おとなのたまり場 > いつでも Bon vivant > 毎日が山歩き > 笠山
Bon vivant いつでも Bon vivant
MENU
毎日が山歩き
はじめようおやじ流手料理
ゆっくりと島巡り
もういちどオーディオ
もういちどカメラ

日本365名山
コラム

毎日が山歩き 案内人 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)

日本365名山
第11回 笠山 伊藤幸司(糸の会・登山コーチングシステム)
■大霧山から見た笠山――1999.10.17
同じ比企三山の大霧山から、お向かいさんという感じの笠山を見る。山腹は細かく分割されて林業経営がなされている
ということがわかる。大霧山山頂一帯のこの草地は村の牛を肥育する共同牧場。
かさやま(笠山・837m)
どうだいらさん(堂平山・876m)
ガイドブックにシュンラン、カタクリ、ヤブレガサが「群落をなしている」と書かれていたのが発端だった。その時期に見当をつけていってみると、カタクリの群落は萩平から登ったところにもあったけれど、白石峠で縦走路をはずれて白石車庫バス停へと下ったところに、もっと大きな規模でひろがっていた。
四阿屋山から見た比企三山――1998.2.5
秩父盆地の東側にそびえるのが山腹をえぐられた武甲山、その左に二子山。そこから左に続く稜線に(右から左へ)堂平山、笠山、大霧山の比企三山。
しかしそれよりも、山村に植えられている花木の彩りが予想をはるかに超えて素晴らしかった。
たとえば紅葉は、尾瀬や西沢渓谷ですばらしい。東北の山々のブナの紅葉(黄葉)もすばらしい。が、京都の紅葉はどんなにスケールの大きな紅葉と比べても、断然他を圧倒する。里山をキャンバスにして人間が描いた紅葉だからだ。
比企三山が取り囲む山間の集落を彩る春爛漫は、そういう意味ではキャンバスに人が描いた春。おそらく経済的にも安定した村の歴史を語るような春景色なのだろうと思われた。
もちろんその後、山歩きを始めて最初の冬を越したみなさんに「突然の春」という気分を味わっていただくために何度か出かけた。
4月の中旬であれば、ほとんど裏切られないし、天気は晴れでもいいけれど、むしろ春雨ぐらいのほうが花はしっとりときれいだから、私は好きだ。
アプローチ
東武東上線の小川町が拠点駅となる。
池袋→小川町の所要時間は小川町行き急行で約70分(準急は川越市、森林公園など途中駅まで)。土休日には池袋発午前7時と8時に特急(特急券不要)が出て約60分といくらか速い。小川町行き急行は1時間に3本前後あるので、時間に余裕があれば行き当たりばったりでもいい。
小川町駅→白石車庫のバスの発時刻は、土休日には7:23、8:20、9:25、10:20、11:30……、平日には6:54、7:45、8:55、9:50、10:50、11:50(皆谷止まり)……となっている。くわしくは川越観光バス森林営業所 (TEL 0493-56-2001)。
バス運賃は小川町駅から、皆谷(所要約25分。490円)、白石車庫(所要約30分。600円)。タクシーだと小川町駅から、皆谷(約3,700円)、白石車庫(約4,300円)。
帰路のバスは白石車庫発15:17、16:17、17:17、18:17(土休日)、15:40、16:59、18:05、19:24(平日)。帰路には途中の日帰り入浴施設「パトリアおがわ」 (TEL 0493-74-2323/10:00〜19:00/500円/月曜定休)があり、小川町駅から呼んだタクシーでも降ろしてもらえる。タクシーは、いろはタクシー (TEL 0493-72-0168)、小川観光タクシー (TEL 0493-72-2015)の2社。
食事は「パトリアおがわ」でもできるけれど、山岡鉄舟由来という「忠七めし」の割烹旅館・二葉TEL 0493-72-0038/11:00〜14:30、16:00〜20:00/無休)をすすめたい。初めての方にすすめるのは「忠七めし御前・椿」(2,100円)。上はいろいろあって、1泊できるくらいの金額で入浴+食事のプランも用意されているけれど、ともかく一度、庭など見てみることをおすすめしたい。
「忠七めし」の割烹旅館・二葉の庭――2005.4.16
ここで食事をしたら、庭にも出てみたい。「忠七めし」の忠七さんが八代目という古さがしのばれる。
笠山のある東秩父村は「和紙の里」として手漉き和紙「細川紙」を1,300年あまり伝えてきたとか。そういう観光施設もいろいろあるのでお調べいただきたい。
ルートシミュレーション

この地図の範囲は国土地理院1:25,000地形図、宇都宮16号-2(やすど)、東京13号-1(しょうまるとうげ)でカバーされる。
赤い○印は標高50mごとに置いた半径50mの円。青い◇印は山頂から約500mごとの水平距離。○印の間隔によって登山道のある斜面の傾斜を把握できる。
さらにこの地図の特長は、○印と◇印をどちらも1個(1ポイント)7.5分(2個で15分、8個で1時間)と仮定して、時間とエネルギーを概算できること。
【研究11】笠山
山里の魅力
 都会から押しかけて「わー、きれい」などと素朴に喜んで帰る「観光登山」(あるいは「ハイキング」)として、4月中旬のこの笠山はすばらしい。
 武内正『日本山名総覧』によると、笠山は日本全国に14山もあるという。ちなみに一番高い笠山は標高1,550mで信州・戸隠村にあるという。
 ほとんど同義の笠ヶ岳について見ると7山と少ないが、そのうち4山が2,000m超。いちばん大きくて有名なのが標高2,897mの笠ヶ岳で、穂高連峰の西隣に堂々とそびえている。
 笠という字がついているというところから菅笠、唐傘、など開き気味の三角形を想像したくなるが、この笠山もその例にもれない。ただ、開ききった唐傘という感じなので、遠くから見ても稜線の一部としか思えないほど。登山ルートもだらだら登って、最後に小さなピークがあるという印象なので「登った」という充実感は正直言ってあまりない。
 小さい山だから……というのではない。奥武蔵の最奥に位置して秩父盆地と接するこの地域を比企(ひき。埼玉県比企郡)というのだそうだが、この笠山(837m)、堂平山(876m)に大霧山(767m)をセットにして「比企三山」と呼ばれている。
 この三つの山をつなぐ稜線は最南端を白石峠として北に開いたU字形になっていて、その最奥にある集落が白石(しろいし)、5kmほど出口側にあるのが皆谷(かいや)。比企三山に取り巻かれた小さな集落は山里の風情にあふれ、サクラが咲き〜散るころには春爛漫となる。
 比企三山という大きな山懐に包まれたふたつの山里を結ぶ稜線歩きと考えるとき、このルートはなかなか出来のよい、春のワンダーランドとして出現する。
 ところが登山のガイドブックなどを読むと、白石峠から下らずに、もうひと足のばして大霧山まで、と考えたくなる。
 大霧山はもちろんいずれここでも紹介したい山で、こちらの笠山+堂平山がふたつ合わせても1人前に数えられるかどうかあやしいのに対して、堂々と一山の存在感を示している。だから大霧山を加えると、こちらの二山は限りなくアプローチ(助走区間)になってしまう。……というのは2番目の理由で、1番目の理由としては、白石峠から白石車庫バス停へと下ってほしいから。そこのとろをパスして大霧山へ行くなんてもったいないのがこの季節なのだ。
 また皆谷バス停から稜線に上がったところには萩平(はぎだいら)という山上集落もある。ここには200年以上の歴史をもつという獅子舞があるそうだが、長い歴史をもつ小さな集落の人々が周囲の土地に手を加えて、春爛漫を演出している。
 春の彩りは自然のものではなく、人々が長い年月をかけてゆっくりと作り出したもの。ここの春景色はここの歴史・文化の景色だということにもなる。
 
「写真で見る山の歩きの魅力」 【講座11】春が始まる 毎日が山歩きトップへ
topへ