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毎日が山歩き 案内人 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)  50歳を過ぎてからでも楽に山歩き、愉しく山登り、のんびり山遊びが楽しめる毎日を紹介します。
日本365名山  
第12回 両神山
両神山・剣ヶ峰(りょうかみさん)――1,723m
両神山は、なんといっても岩場をいろどるアカヤシオ(赤八染)がすばらしい。ゴールデンウィーク前後の花もいいが、秋にはそのアカヤシオが紅葉する。
メインルートは日向大谷からの表参道で、以前は白井差へと下るいいルートがあったが、地主と行政のトラブルから登山道は閉鎖された。現在は単純な往復路とするか、往復路のバリエーションとして七滝沢へ下る道がある。
じつは山頂から岩稜をたどって八丁峠まで、やせた山頂稜線の八丁尾根を縦走するルートがある。ここにはスケールの大きなクサリ場がいくつもあって、いわば上級者向きとなっているが、岩場の通過技術を身につけていれば大きな危険なしに楽しめる。
■御岳山からの両神山――2002.1.23
両神山の山頂稜線を南東方向の秩父・御岳山から望む。
閉鎖中の白井差口から見上げる方角といえる。
ところが、どのルートを選ぶにしても首都圏からの日帰りはむずかしく、山中の清滝小屋か登山口の民宿・両神山荘か、あるいは秩父周辺の宿に泊まる必要がある。

アプローチ
秩父へのアプローチはJR高崎線熊谷駅から秩父鉄道に乗り換えるのがひとつ。熊谷駅までは上越/長野新幹線も利用できるのがメリットといえる。
首都圏からのメインルートとなっているのは池袋始発の西武線で、西武秩父行きの特急があるほか、土休日には秩父鉄道に乗り入れて三峰口あるいは寄居まで直行する快速急行があって、登山者によく利用されている。
池袋からは東武東上線の小川町行きの急行や特急(特急料金不要)があって、寄居行きに接続している。寄居で秩父鉄道に乗り換えられる。
接続を確認してから利用する必要があるが、八王子・高崎間のJR八高線が、東飯能で西武線、小川町で東武線、寄居で秩父鉄道と接続する。
初めての人がとまどうのは、秩父鉄道の秩父駅と西武秩父線の西武秩父駅とが連絡していないこと(中心街を抜けて徒歩約20分)。両線の乗換駅は御花畑と西武秩父駅で、実際はホームひとつ分しか離れていないのに、路地のようなところを歩かされるので不安になる。不親切きわまる乗換駅だ(乗り入れ電車を運行している仲だというのに)。
バスは、秩父盆地の生活の足として機能しているようなので、登山者にも比較的利用しやすいものとなっている。西武秩父/秩父駅と、秩父鉄道の三峰口駅、皆野駅を起点としてのびており、両神山に関しては小鹿野役場バス停がかなめとなる。
西武秩父駅/秩父駅から小鹿野役場へは毎時1本前後のバス(460円)があり、そこから坂本(500円)と日向大谷口(410円)へ1日5本ほどが出ている。
小鹿野役場→坂本(西武観光バス TEL 0494-22-1635)は次のようになっている。
  平日 7:10→7:45、9:25→10:00、13:50→14:25、15:55→16:36、17:45→18:26
  土休日 7:40→8:15、10:00→10:35、12:00→12:35、15:50→16:25、17:41→18:16
坂本→小鹿野役場は、
  平日 7:00→7:32、7:48→8:26、10:05→10:37、14:30→15:02、16:39→17:11
  土休日 8:21→8:53、10:40→11:12、12:40→13:12、16:30→17:02、18:20→18:52
小鹿野町役場→日向大谷口(小鹿野町営バス TEL 0494-79-1122)は、
8:58→9:46、10:55→11:43、14:02→14:50、15:50→16:35、17:25→18:15
日向大谷口→小鹿野町役場は、
7:39→8:26、9:54→10:39、11:48→12:33、14:54→15:39、16:36→17:21、18:16→19:01
バスをうまく使うのはいいけれど、下りた先で歩かなくてはならないことを考えると、秩父の町から直接タクシーで乗りつける場合の料金も検討しておく必要が出てくる。過去の例でいうと西武秩父駅から日向大谷・両神山荘8,180円、坂本8,660円、八丁トンネル駐車場11,460円となる。
三峰口方面からだと八丁トンネル反対側の上落合橋に登山口があり、八丁トンネル駐車場と、どちらからでも大差ない。また携帯電話は八丁峠付近で(できれば少し手前から)電波状況をさぐっていくと通じるので、タクシーを呼ぶなり、予定時刻の変更など連絡できる。
丸通タクシーは秩父営業所(TEL 0494-22-3633)、三峰口営業所(TEL 0494-54-1771)のほかに小鹿野営業所(TEL 0494-75-0206)もあるので、小鹿野営業所の車を呼ぶと、下山後の入浴などの選択肢がひろがる。また秩父のタクシーはほとんどが中型5人乗車可能だが、ジャンボタクシーもある。丸通タクシー秩父営業所に問い合わせてみるといい。
下山後の入浴は四阿屋山登山口に道の駅両神温泉薬師の湯(TEL 0494-79-1533/10:00〜20:00/火曜日定休/600円)があり、小鹿野にはクアパレスおがの(TEL 0494-75-1123/10:00〜20:30/金曜定休/800円)や宮本荘(TEL 0494-75-2272/10:00〜15:00/無休/600円)がある。
クアパレスおがのは秩父までタクシーで約15分だが、その後のスケジュールを考えて秩父まで出てしまおうという場合には武甲温泉(TEL 0494-25-5151/10:00〜22:00/無休/600円。西武線横瀬駅から徒歩10分)がある。また秩父鉄道秩父駅から徒歩数分の秩父神社裏にたから湯(TEL 0494-22-3079/14:00〜20:00/月曜定休)という銭湯がある。ほかに秩父駅から桜湯(TEL 0494-22-0466/15:00〜21:00/無休)、御花畑駅からクラブ湯(TEL 0494-22-2744/15:00〜22:00/月曜定休)などがある。きちんとした湯に入りたければ、ちょっと遠いが金昌寺バス停近くの新木鉱泉(TEL 0494-23-2641/12:00〜21:00/900円。要予約)という選択もある。
秩父といえばそばが名物なのだが、夕方にはほとんどのそば屋が終わってしまう。午後7時ぐらいまでなら、秩父神社脇(秩父駅へ徒歩5分)の武蔵屋手打ちそば店(TEL 0494-23-1818/11:00〜19:00/火曜定休)と西武秩父駅前のそば福(TEL 0494-23-2572)がおすすめ。さらに遅くにということなら秩父神社近くの入船(TEL 0494-24-5691/12:00〜14:30/18:00〜23:00。水曜定休)がある。
西武秩父駅から御花畑駅への移動路の途中にあるレストラン、シャン・ド・フルール(TEL 0494-22-9150/11:30〜13:30/17:30〜20:30/月曜定休)と雰囲気のある珈琲・千茶古(ちゃこ)(TEL 0494-24-3085/10:00〜21:00/毎月20日・土休日は翌日休)もいくぶん遅い時間帯にはありがたい。
池袋方面への帰路は、西武秩父→西武池袋の特急が土休日で18:25→19:46、19:25→20:46(平日18:25→19:44、19:26→20:44)とある。

ルートシミュレーション

この地図の範囲は国土地理院1:25,000地形図、宇都宮16号-2(やすど)、東京13号-1(しょうまるとうげ)でカバーされる。
赤い○印は標高50mごとに置いた半径50mの円。青い◇印は山頂から約500mごとの水平距離。○印の間隔によって登山道のある斜面の傾斜を把握できる。
さらにこの地図の特長は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と仮定して、時間とエネルギーを概算できること。
両神山ルートマップ

【研究12】 両神山
日帰りと小屋泊まりのあいだ
■二子山からの両神山――2001.10.13
北隣の二子山から見ると、足元に坂本の集落がある。深い谷を詰めると八丁峠。

 両神山の一般ルートは東のふもとにある日向大谷(県道両神小鹿野線終点)と、山頂稜線を北西にたどった八丁峠(そこから金山志賀坂林道へ出るにはさらに小一時間下る)の2か所と考えておきたい。

 古いガイドブックを見ると南東麓の白井差(県道薄小森線終点)に下る道が出てくるが、私有地通過にかかわる地主と行政の摩擦から閉鎖された。


 白井差へのルートがなくなったので一般的には表参道の往復登山ということになり、単純な往復を嫌う場合には清滝小屋上部から七滝沢へ迂回するルートを選択することもできる。

 表参道はゴールデンウイーク前後にはニリンソウ(二輪草)の群落が花を開かせているはずだ。頂上稜線のアカヤシオ(赤八染)と合わせて、存分に楽しめる。

 問題は、首都圏からの日帰りにはかなりの健脚でなければならないというところ。私のシミュレーションマップによると、日向大谷の民宿両神山荘(標高約500m)から清滝小屋(標高約1,300m)までが25ポイントとなっており、8ポイントを1時間と換算すると約3時間の登りとなる。山頂まではさらに10ポイント(1時間強)加算される。

 登りの合計が4時間強となると、日帰りには無理が生じる。秩父市内に宿をとってもいいが、登山口の民宿・両神山荘に前泊するか、清滝小屋泊まりの計画とする必要がある。

 清滝小屋は北アルプスや八ヶ岳の営業小屋のようなものではない。避難小屋に森林組合のおじさんたちが交代で詰めているという感じは奥秩父の山小屋の平均的な雰囲気に似ている。必ずしも快適という保証はないので、登山のためにどうしても必要という場合でなければ、若干躊躇する。素泊まりが3,000円なので自前の豪華夕食を楽しむという宴会登山をおすすめしたい。名前から想像できるように水はたっぷり得られるから、パスタや乾麺も可能だ。

 登山口となる民宿の両神山荘は山の宿という意味で、おすすめだ。ご自慢の岩茸やら煮込みうどんやら、山里の食事はなかなかのもの。家族ぐるみのホスピタリティもうれしい。

 両神山は山中泊でなくとも登れるので、秩父盆地の個性的な宿を選んで泊まり、朝一番のタクシーで登山口へと向かうことも考えたい。これは八丁峠から岩稜を登り、日向大谷に下る場合に、とくに合理性が出てくる。


「写真で見る山の歩きの魅力」 【講座12】目のつけどころ、使い方
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