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毎日が山歩き 案内人 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)  50歳を過ぎてからでも楽に山歩き、愉しく山登り、のんびり山遊びが楽しめる毎日を紹介します。

講座 2007.1.31更新  

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【講座31】寒さより冷たさ対策


冬の服装

冬の山歩きというと一般的には「冬山登山」とイメージされるが、ここでは「樹林帯の雪山歩き」までをターゲットにしたい。スノーハイキングとか、スノートレッキングと呼ばれるものがおおよそそれに重なってくる。

技術的にいうと、雪崩の危険がなく、滑落停止の技術も必要ない領域の冬山ということになる。

たとえば北八ヶ岳。岩稜の南八ヶ岳は雪氷登攀の世界だが、森林限界とされる標高2,500m前後までの高さにありながらオオシラビソなどの樹林に囲まれている北八ヶ岳はきわめて安全な冬の山歩きを可能にしてくれる。

日本海側は雪国で1週間連続して晴れるということはありえない。しかし太平洋岸では、冬型の気圧配置が続く限り晴れの日が続くと考えていい。だから本州中央部の太平洋岸の標高2,000mまでの山であれば、晴天の、展望絶佳の、歩きやすい雪の山を想定して技術的対応を考えることができる。そのとき一番心配するのは寒さより、雨が降る場合。冷たい雨は体を冷やす危険に直結する。

■浅間・水ノ塔山山腹で ― 2006.2.9

浅間外輪山に連なる標高2,000m前後の高峰高原で、深い雪と戯れる。空が晴れて、地吹雪が舞うというのは太平洋側の冬の山としては最高の気象条件といえる。

東京都の最高峰・雲取山(2,017m)などはまさにその冬の山歩きのためにあるような山といえる。ドカ雪の直後に三峰神社から登ったときにはさすがに時間もかかったし、疲れもした。しかし、積雪後の休日には先陣争いの登山者がかならずいるので、道は踏まれている。手のひらにのる4本歯の軽アイゼンで夏よりよほど楽に歩ける。そして富士山の展望絶佳。

真冬に標高2,000m級の山に登ると、高度差だけで平地より約12度C下がるので、気温はもちろん氷点下になる。しかし体験的にいって、マイナス10度C以下になることはきわめてまれだ。

冬型の気圧配置では強い北風が吹く。上州の空っ風に代表される風が身を縮ませる。早朝、家を出て駅で電車に乗るまで、その冬の寒さに凍える。

しかし山で、それ以上寒いと思った記憶はあまりないのではないだろうか。錯覚なのだが、冬の山歩きの寒さ対策を考えるうえでのいわば要となるところだ。

まず第一に、登り道ではほとんど風に吹かれない。例外もないではないけれど、登り斜面は山ひだの一枚であり、風の通り道になっていないと考えていい。峠に出ると、そこが風の通り道になっていて、止まって休憩したくないというようなことが多い。霧氷がついた日など、風の通り道が白い刷毛目のように示されるので、風の当たる場所、当たらない場所がよくわかる。風の道はけっこうデリケートだ。

山頂に立つと上空を吹き抜ける北風がビュンビュン吹いている……と考えるのがふつうだが、そういう期待(?)を裏切られることも多い。川の流れでいえば、水面近くの岩の頭よりも流路の中心で深いところにあたる鞍部(峠)のほうが流れが強い……のかもしれない。山頂での休憩が想像以上に快適だったということが、北風の中でもよくある。

もちろん、気温が5度Cを割り、風もあるとなれば、登りが終わったところでウインドブレーカーを羽織る。ゴアテックスなどの透湿防水スーツをウインドブレーカーとして羽織れば、風に対する防御態勢はかなりしっかりしたものになるから、「意外に寒くないじゃない?」ということにもなる。

登りは汗をかかないようにしているけれど、下りでは体を冷やさないようにしたい。山歩きでは同じ服装で全行程歩くというのはほとんど考えられない。山頂での寒さをあまり記憶していない理由のひとつは、そこで防寒対策を強化してしまうからともいえる。

冬も毎月10日前後山歩きしている私の場合、速乾性の半袖Tシャツとブラウスシャツ(山シャツ)は通年仕様。それにフリースの薄いシャツを加えて、必要ならウインドブレーカーとして雨具を着る。

下は、昔はウールのズボンやニッカーボッカーをはいたものだが、いまは夏冬兼用の速乾性ズボンで押し通すという考え方の人が多いのではないだろうか。内側にはくタイツで保温力を調節する。それだって、冬山登山用のものをはくと、登りでびっしょり汗をかく。

首都圏の日帰りの山では気温が氷点下になることはほとんどなく、晴れていて雑木林は葉を落としているから、日だまりハイクはポッカポカ、半袖Tシャツ1枚になったりする。タイツは登山用の速乾性のものが必要だが、薄手で十分なのだ。

私は標高2,000m級の山にも出かけるので、ダブダブのフリースのズボンを予備としてもっている。山小屋で寝るときにも使えるが、寒いときに重ねばきして、ウインドブレーカーとして雨具をつける。これでマイナス10度Cまで対応する。

要するに、行動着として冬に付け加えるのは速乾性の薄いタイツと、薄いフリースシャツということになる。

そして非常用としてフリースのズボンがあればほぼ万全。あとは家を出て電車に乗るまでの防寒用と、山を下りてからの快適を考えての保温ジャケット。私などは周囲の目に薄ら寒い印象を与えているようなので、暖かそうな雰囲気のアウタージャケットがあるといいのではないかと思う(山歩きのときには不要だけれど)。


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  【研究31】三ッ峠山 「写真で見る山の歩きの魅力」
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