし大きな山をやるとか、年末の小屋泊まりはお休みするとか。人数が集まらなくて中止するというのもいくつかある。

何をいいたいのかというと、山に行くのは毎月の第何何曜日と決まっていて、連休も夏休みも基本的には考慮しないシステムになっている。

ふつうだったらいいシーズンにたくさん登って「悪いシーズン」にはお休みするというところ、完全にベタな計画を押し通している。

なぜそうなったかというと、私がもともとカルチャーセンターの登山講座で山歩きに関わったことによる。カルチャーセンターの講座は4〜6月、7〜9月……と3か月単位で考える。常連の生徒さんを離さないために冬も休まない。

気がついたらそういう流れに乗っていたというのが本当のところだが、1994年以来、計画から実施まで自分ひとり(付き添いの人がいる場合もあるけれど)で講座をやるようになって、参加する人にとってもその方式に大きなメリットがあることが分かってきた。
■2008年1月。私の山歩き関係の予定

正月休みの間には4月〜9月の42本の計画を決めて、この手帳に書き込んでおかなければいけない

すでに何度も書いてきた私の基本的な主張のひとつだが「月イチ」登山に驚くほどの効用があるという発見だった。

日帰りの健康登山をしている人の多くは、カレンダーにつけた予定日を、ほとんど「未定日」としているらしい。天気予報をチェックしながら、最終的に行く・行かないを決めているようなのだ。

カルチャーセンター方式では3回分の参加費は徴収されてしまって、休んでも戻らない。カレンダーの予定日は確定日になっている。よほどの不都合がないかぎり、万難を排して出かけてくるという人の集合になってくる。


 山に行く予定日を確定日にするということで、月1回の軽い山歩きが驚くほどの効用を発揮する。……なんてNHK「ためしてガッテン」の最高のテーマじゃないだろうか。

つまり、スポーツ選手なら試合日に当たるその日に、自分の最高の状態を合わせようとする努力がはじまる。

もちろん体調もだが、家庭内環境もじっくり整えていかなければいけない。山歩きはしょせん遊びだから、笑顔で送り出してもらえるように。

カレンダーにターゲットが示されたことによって、生活にリズムが生まれてくるのだろう。ドタバタの初回が、なんとなくうまくいく2回目につながり、3回目にはもう、下山後にゆっくり風呂に入って食事をして、1日を満喫して帰れるという成功例も出てくる。

肉体的にも、初回の筋肉痛が2回目、3回目と明らかに軽くなって、力がついたような錯覚にひたることができる。

だから私は「トレーニング不要」と厳しく言い渡すことにしている。未知の山に出かける不安を肉体トレーニングによってまぎらわそうとする人には見えにくい、もっと大きな効用が得られるからだ。

肉体的なトレーニングという観点からだと、月に1回の軽い山歩きの効用は何ほどのものでもない。しかし毎月のある特定日を意識した生活からは思わざる活力が生まれてくる。

山歩き自体は、前向きの意識でチャレンジすれば十分にクリアできる低い壁に過ぎない。その低い壁の前に「トレーニング」という難しいテーマをかかげてターゲットをどんどん巨大にさせるより、失敗も含めてチャレンジしてみようというほうが、どれだけ大きなパフォーマンスを発揮できるか……ということだ。

私も含めて、一流のアスリート体験のない人間は、自分の力を100%発揮する機会が1度もないまま死んでいこうとしている。あるいは今度の山が、そういういい機会になるかもしれない……というような「絶対価値」に自分をおくことができれば、その人には大きなノビシロがあるといえる。

「月イチ」の山歩きをはじめた人たちの指導に関わっておもしろいのは、その人の人生にまだたっぷり残されていたノビシロの発見なのだ。だから天気予報によって行く、行かないと決められる程度の期待感で山に出かける人に私は与したくない。

カレンダーにつけた印に「山がある」人生を明日からでもはじめてもらいたいのだ。


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