ホテルに泊ることになっていたので、大畠駅前で迎えのバスを待つことにした。無料の送迎シャトルバスは、通常1日3便の定期運行をしている(要予約)。発車は16時50分。6月1日はまだシーズンオフだったので、バス利用客は私と連れ合いの二人だけ。 ドライバーは加村さんという、いかにも誠実そうな中年の男性。貸切なので最初から打ち解けた雰囲気で会話がはずむ。要所要所で簡潔に説明もしてくれる。こうなると、つい氏素性を聞きたくなるのが私の悪いクセ。 「加村さんは島の方ですか?」 「いえ、私は九州の出身なんです。一度この島に釣りに来たのがよかったのか悪かったのか、すっかりこの島の釣りにハマッってしまったんです」 「釣りをするために、移住されたんですか?」 「まあ、そんなわけです。この島はね、本当に釣り好きにはこたえられない所なんですよ」 瀬戸内海の島である。当然、最大のねらい目は「鯛」だという。しかし、チヌ(クロダイ)、ブリ、ハマチ、メバル、カワハギなども、いいカタのが釣れるそうだ。魚の話をしていると、加村さんの背中が悦びに揺れている。