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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

佐渡島(1)  text&photo Fumihiro Funaki 2006年11月15日更新

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日本最大の離島、佐渡島〜驚きと感動を発見する旅

わが目で実感する佐渡島の大きさ

佐渡汽船のフェリー「おおさど丸」の
勇姿

佐渡島、6年ぶりの再訪である。本格的に島巡りをしたいと思い始めたとき、まず浮かんだのが佐渡島だった。何しろこの島は沖縄本島に次ぐわが国第2の大きな島で、面積854.62平方キロメートルは、東京23区のおよそ1.5倍に相当する。そして波乱の歴史の中で育まれた重層的な文化と豊かな自然は、まさに島国日本の「離島の雄」といってもいいすぎではない。

佐渡島と聞いて人は何を思い出すだろうか。時の権力によってこの地に流された順徳天皇、京極為兼、世阿弥、日蓮たち、そして佐渡金山、トキ、鬼太鼓、薪能、佐渡おけさ、佐渡情話、たらい舟、味噌、日本酒…。メジャーな島だけに、数多くの案内書、紀行書籍、研究書があり、雑誌、新聞、テレビなどの報道量も他の島に比べると圧倒的だ。

そこで島巡り案内人は、佐渡については他の島以上に総合的な紹介は控えて、個人的に関心のある話題に絞って話を進めることにする。もちろんこのページを訪れる多くの人々の寄稿にも期待したい。

海上を浮いて疾走するジェットフォイル。味わいはないが、早くて安全。便利だ

まず、大きさである。佐渡島に行くには、新潟港からのジェットフォイルを利用する人が多いだろう。時速80キロで海上を疾走するこの船は、新潟港と佐渡両津(りょうつ)港をおよそ1時間で結ぶ。 仕事で行くときや、急ぐときには実に便利でありがたい。しかし、もし事情が許すなら、フェリーを利用したい。海を楽しみながらゆっくりと進み、はるか彼方に浮かぶ灰色の島とも岩とも知れない頼りない物体が、次第に近づいて島の形に見えてくるのが島旅の醍醐味なのだ。ジェットフォイルは、航行中は安全のため船室から外に出られないので、十分に景色を楽しむことができない。うっかりすると通勤電車に乗っているような気分になってしまう。もちろん季節と天候にもよるが、フェリーで海の空気をいっぱいに吸いながら行くのがいい。新潟、両津間の所要時間は約2時間30分。大型のフェリーだから、揺れも少なく船酔いの心配もいらない。

今回の佐渡再訪は、行きは天気があまりよくなく、どんよりと曇っていたのでジェットフォイル、帰りはもう10月も終わろうという時期なのに、真夏のような快晴に恵まれたのでフェリーにした(10月26〜28日)。

餌を求めて船についてくるカモメ、ウミネコたち
佐渡島はアルファベットの「S」の字の、両端をちょいと引き伸ばして前に少し倒した格好で、頭を北東、お尻を南西に向けて横たわっている。島の東西の輪郭線と平行に横断する中央部を挟んで、南側が「小佐渡」、北側が「大佐渡」と呼ぶ山岳地帯になっている。中央部は広い「国仲平野」で、おいしい「コシヒカリ」を産することで知られている。小佐渡の山々はなだらかで丸みを帯びているが、大佐渡の山は高くて険しい。もっとも高いのは「金北山」で、標高1,172メートル。
両津港に近づくと、視界の左右いっぱいに島が見えてくる。中央部がいい形にくびれて、両側の山岳部が盛り上がって、ちょっと色っぽい。今回は帰りがフェリーだったので、両津港を出る時には、正面からやや右に金北山とそれに連なる大佐渡の山々が雄大に聳え、左方向にはなだらかな小佐渡の山々が穏やかな姿で横たわり、正面の国仲平野が想像以上の横幅で広がっているのが船上から一望できた。

両津港を出ると右手に大佐渡の山々が見える

 出港から30分ほどは、乗客からの餌を期待するカモメ、ウミネコが一緒についてくる。売店で売っている細長い煎餅を指でつまんで空に向けると、上手に近づいてくわえて行く。「わ〜、カッワイイ〜ッ。スッゴイ、ね〜」という日本女性特有の嬌声を楽しみながら、しばらく観察していると、この連中にも、運動神経のいいヤツ、鈍なヤツ、図々しいのや、運のないヤツがいる。人間社会と実によく似ている。しかし、毎日こんなことをしていて、彼らは自力で餌を探して獲る能力が衰退してしまうのではないか、と気の毒に感じた。「カッワイイ〜ッ」のを見たい気持ちは抑えたほうがいいのではないか。例によって傍らの連れ合いは、
「いいじゃありませんか。カモメもちゃんと心得ているはずですよ」と冷静だ。

広大な国仲平野を挟んで大佐渡と小佐渡を一望する醍醐味、これが佐渡島だ

この日はよく晴れていたので、かなり遠く離れても佐渡のくびれた姿が見られた。海を眺め、遠ざかる島を見つめていると、気持ちはのんびりしているのだが、時間はかなり速く進んで、進行方向にはもう新潟が迫っている。2度目の旅で、佐渡の全景をやっとわが目にし、大いに満足した。今は空撮映像で島の全体像は容易に見られるのだが、それはあくまでも「実体験」ではない。こうして、自分の目で海から眺め続けてこそ初めて心にしみる佐渡島体験ができるというものである。ぜひ、季節と天候を選んで、フェリーからの佐渡島を楽しんでいただきたい。

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