おとなのたまり場 > いつでもbon vivant > ゆっくりと島巡り > 周防大島(1)
ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏
周防大島(屋代島)(1) (2006年7月5日更新) text & photo Fumihiro Funaki
瀬戸内海に浮かぶハワイと呼ばれる大島は、本州と橋で結ばれている
大畠駅のホームの看板。そして大島大橋が飯の山に向かって掛かっているのがすぐ目の前に見える
 「周防大島」を地図で探そうとすると、なかなか見つからないかもしれない。山口県東部の瀬戸内海に浮かび、大島大橋で本州と結ばれている、淡路島、小豆島に次ぐ瀬戸内海で3番目に大きい島は、実は本名を「屋代島」という。しかし、この周辺の30ほどの島々と合わせて人々は「周防大島」と呼んでいるのだ。地図をよく見ると「周防大島(屋代島)」と書かれている。
もっとも信頼すべき日本の島ガイド「SHIMADAS(シマダス)」(※1)では、目次に
は「周防大島」があるのだが、索引には「屋代島」しかないので、ちょっととまどう。念のため東京に戻ってから、現地の観光協会(※2)に電話で確認すると、
「島自体は屋代島といいますが、土地の人も大島とか周防大島としかいいませんので、表記は地図のように、周防大島(屋代島)でお願いします」
ということだった。この「島巡り」でも「周防大島」と呼ぶことにする。

(※1) 『SHIMADAS(シマダス)』 は島を知るためのバイブル。財団法人日本離島センターの発行で、最新版は2004年8月発行。A5判変形、1,328ページ、3,150円(税込) 
(※2) 周防大島町観光協会 山口県大島郡周防大島町大字久賀4316 TEL&FAX0820-72-2134
ホームページは http://www.suo-oshima-kanko.net/
 さて、島といえばそのほとんどは船で渡る。飛行機で行ける島もある。しかし、「ゆっくりと島巡り」となれば、やはり船だ。それも高速ジェットホイルよりは、小さな連絡船で時間をかけて行くのがいい。蛍の光に送られ、島の音楽で迎えられる、というのが嬉しいのである。しかし、島の人の立場になって考えれば、本土と限りなく短時間で結ばれていることが望ましい。飛行場が可能なら飛行機に飛んでもらいたいし、船なら高速であればあるほどありがたい。できれば橋でつながったらどんなにいいか、と思うのである。その夢を実現したのが、ご存じ「瀬戸大橋」(1988年開通)を初めとする「本四架橋」だが、それに先立つことおよそ12年、「大島大橋」は開通したのである。「周防大島歴史物語」(瀬戸内出版)によれば、
「昭和51(1976)年7月4日、この日は周防大島にとってかつてない記念すべき日であった。島が橋で本州とつながり、いわゆる大島半島になったのである。
この日午後1時半から、大島郡民3万4千人(当時)待望久しかった大島大橋開通式が行われた。この意義ある一瞬をわが目で確かめたいと、ハワイや、東京・阪神など全国各地からかけつけた大島出身者や、大島全域から、あるいは大畠、柳井、由宇、岩国などから老若男女1万5千人が繰り出し、大畠側と大島側の橋のたもとを埋め尽くした。
まず、大畠側で竹下建設大臣、前田道路公団総裁らのテープカットの後、白バイの先導で大島四町(※3)と大畠町に住む三代夫婦を乗せたバス三台を先頭に、参列者を乗せた車二百台が大島に渡り、祝賀式場の大島商船高専講堂へ向かった。引き続き、小・中学生のパレードが橋を渡り…以下略…」
とある。ファンファーレが聞こえ、小中学生の鼓笛隊の姿が目に浮かぶようだ。島と周辺の人々の喜びは、どんなに大きいものであっただろうか。開通にこぎ着けるまでの、次々に押し寄せる問題とその対応、解決の繰り返し。この経験が、後の本四架橋3ルートの実現に生きているのである。そして通行料は、最初は当然ながら有料であったが、1996(平成8)年に無料化を実現している。
本州側の大畠(おおばたけ)と大島の間の「大畠瀬戸」という海峡は、見た目の穏やかさが信じられないほど潮流の厳しい難所で、日本3大潮流の一つといわれる。その速さは最大で10ノット(秒速5.2メートル)を超えるという。わずか1,000余メートルの隔たりが実に大きかったのである。大島大橋は、その潮流の厳しさと海底岩盤の状態を克服するため、世界に例のない「多柱式基礎工法」を採用し、径間(海底に打ち込んだ柱と柱の間)は最大325メートルで、これは当時世界第2位であった。

(※3) 久賀町、大島町、東和町、橘町の大島四町は、2004(平成16)年10月1日に合併して、周防大島町となった。2006年1月1日現在、人口は10,933世帯、21,876人。面積は138.11平方キロメートル。
周防大島は釣り人には天国の島
 周防大島に行くには、対岸の大畠町(JRは大畠駅)から大橋を渡る。駅のホームのすぐ目の前がもうすぐに海だ。護岸から釣り糸を垂らしている人がいる。そういえば、ホームの案内板には「釣りの町 大畠」とあった。そしてやや左前を見ると、大島北端の「飯の山」がぽっかりと浮かび、その下腹部に向かって大島大橋が掛かっている。
今回は島の発信人にもなってもらった、大野圭司さんのお勧めで、「サンシャイン サザン セト」(※4)という片添ヶ浜のリゾート
ホテルのシャトルバスのドライバー、加村さん。釣りがしたくてこの島に移住した

ホテルに泊ることになっていたので、大畠駅前で迎えのバスを待つことにした。無料の送迎シャトルバスは、通常1日3便の定期運行をしている(要予約)。発車は16時50分。6月1日はまだシーズンオフだったので、バス利用客は私と連れ合いの二人だけ。
ドライバーは加村さんという、いかにも誠実そうな中年の男性。貸切なので最初から打ち解けた雰囲気で会話がはずむ。要所要所で簡潔に説明もしてくれる。こうなると、つい氏素性を聞きたくなるのが私の悪いクセ。
「加村さんは島の方ですか?」
「いえ、私は九州の出身なんです。一度この島に釣りに来たのがよかったのか悪かったのか、すっかりこの島の釣りにハマッってしまったんです」
「釣りをするために、移住されたんですか?」
「まあ、そんなわけです。この島はね、本当に釣り好きにはこたえられない所なんですよ」
瀬戸内海の島である。当然、最大のねらい目は「鯛」だという。しかし、チヌ(クロダイ)、ブリ、ハマチ、メバル、カワハギなども、いいカタのが釣れるそうだ。魚の話をしていると、加村さんの背中が悦びに揺れている。


バスから見える景色は実に美しい。山がすぐに迫った海岸に集落がある。この日はガスがかかってすべてが霞んで墨絵のような雰囲気だ
「年中釣れるんですか?」
「そりゃ一年中魚は釣れるんですが、やっぱり冬は海が荒れますし、結構寒いですからね。なんといっても夏がいちばんでしょう、お客さんには。なにしろ、今走っているこの道は、今日はガラガラですけど、夏にはですね、この道が沈んでしまうんじゃないかってぐらいに車でいっぱいになるんです」
「道が沈みそうとはスゴイ表現だなあ」
「いえ、本当にそんな気がするぐらいの混みよう
なんです。ホテルだってですね、今夜はそれほどじゃありませんが、シーズンは私たちも本当に目が回ってしまうぐらい、体の芯までクタクタになっちゃうほど忙しいんです」
 およそ45分でバスはホテルに着いた。美しいホテルである。穏やかな片添ヶ浜に向かって鳥が羽を開いたような形で建っているから、どの部屋もきっと素晴らしいオーシャンビューだろう。この約1.2kmの美しい白い砂浜は環境省選定の快水浴場百選にも認定されている海水浴場だ。砂浜にはまだゴミが少しあるが、掃除をして6月28日に海開きとなる。海岸からホテルの庭にかけては、椰子やフェニックスが植えられ、南国ムードいっぱい。すぐ近くにはオートキャンプ場やテニス場のある公園もある。

sunshine sazan setoの正面
海水浴場の砂浜からホテルを望む美しい光景
服部屋敷入り口
ホテルの部屋から見た庭と海岸。南国ムードがいっぱい

イラストで描かれた「周防大島お宝マップ」。レストランのテーブルにも一人一枚ずつ置かれている
 ホテルに入ると、カウンターやロビーのテーブルに「周防大島お宝マップ」という島の地図に名所案内を書き込んだイラストの印刷物があり、実はこれがレストランのテーブルにも一人に一枚ずつ置かれていて、さあ、明日はどこへ行こうか、という期待に胸が膨らむのであった。

周防大島マップ


(※4) Hotel & Resort sunshine sazan seto 山口県大島郡周防大島町片添ヶ浜 TEL0820-78-2121
ホームページは http://sunshine-jp.com E-Mailはmail@sunshine-jp.com
ゆっくりと島巡り|トップへ戻る 周防大島トップへ戻る TOPへ