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皆谷バス停から小さな案内板にしたがって、民家の脇を登り始める。登山道は蛇行する車道をけっこう効率的にショートカットしていく。
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これはモモの木でしょうかね。青空の下、紅白の花が入り乱れて、なかなか美しい風景を見せていた。
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歩く者の心をウキウキと楽しくさせてくれる道だった。舗装路であれ、ショートカットの登山道であれ、春の真ん真ん中を歩いているという気分はすばらしい。
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ヤマザクラかと思うけれど、満開のサクラが出てきた。何年ぐらい前か、だれかが道際に植えたものだ。そういう花木が車で走る人たちの目も楽しませているようだ。
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プロの作品というふうには見えなかったけれど、気合いを入れて刈り込んだ庭木が並んでいた。はなやかな花の木々といい、各家がそれぞれ軽く刺激しあいながら、屋敷地の飾り方にけっこう力を入れているという感じ。
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笠山への登りにかかると、背後に真っ白な山並みが見えてきた。赤城山と榛名山を前景にして日光連山から谷川岳など上越の山々が連なっていた。
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堂平山の天文台を後にして先に進むと標高876mの剣ヶ峰がある、その下に広い駐車場があり、公衆トイレもあり、展望台になっている。その展望広場の縁からパラグライダーが飛び立った。
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白石峠から下り始めると、カタクリ(片栗)が現れた。じつは萩平の集落から再び登山道に入った一帯にカタクリの群落があって、そちらのほうが登山者によく知られているようだ。そこの花が完全に終わった時期に、こちらが満開という時期的なずれがある。
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カタクリの花は日が出ると開く。雨のなかでは開いた花を探すのに苦労するが、じつはこちらのほうが楚々として好き……というのが私の意見。負け惜しみかもしれないけれど。
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林道が集落の最初の家のところに出ると、風景が一変する。サクラ吹雪ももちろん大満足ものだが、それよりも山の中にぽつんぽつんとヤマザクラやらミツバツツジやら……というのと違って、空間を彩るように花がある。だからといって、山の気分を損なわない。山里の情緒の中へと入っていく。
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村の人たちが、自分たちの生活感に合ったスケールで、春のこの風景を作り上げた。私たちが感じるのは、そういう山里のスケール感に入り込んでいく謙虚な感動だ。
巨大な規模で人を驚かそうとする多くの花の公園とはそこが違う。スケールを小さくして臨場感を高めようとしているディズニーランドの設計思想にむしろ似ている。
ちなみに書き加えておけば、写真06、写真08、写真09もこの位置から写真を撮っているが、ほとんど100%の確率でこの風景と出合っている。4月の中〜下旬をおすすめする最大の根拠がこれ。 |
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バラ科のボケ(木瓜)は庭園用の花木だそうで、朱赤、紅、白などいろいろあるという。しかしともかく、「元気な色」という印象が好ましい。
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モクレン科のシデコブシ(幣辛夷)というのが正式な名称のようだが、ヒメコブシで通っているらしい。
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このアセビ(馬酔木)は立派だが、いまやアセビは山ではごく一般的な存在となっている。毒があってシカなどに敬遠されることから勢力を拡大している。
ちなみに『馬酔木』(あしび)は明治の短歌雑誌。アシビと呼ぶ人はむかしきちんと勉強した人といえそうだ。 |
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