靴と足のスキマ・ビジネス
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| ■9月にオープンしたホシノ・フットデザインスタジオ。オフィスは星野企画時代からこのビルの5階 |
予告には「Flying foot」と出ていたはずだが、ふたを開けたら「POWER +」になっていた……というのでガッカリされた人はいないと思うけれど、まずはお詫びを。それについてはあとで説明したい。
もっといえば、「えっ! ホシノ?」という人が多いのではないかと思う。今年(2007年)のカタログでも「有限会社星野企画」に「株式会社ホシノ」というラベルを貼っている。なあんだ、そうか、という人も多いだろう。
ある日、JR山手線の御徒町駅から湯島天神の方へ歩いていった。地下鉄千代田線・湯島駅のほぼ上に当たるらしいが、そこに「健康な足を見つけるお店」というのがあった。英語で FOOT DESIGN STUDIO とも。入口のマットに Flying Foot とあった。こまかなことをいうようだが、カタログのほうは Flying foot と「f」が大文字になっていない。それに象徴される大小の混乱がホシノをおもしろい会社にしていると考えることになる。
店ではふたりの男性が迎えてくれた。星野秀弘さんが社長、根本貴志さんが店長。店長はすぐに私の足を見て、中敷きにグラインダーをかけているらしい音がして、仕上がったものをもってきた。
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| ■社長の星野秀弘さん。たたみかけてくるときの星野さん。背景は補正インソールのパワープラスとバランスプラス |
ちょっと大きめで歩きにくい革靴をはいていたのだが、それがピタッと足にフィットした。さすがベテランは、ひとめ見ただけでここまで分かるのか。
「もう片方やりましょうか」
それは断ったのだが、簡単な調整であそこまでできるという技術に対する信頼感はかなりのものとなった。外反母趾でもひどくなければ補正できるという。
その店長は、その筋ではなかなかの顔らしい。ICI石井スポーツで登山靴とスキー靴を担当してきたという。たった3カ月前、この店のオープンと同時に店長となったという。
さて、この小さな店にあるのは第一にゴルフシューズ。第二にソックス類。それが全部5本指という感じ。そして靴の中敷き、店ではそれを「補正インソール」といっている。
もちろん私は登山靴に関する取材のつもりで来た。ゴルフシューズの店だと直球勝負にはなれないという感じがした。
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| ■店長の根本貴志さん。かかとの骨が正常に体重を受け止めるように調整するのが基本的な仕事だという |
なぜ、ゴルフシューズなのかの前に、星野さんは御徒町駅前に本店のあるアートスポーツを現在の社長とふたりで創業したという。1969年のことだった。バブル期の拡大路線に反対して袂を分かち「星野企画」を立ち上げたのが1996年。
まずはアートスポーツ時代に力を入れていたスキー靴の流れで、足と靴のスキマにターゲットを定めたという。
星野企画はコクーンクラブというブランドを立ち上げて、5本指ソックスを売り出した。最初のカタログ(1997.3)は「足のスペシャリストを目指します」と宣言して、5本指ソックスを28種類並べている。そして、それだけ。A4版12ページの立派なカタログが、5本指ソックスだけで終わっている。
目的はたぶん、会社自体の独立宣言だったのだろう。こんなふうに書かれている。
――現在好評を得ている5本指ソックスシリーズに続いて、「肌にやさしいサポーター」「足にやさしい靴」「足のアーチを守るフットサポーター」等々、足の快適と健康作りのために研究と製品開発をしています。――
同時に具体的な予告もある。
――試作とテストをくり返している開発中のスーパーゴルフシューズ('97/9月又は'98/4月発売予定)――
その('97/9月又は'98/4月発売予定)という表現が、やはり星野さん的だと感じた。ちなみに星野さんが用意してくれていた商品カタログが、この創業時以来現在までの全カタログ細大漏らさずという完璧主義というか、正直というか、おおらかというか、こまかいというか。
……ということで COCOON CLUB (コクーンクラブ)がホシノの「5本指ソックス」のブランドとして現在まで続いているが、 COCOON CLUB はどうも、5本指ソックスと補正インソールと「20,000ヤードGOLFシューズ」の3点セットで成立しているらしい。
そのゴルフシューズは最初三越のゴルフ用品売り場でオリジナルブランドとしてデビューしたという。
「アートスポーツ時代からのお得意さんに、三越の仕入れ責任者の方がいらっしゃった」ということだが、1998年、予告どおりにスーパーゴルフシューズを足にフィットするイージーオーダーシステムとして展開するのに成功した。
ホシノのコクーンクラブ・ブランドはゴルフシューズを軸にして順調に立ち上がったようである。


