見ても甲斐駒、登っても甲斐駒
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| ■振り返ると地蔵岳のオベリスク――2000.9.14 仙水峠から駒津峰への登りにかかる。振り返ると鳳凰三山の稜線がチラリと見えた。特異な岩峰は地蔵岳の山頂にそびえるオベリスクだ |
日本に駒ヶ岳は14山もあって、しかもなぜか名山が多い。そのなかで甲斐・駒ヶ岳は登山者がもっともあこがれる存在と言っていい。なによりもまず、JR中央本線や中央自動車道からの眺めが印象的だ。JRでいえば小淵沢駅周辺でもっとも接近する。
本州中央部を真ん中でバッサリ東西に切り分けているフォッサマグナ(大きな窪み/中央地溝帯)周辺には妙高山、八ヶ岳、富士山、箱根山、天城山などが北から南に並んでいて、その西側に糸魚川・静岡構造線と呼ばれる明瞭な外縁が見られる。それは北アルプスの東麓と接していて、南アルプスでは甲斐・駒ヶ岳から鳳凰三山の東麓と接している。
したがって甲斐・駒ヶ岳はJR中央本線から見ると、南アルプスの前面の顔というべき存在になっている。
じつはこの駒ヶ岳が広く甲斐・駒ヶ岳と呼ばれるのに対して、伊那谷では東駒ヶ岳と呼ばれたという。西駒ヶ岳が中央アルプスの木曽・駒ヶ岳で、甲斐・駒ヶ岳は見上げても特別な存在感を示しているわけではない。
信州側はいまJR飯田線の伊那北駅または伊那市駅からバスで高遠駅へ。乗り換えて戸台口へと入り、そこから一般車両通行止めの道を旧長谷村(伊那市)のバスで北沢峠へと入る。
それに対して甲斐側はどうなっているかというと、芦安(南アルプス市)から夜叉神峠をトンネルでくぐって、野呂川の絶壁を削ってつくった南アルプス林道が広河原まで延びている。大規模な崩落事故がときおり起きる危険な道で、もちろん冬期は閉鎖される。またピークシーズンにはマイカー規制もあるが、北岳の登山口となっている大河原までは車で入れる。一般車は10人乗車までの普通車のみが通行を許されているのだが、大型車では甲府から広河原行きの路線バスが通っている。
広河原からは旧芦安村(南アルプス市)のバスが北沢峠へと運んでくれる。
標高約2,100mの北沢峠までバスで上がれてしまっても、甲斐・駒ヶ岳は簡単な山ではない。駒津峰(標高2,752m)手前までは樹林帯だから天候にもあまり左右されずに登れるが、それから先は花崗岩の白い岩肌とザラメ砂糖のようなこまかな砂礫の道。風や雨に直接翻弄される。
しかし特別に高度な技術を要求されるところはなく、きちんと歩けば山頂に立てる。
あとは時間だ。甲斐側、信州側のどちらへ下るにせよ、最終バスは午後2時前後。それまでに北沢峠へ帰り着かなくてはいけないのだ。
そこで逆算して、小屋で朝食はとらずに、日の出の1時間前に出発。ライトをつけずに歩ける程度の明るさはあるから、曙の空を楽しみながら登っていくと日の出の風景が広がってくるという計算だ。その意味では仙水峠まで約40分の仙水小屋に泊まっておくと、日の出を見られるポジショニングで有利になる。
