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| 尾瀬の強力さん ― 1997.6.18 |
| 尾瀬では小屋へ日々の荷物を運ぶのは人間のようだ。大きな荷物を背負って歩く強力はほとんどが運動靴をはいている。ほぼ平坦な道なのでヘリ輸送より合理的なのだろう。 |
これから秋、尾瀬とその周辺は第一級の紅葉に彩られる。燧ヶ岳も至仏山も深田久弥の『日本百名山』に加えられているので登りたい人もいるだろう。東京からの山小屋泊まりならどちらかの山に登りつつ、山麓の湿原風景も楽しむことができないわけではない。
しかしここでは登山は省いて、湿地の木道をたどりながら尾瀬を縦走する気楽な旅を紹介したい。

……となると限りなく観光ルートと重なってくるので、シーズンのピークには山小屋も混雑するが木道も混雑する。それでも時間に余裕があれば、混雑の及ばない静かな森を抜ける楽しみもかならず得られる。
きわめて入門的な尾瀬散歩ガイドということになるが、家族や友人を引き連れてのびやかに尾瀬を歩くためのガイドと考えていただきたい。
ごく大まかにいえば、尾瀬は北が福島県の檜枝岐村、南が群馬県の片品村となっている。どちらの村も平成の大合併から逃げ切ったようだから、財政基盤のしっかりした村なのだろう。

南側からのアプローチでは片品村の戸倉という地名がキーになる。上越新幹線の上毛高原駅(あるいは上越線の沼田駅)からバスで約2時間という距離にある。戸倉から西側の玄関口の鳩待峠へ向かうか、東側の大清水まで入るかの選択ができる。
上越新幹線の上毛高原駅からタクシーに乗ると約2万円で鳩待峠まで入れるが、その場合、所要時間を80分前後に縮めることができる。道路が混むシーズンには水上温泉から奥利根経由で県道水上片品線を飛ばすこともある。

北の福島県側では檜枝岐から奥只見湖方面へ抜ける国道352号線を利用する。バスは会津田島駅→会津高原尾瀬口駅→檜枝岐中央→御池→尾瀬沼山峠と入ってくるが所要時間は約2時間半。東京からだと東武浅草駅からの快速会津田島行きで会津高原尾瀬口駅下車(所要約3時間)という直通電車があんがい便利に感じられる。

尾瀬沼山峠は南の大清水と対をなす北東のゲートウェイになっているのだが、戸倉から大清水〜三平峠〜尾瀬沼〜沼山峠とたどり、そのまま北に向かって七入で檜枝岐に出る山道が古くから沼田街道と呼ばれていたという。
尾瀬に最初に山小屋を建てたのは檜枝岐の平野長蔵という人物。明治23年(1890)に燧ヶ岳登山のための山小屋を建て、明治43年に尾瀬沼の東岸に移って長蔵小屋とした。その位置こそ、沼田街道が群馬県から福島県に入った地点だ。福島県側から尾瀬に入る人の大半は沼山峠からと考えていい。
ただし、国道の尾瀬御池から沼山峠に入る道は通年一般車両通行禁止となっていてシャトルバスが往復している。その御池は燧ヶ岳への北からの登山口になっており、燧ヶ岳の北麓をぐるりとめぐる燧裏林道の起点ともなっている。
かくして鳩待峠、大清水、沼山峠、尾瀬御池の4つがごく一般的な尾瀬への入口ということになる。
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