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白山(はくさん…御前峰/ごぜんみね)― 2,702m |
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白山が登山者にとってかなり近しい存在となっているのはハクサンと名のつく花がたくさんあることによる。女性に人気があるのはまさにその花のおかげだろう。 |
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しかし白山は、北アルプスから見ても、中央アルプスから見ても、かなり遠い。ひとり、ひっそりとそびえている。 |
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たぶん、その「遠い山」という気分があんがい大きな影響を与えていて、よほどの花好きでもないと腰を上げにくいようなのだ。 |
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そこでお知らせ。クロユリの大群落。ぜひ一度ご覧あれ。 |
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とりあえず古都・金沢へ。東京からなら上越新幹線+特急「はくたか」というのが一般的かもしれないが、夜行高速バス、飛行機(小松空港)といろいろある。金沢のビジネスホテルとセットの各種格安チケットも利用できる。
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金沢起点でいうと、山中1泊のほぼ往復の計画をすすめたい。営業小屋というべきものは室堂平の白山室堂センターと南竜ヶ馬場の南竜山荘だけ。迷わずに750人収容の白山室堂センター泊まりとしたい。1泊2食付きで7,700円。予約は白山ひめ神社内の(財)白山観光協会 (TEL 0761-93-1001)へ宿泊希望日の1週間前までに。
清潔で、合理的に運営されている宿泊施設という印象が強い。営業期間は5月1日〜10月15日まで(6月30日までは自炊のみで5,100円)。
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この場合の登山口は別当出合で、金沢からはタクシーなら約22,000円。1時間半はかかる。金沢からの登山バスは2,000円だから、要チェック。問い合わせは北陸鉄道テレホンサービス(TEL 076-237-5115)だが、「白山登山バス」でインターネット検索できる。
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ピークシーズンは7月15日〜8月16日ということで、金沢駅東口→別当出合の登山バスが
5:30
→ 7:40、6:40 → 8:50、7:30 → 9:45、10:20 → 13:10という4便が毎日ある。その前後期間は6:40
→ 8:50という1便だけになってしまうのでご用心。
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下山時も7月15日〜8月16日には別当出合 → 金沢駅東口が11:30 → 14:00、13:30
→
16:00、15:30 → 18:00と3便あり、その前後期間は13:30 → 16:00の1便のみ。
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マイカー、レンタカーの場合、マイカー交通規制の日には別当出合から車で15分ほど下った市の瀬から約20分間隔で臨時バス(片道大人400円、子供200円)が運行される。
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登山バス乗車前に室堂宿泊(2食付き)つき往復乗車券(白山登山クーポン)を10,600円で購入することができるとのこと。これだと1,100円の割引になる。ただし宿泊予約をすませておくこと、とか。ちなみに中学生9,100円、こども7.300円。
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この地図の範囲は国土地理院1:25,000地形図、金沢4号-3(はくさん)、金沢8号-1(かがいちのせ)でカバーされる。
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赤い○印は標高50mごとに置いた半径50mの円。青い◇印は山頂から約500mごとの水平距離。○印の間隔によって登山道のある斜面の傾斜を把握できる。
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さらにこの地図の特長は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と仮定して、時間とエネルギーを概算できること。
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| ■翠ヶ池の向こうに北アルプス ― 2004.8.12 |
| 御前峰を下って大汝峰への登りにかかるところに、火口湖の翠ヶ池がある。雲海の向こうに遠く北アルプスが見え、穂高〜槍から立山連峰まで一文字にのびていた。 |
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じつは、白山固有の花というのはないのだそうだ。代表的な花は、たとえば室堂平周辺一面に、それこそ圧倒的に咲くクロユリではないかと思う。クロユリは翠ヶ池から中宮道をしばらく行った御花松原にはさらに大規模な群落があるという。ともかく白山のクロユリはすごい。
すごい……けれども、残念ながら私はそのすごさを本当には見ていない。最初に行ったのは7月12〜13日で、山頂部にはたっぷりと雪渓が残っていて、まだ早かった。下の方から咲き上がってくる途中だった。
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そこで翌年の8月11〜12日に出かけたのだが、そのときは遅かった。一面にクロユリの株はあったけれど、ごく一部の株に花がついていて、ほとんどはもう実を結んでいた。残雪のぐあいによって多少のずれはあるようだが、クロユリを見たければ7月下旬から8月上旬に日程を合わせるのが安全のようだ。
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室堂に泊まって山頂部一帯を散策すると、雪渓が消えたあたりに登場する可憐な花がハクサンコザクラ。ハクサンという名のつく花の白山での主役ではないかと思う。もちろん「たくさん風露」などと陰口をきかれるハクサンフウロのほうが量的には多いけれど、印象の強さでは、こちらが圧倒的だ。
ハクサンという名のつく山の花はもっとある。固有種でないということは、白山へ登らなくても見られるということで、むしろそのことによって白山の名を広めている。関東の、首都圏のごくふつうの登山者でも、だからハクサンとい |
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| ■ハクサンフウロ ― 2004.8.11 |
| 本州中部から北の、標高2,000m前後から上の、草原であればかなりの確率で出会えるという感じのポピュラーな花がこのハクサンフウロ(白山風露)。 |
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う名の花のいくつかとはすぐに顔なじみになっている。
一般常識として、ハクサンという名のついた花はどういうものかということで百科事典(平凡社世界大百科事典、1967年初版)を開いてみると、次のような見出しがあった。
ハクサンイチゲ、ハクサンオミナエシ(→コキンレイカ)、ハクサンコザクラ(→ナンキンコザクラ)、ハクサンシャクナゲ、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ハクサンボク(常緑低木)。
そこで同じ平凡社の「フィールド版・日本の野生植物・草本」(1985年初版)の索引を見てみると、あるわ、あるわ。興味のある方はどうぞ。
ハクサンアザミ、ハクサンイチゲ、ハクサンイチゴツナギ、ハクサンオオバコ、ハクサンオミナエシ、ハクサンカメバヒキオコシ、ハクサンコザクラ、ハクサンサイコ、ハクサンシャジン、ハクサンスゲ、ハクサンタイゲキ、ハクサンチドリ、ハクサントリカブト、ハクサンハタザオ、ハクサンフウロ、ハクサンボウフウ。
16種のうち半分ぐらいでしょうかね。山でなんとなく目にするのは。そこでもうすこしセレクトされた「山の花1200・山麓から高山まで」(青山潤三・平凡社・2003年初版)で索引を拾ってみるとこうなる。
ハクサンイチゲ、ハクサンオオバコ、ハクサンオミナエシ、ハクサンコザクラ、ハクサンサイコ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンシャジン、ハクサンタイゲキ、ハクサンチドリ、ハクサントリカブト、ハクサンハタザオ、ハクサンフウロ、ハクサンボウフウ、ハクサンボク。なんと14種ある(ちなみにハクサンシャクナゲとハクサンボクは木本類)。
まだまだ多すぎるかと思うので、登山者がよく利用する「山溪フィールドブックス・高山植物」(木原浩・山と溪谷社・1993年初版)の索引を見ると……。
ハクサンイチゲ、ハクサンオオバコ、ハクサンオミナエシ、ハクサンコザクラ、ハクサンシャクナゲ、ハクサンシャジン、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ハクサンボウフウとある。
ともかく「ハクサン……」は学術的発見が白山においておこなわれたというだけで、セールスマンを全国に送り出したような効果をゲットしたといえそうだ。
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| ■室堂平の祈祷殿 ― 2004.8.11 |
| 鳥居には「白山奥宮」石柱には「霊峰白山登拝道」とある。これは室堂平の「白山ひめ神社祈祷殿」。稜線上に小さく見える建物が御前峰の奥宮。 |
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白山の宣伝部隊は花だけではない。白山神社というのが、なんと全国に3,000社以上とか。それを束ねるのが北陸鉄道・加賀一の宮駅にある白山本宮・白山(しらやま)ひめ神社で、白山最高峰の御前峰に奥社が設けられている。
白山ひめ神社は戦後の宗教法人化のさいに、国有地だった本宮と奥社の境内を譲渡されたという。加えて室堂に750人収容の宿泊施設を整え、南竜ヶ馬場にも150人収容の山荘を運営している(財団法人白山観光協会)。いまや白山登山を支える役に徹している。
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白山ひめ神社のある場所は白山北面を流れ下る手取川がつくる扇状地のかなめの位置にあたり、2,000年以上前に霊山白山をまつるほこらがもうけられたと縁起にはある。
白山への登拝は平安時代には広くおこなわれるようになっていたようで、加賀の国では男子成人の通過儀礼として欠かせないものであったという。しかも加賀、越前、美濃と白山をとりまく三カ国にそれぞれ馬場が開けたというから、白山信仰はかなり広範なものとなっていたようだ。
ところが平安末期になると加賀馬場にあった白山本宮が比叡山延暦寺の別院となり、大きな宗教勢力に飲み込まれていったようだ。のちに加賀の一向一揆において一向衆と対立する。しかし修験の山としての白山は隆盛を見せて「白山宗徒三千」と称されたともいう。
武装勢力としての白山本宮は戦乱に巻き込まれ、荒廃するが、江戸時代になると加賀藩によって復興される。明治の神仏分離によって仏教的な要素は排除されて「白山ひめ神社」(祭神・白山ひめ大神)を本社、白山を御神体山として奥宮をまつる現在のかたちとなった。
白山は富士山、立山と並ぶ日本の三霊山といわれるが、木花開耶姫命(コノハナノサクヤヒメノミコト)を祭神とする富士山の浅間神社が全国に1,317社というのと比べたら白山神社の3,000余というのは数において圧倒的だ。
ちなみに立山信仰は山麓の芦峅寺を中心とする立山宗徒が江戸・大坂をはじめとする各地に檀那場をもって布教活動をおこなう「諸国檀那配札廻り」によって立山講を成立させていた。有名な立山曼陀羅はその布教に使われた掛軸式絵解きで、現在各地に43点が残っているという。
江戸時代の中〜後期にこれら三霊山への登拝は盛んになったが、いずれも講を組んで一種のパッケージツアーとして実施されたようだ。白山登山は当然、はるかなアプローチルートを加えた大旅行として実施された。
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白山が意外に遠い存在なのは、登山口から室堂平までの標高差が大きいというところにある。別当出合の標高が約1,250m、宿泊施設の白山室堂が約2,450mだから、標高差1,200mの一気登りになっている。
私のシミュレーションマップでは砂防新道では35ポイント、観光新道では31ポイントとなっている。8ポイント=1時間という換算をすると4時間〜4時間半となり、よほど足の遅い人が混ざっていれば6ポイント=1時間として5時間〜6時間と見積もっておきたい。すなわち、金沢駅東口始発の登山バスの5:30
→ 7:40、6:40 → |
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| ■砂防新道の登り ― 2003.7.12 |
| 砂防新道はごく一般的な登山道と考えていい。ゆっくり歩けば、だれでも登れる道だ。週末には多彩な人々が登ってくるので、ときに仲間意識も芽生えたりするはず。 |
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8:50、7:30 → 9:45のどれかに乗車すれば、白山室堂での夕食を確保できるという計算になる。
登山道は、一般ルートである限り、上り下りをどちらにとっても大差ないのがふつうだが、ここでは砂防新道を登り、観光新道を下る周回プランをおすすめする。現実的には砂防新道がメインルートで、観光新道がいくぶん上級向けのサブルートとされているようなのだが、観光新道は眺めと花がいい。
どちらから登って、どちらへ下ってもいいのだが、メインルートを下りにとると、上り優先の人の群れがつぎつぎにやってくるので、身勝手ながらそれを避けたい。にぎやかな道を登って、静かな道を下るという意味。ただし、展望がいいということは風当たりもいいということだから、悪天候の場合には道ぎわの樹木がいくぶん大きく感じられる砂防新道のほうがいくらか安全度が高いかとも思われる。
このルートはどちらも標高2,000mあたりに避難小屋をもうけているので、想定外の状況が派生したときには心強い。トイレも利用できるし。しかし、そのほか、施設に類するものはなにもないので、一気に室堂平まで上がらなければならない。
それでもよほど無理な感じがする場合には、甚之助避難小屋の先から南竜ヶ馬場の南竜山荘に1泊するというのんびり登山も考えられる。その場合は南竜山荘から軽装で山頂往復しての2連泊にしたい。室堂平まで一気に登れないひとには、室堂平から別当出合までの一気下りはヒザを壊すほどの残酷なものになりかねないから、下りもできるだけ割っていきたい。ちなみに南竜山荘は1泊2食つき7,300円〜、予約は白山室堂センターと同じ(財)白山観光協会で予約専用電話は0761-98-2022。1週間前までにとのこと(営業は7月1日〜9月30日)。
室堂平に宿泊するとして、日没と翌朝の日の出はぜひ御前峰まで上がって待ちたい。食事時間とのかねあいもあるけれど、朝食は弁当で、という選択も含めて、できる限りの努力はしておきたい。
加えて2日目の午前中、山頂部一帯の湖沼めぐりをご自由に。
金沢始発18:23の特急はくたか23号(最終便)に乗れれば越後湯沢で新幹線に乗り換えて22:28東京着という目安がある。別当出合→金沢駅東口の11:30→14:00、13:30→16:00、15:30→18:00の登山バスのどれかに乗れれば東京に帰れる可能性ありと出る。
あるいは18:54金沢始発の特急北陸9号に乗って長岡で上越新幹線に乗り換えれば23:40に東京に着ける。
下りも登りと同じ8ポイント=1時間で計算しておけば室堂平→別当出合は観光新道で約4時間。逆算して9:30に室堂平を出れば、余裕をもって13:30のバスに乗れるはず。別当出合には休憩所があるので、雨もしのげるし、軽い食べ物も買える。
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