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毎日が山歩き 案内人 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)  50歳を過ぎてからでも楽に山歩き、愉しく山登り、のんびり山遊びが楽しめる毎日を紹介します。
日本365名山  

第21回 御嶽山

御嶽山・剣ヶ峰(おんたけさん・けんがみね)― 3,063m
木曽の御嶽山は今なお宗教色の濃い山といえるだろう。
■田の原から山頂を望む ― 2002.7.27
7合目にあたる田の原から、樹林のなかをまっすぐにのびる道をしばらく行くと、火山礫の遮ることのない登りが始まる。
白衣を着た人々の姿が多いということもあるが、単純にそれだけではない。
麓に泊まれば日帰り登山が可能になった現在でも、ずいぶんたくさんの山小屋が営業している。簡単に日帰りですまさずに利用する人がいるからだ。見た目以上に多くの人が山小屋泊まりで登っているということになる。
登山者には山小屋でも、白衣の人々には宿坊というべきか。
写真にある2002年7月28日の朝には、山頂でご来光を拝もうとする人数の一部が白衣の人々と見えていたが、その後、ご祈祷の段になると宗教色のない登山者は完全に少数派だということが判明した。
そういう宗教登山のインフラをそっくり丸ごと利用させてもらって登ると、3,000mの高峰にして展望絶佳のこの山が、超入門クラスの山になる。

アプローチ
JR木曽福島駅から登山口へのバスは2系統ある。王滝・御岳田の原線(王滝口)へは日に3便。御岳ロープウェイ線(黒沢口)は3便(ただし1便は土休日のみ運行)。どちらから登るにしても昼までに着きたいから、木曽福島駅10:40 → 11:55田の原(1,000円/土休日のみ)と、木曽福島駅10:40→11:41御岳ロープウェイ(500円)の2本がターゲットとなる。ちなみに運行主体が変わって、田の原へのバスは王滝村(TEL 0264-48-2001)、御岳ロープウェイは木曽町(TEL 0264-22-4287)となり、バス運賃が画期的に安くなった(ただし2006年は7月22日〜8月27日の運行。以降はタクシー利用が基本)
そのバスに乗るためには、名古屋始発9:00 → 10:23木曽福島の中央本線特急・ワイドビューしなの5号と、長野始発9:00→9:50松本9:51→ 10:00塩尻10:01 → 10:27木曽福島のワイドビューしなの6号が候補となる。
タクシーを利用する場合は木曽おんたけ名鉄タクシー(TEL 0264-22-2525)があり、木曽福島駅から田の原が約11,000円、御岳ロープウェイが約9,000円。
山小屋については研究本文にくわしく触れた。
下山後の入浴だが、木曽福島へ出てからなら駒の湯(TEL 0264-23-2288)がある。11:00〜22:00で無休。入浴料700円。食事ができ、駅への無料送迎もある。宿泊は2食つき10,500円から。
食事なら駅前のそばや・くるまや本店(TEL 0264-22-2200)が10:30〜18:00。ただし売りきれまでの営業とか。水曜定休。

ルートシミュレーション

この地図の範囲は国土地理院1:25,000地形図、飯田5号-3(きそにしの)、飯田5号-4(おんたけこうげん)、飯田9号-1(くるみじま)、飯田9号-2(おんたけさん)、でカバーされる。
赤い○印は標高50mごとに置いた半径50mの円。青い◇印は山頂から約500mごとの水平距離。○印の間隔によって登山道のある斜面の傾斜を把握できる。
さらにこの地図の特長は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と仮定して、時間とエネルギーを概算できること。

【研究21】御嶽山

標高3,000mの初級の山

■7合目・田の原バス停あたり― 2002.7.27
梅雨が明けて登山シーズンになると、この山では白装束の信仰登拝者が主役のようだ。平地を歩くのも苦労という感じの老人もいれば、小さな子どもを交えた家族もいる。

意外に知られていないかもしれないが、木曽の御嶽山は超初心者向けの3,000m峰といっていい。なぜなら、この山にはたくさんの宗教登拝者の姿があり、子供や老人が木綿の白衣を着て登っている。そのおかげで山小屋がたくさん営業していて、ちょうどミニ富士山のごとき様相を呈している。

大きな独立峰だから登山道は四方へとのびて、かつ長大なのだが、2本の主要登山道が両方とも7合目までバスやロープウェイで運び上げてくれる。そのことで標高差約1,000mの、日帰りも可能という山に矮小化されてしまっている。ふつうなら山小屋が消えていくところだが、しっかり営業して誰でも登れる山にしてくれているのは、宗教登山の山だから。

歴史によると、黒沢村(現・木曽町)や王滝村に鎌倉〜室町時代から続いたという御嶽登拝には、4月8日に始まる100日の精進潔斎が前提とされていた。登拝は(旧暦の)6月6日から13日まで黒沢口、王滝口の里宮でおこなわれる「千度の拝」という行事に参加したのち、6月14日未明に登り始め、翌15日に下山したという。

それを後に「重潔斎による登拝」と呼ぶようになるのだが、江戸後期の天明5年(1785)に覚明という行者が「御嶽山大先達覚明」という幟を押し立てて、数十人の信者とともに登拝した。100日の精進潔斎を省略した「軽精進登拝」の実力行使であったという。

これによって大衆登拝の流れができ、寛政4年(1792)には黒沢村の神主・武居氏が「軽精進登拝」を正式に認め、御嶽登山は大衆化へと走り出す。

黒沢口登拝路が開かれたその年に、江戸で有名だった普覚行者が王滝村からの「軽精進登拝」を強行し、寛政11年に王滝村神主・滝家によって正式に許可されるに至ったという。

江戸後期には丹沢の大山信仰、富士信仰など、信仰登山がブームになる。伊勢参りや金比羅参りなども合わせて民衆の旅が広がっていった。御嶽山はそういう時代に強引に大衆に開かれた。

しかし、初心者向けとはいえ、標高3,000mはあなどれない。剣ヶ峰山頂部に点在する山小屋に泊まると、すばらしい展望が期待できる。おまけにここで高度障害が出なければ、日本の山を歩く限り「高山病」の心配は不要といえる。国内第一級の高山なのだ。

王滝口と黒沢口

■剣ヶ峰山頂からの風景 ― 2001.9.12
頂上には御嶽神社があり、その足元に2軒の
山小屋がある。標高3,000mの展望台だ。

山はどちらから登っても、どちらへ下ってもそれぞれに味わいがある……というのが原則で、御嶽山の場合にも王滝口と黒沢口が、それぞれ個性を競っている。

まずは王滝口。登山口の7合目・田の原へはJR中央本線・木曽福島駅からバスが出ている。標高約2,200m。この下の登山道はおんたけスキー場のゲレンデに飲み込まれてしまう。

田の原は一帯が「田の原天然公園」となっていて、御嶽山を見上げながらの散策が楽しめる高原リゾートという気分。旅館・御嶽観光センター(TEL 0264-48-2544/80人収容)と旅館・田の原山荘(TEL 0264-48-2537/150人収容)がある。

王滝口登山道は田の原から一直線に登っていく。シミュレーションマップの赤○印が接して並んでいるので登山道は約30度の斜面に引かれているわけだが、地図に現れない小さなジグザグが歩きやすくつくられているかどうかにかかわってくる。富士山の5合目〜7合目とじつにみごとに重なってくる。

山頂までの赤○と青◇の数を数えると24個。8個=1時間として3時間の登りと見積もることができる。

8合目(標高約2,500m)と9合目(標高約2,700m)に避難小屋があって、標高2,936mが王滝頂上。ここには神社と王滝頂上山荘(TEL 090-7429-4866/70人収容)がある。

さらに登って標高3,063mの剣ヶ峰には御嶽神社と営業小屋が2軒並んでいる。王滝口としては剣ヶ峰旭館(TEL 090-4379-6658/150人収容)、黒沢口としては頂上山荘(TEL 090-8723-8072/50人収容)となっている。

頂上稜線部では二ノ池のわきに二ノ池本館(TEL 090-8854-0002/100人収容)があるが、これは黒沢口に属する。すぐ近くに二の池新館(TEL 090-4368-1787/350人収容)があって、こちらは王滝口。ヒノキ風呂付きで宣伝している。

山頂部で王滝口登山道と黒沢口登山道が重なっているわけだが、黒沢口9合目の標高2,900mあたりにも黒沢口の石室山荘(TEL 090-8873-9761/100人収容)と、王滝村に属する覚明堂(TEL 090-2414-5200/100人収/王滝口)がある。

黒沢口を下っていくと標高約2,150mの7合目に行場山荘(TEL 090-4380-5200/80人収容)、標高約1,850mの6合目に中の湯支店(TEL 0264-46-2831/60人収容)がある。

中の湯は黒沢口登山道に重なって登ってくる自動車道路・霊峰ラインの大駐車場に隣接して、王滝口の田の原に相当する。しかし黒沢口登山道では7合目の行場山荘のところからすこし歩くと標高約2,150mのところに御岳ロープウェイの飯森駅があって、標高約1,550mまで一気に下ることができる。接続している自動車道路は御岳ブルーラインだ。

二ノ池からサイノ河原を越えて三ノ池へと進むと、三ノ池の上方に五の池小屋(TEL 090-7612-2458/40人収容)がある。この小屋は岐阜県小坂町の町営で、1999年に台風により被害を受け、2000年に新築された。こちらは花の宝庫と宣伝している。


※旅館、山荘などは基本的に夏季営業につき、営業日は、それぞれお問い合わせください。

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