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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

奥尻島(1)  text & photo Fumihiro Funaki 2007年9月19日更新
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プロローグ:真夏の陽射しを浴びて奥尻島へ

瀬棚港から奥尻島へ

東日本海フェリーの「ニューひやま」

北海道本土から奥尻島に渡るには、空路は函館から。函館発10時25分→奥尻着10時55分、奥尻発11時20分→函館着11時50分の1往復(2007年8月末現在)。奥尻空港は島南端の青苗地区の左手海岸に面してある。滑走路は1,500メートル。2006年から北海道エアシステムの運行する36人乗りのプロペラ機が就航している。

海路は、瀬棚港からと江差港からの2航路があり、江差便、瀬棚便ともに1日2往復就航している(運行については季節によって変更もあるので、東日本海フェリーのホームページをチェックしてください)。

遠くなる瀬棚港。海から眺める陸地の美しさも海路の旅ならでは

洞爺湖の朝を堪能した後、バスはまずすぐ近くの有珠山に向かった。今でも水蒸気を吹き上げる火口、2000年の噴火で押しつぶされたままになっている建物や、鉄骨がむき出しになって折れたまま放置されているコンクリート製の電柱など、自然の威力をまざまざと見せつけられた。

さて、奥尻島へ向かう海路の出発基地、瀬棚港は、有珠山の麓から、北海道南部を西に横断し、およそ1時間半の距離にある。日本海に面するこの地域はかつてはニシン漁で賑わったが、今ではニシンはまったくとれない。現在獲れる魚貝類は、ホッケ、イカ、ヒラメ、マス、昆布、ワカメなどである。しかし瀬棚町といえば、風力発電が有名だ。日本で初めての洋上風力発電事業を本格的にスタートさせたことで知られ、港周辺に白い鉄搭が林立している。天気がよければ、奥尻島からもこの白い搭が見えるそうだ。

水平線に並んで見える風力発電の白い鉄塔。天気がよければ奥尻島からも見えるそうだ
いつまでも船についてきて餌を要求するカモメたち

14時50分発のフェリー「ニューひやま」が、ゆっくりと岸壁を離れると、カモメたちが餌をよこせとついてくる。最近はどこの航路でも体験することだが、可愛いと思う反面、野生を失うのではないかと心配になる。この日もかなり多くのカモメたちがいつまでもついてきた。瀬棚、奥尻間は約43km、1時間35分ほどの旅程だが、その半分ぐらいの距離はついてくる。

何度島旅をしても、船が動き出す瞬間は胸がときめく。ここから、奥尻港なんて地続きなら、自転車でも数時間、車なら40〜50分ほどの近さだが、日本海を隔てていることによって、地続きの同じ距離を離れた場所に行くのとはまったく違った感慨が湧くのである。

 
30分ほどで前方に見えてきた奥尻島。まだ単なる灰青色の物体に過ぎない   次第に山並みがはっきりして、色合いが豊かになってくる
出港後1時間ほどで、島の建物が肉眼で確認できるようになる
さらに建物がはっきりしてくる。ここが島の北端部。いったい何が見えていたのかは、この後の連載で明らかになります

船室なら横になって眠って行くこともできるが、船尾のデッキにある椅子席には、かなりの人が座って遠ざかる陸を見続け、白い航跡に見とれている。島旅人と同じ気持ちの人が多いのであろう。瀬棚港はどんどん遠くなり、山肌は次第に色を失って灰青色の壁となっていく。しかし、灰青色に沈んでいく水平線上には、風力発電の鉄塔だけが白く鮮やかに並んで見え続けている。

振り向いて進行方向を見やると、前方にはまだ何も見えない。わずかな距離でも海は30分も進むと、回りが海だけの大海原を進むことになるのだ。やがて、はるか彼方に灰青色の島影が見えてくる。奥尻島である。この日は雲のほとんどない晴天で、気温も北海道とは思えないほど高い。体感温度は優に30度を超えている。この暑さのせいもあってだろうか、前方の島の姿は、なかなかはっきりした形に見えてこない。

しかしさらに15分ほど走ると、灰青色の単なる横長の物体が、次第に色合いを増し、島らしき形に見えてきた。これが航路の醍醐味だ。今回は次第にはっきりと見えてくる島を追った写真をご覧いただくことにした。



有珠山:公式ホームページ
せたな町:公式ホームページ
東日本海フェリー:公式ホームページ

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