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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

奥尻島(1)  text & photo Fumihiro Funaki 2007年9月19日更新
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プロローグ:真夏の陽射しを浴びて奥尻島へ

美しい洞爺湖に浮かぶ中島、これも島だ

2007年8月は歴史的な猛暑として記憶されるだろう。東京地区は7月は比較的気温が低く、この夏は冷夏か、などと思われていたが、どっこい8月の声を聞いたとたん、まるでそれまでの低温を取り返そうとするかのように暑くなった。

年々外界への適応力が減衰していく中高年齢層の一員としては、この暑さを逃れて北の島にでも行かなければ、寿命が縮まるのではないか、と思っているところに、奥尻島へのツアーの案内がきた。この暑さは全国的なものと思うものの、北海道は別だろう、しかも島である。日中はともかく朝晩はきっと…などと、熟慮するまもなく即断。8月下旬の日曜日、早朝羽田空港へと向かった。

夕方の洞爺湖。夕陽に浮かぶ羊蹄山のシルエットがが美しい

奥尻島にはいろいろな行き方があるが、今回のコースは、直接奥尻島に向かうのではなく、まず初日は札幌千歳空港に降りて、バスで小樽、積丹半島を回り、羊蹄山を経て洞爺湖で1泊、翌日再びバスで西に向かい、長万部を経由して、積丹半島と松前半島のほぼ中間の瀬棚港から奥尻に渡るという順路で、これが気に入った。

奥尻島に縁の深い本土地域をじっくり見てから渡る、という意味ももちろんあるのだが、実は洞爺湖を50年ぶりに見られるのがいちばんの楽しみだった。生まれて初めて旅行らしい旅行をした時の行き先が洞爺湖だった。その滑らかな湖面と中央に浮かぶ小さな島、そして周囲を取り囲む山々の緑は子供心に深く刻まれ、美しい自然といえば洞爺湖とその周辺が真っ先に浮かぶようになってしまったのである。

明方の洞爺湖。東から次第に明るくなる湖面と空、中島、山並のシルエットは息を飲むほど美しい

ボンビバンで巡る島は、海に浮かぶ島、離島である。しかし、洞爺湖の中島のように湖に浮かぶ島も、島である。島のバイブル「シマダス(日本離島センター刊)」にも、中島はちゃんと記載されている。シマダスによると、湖に浮かぶ島は北海道では屈斜路湖の中島、阿寒湖のチウルイ島、本州では猪苗代湖の翁島(おきなじま)、琵琶湖の沖島(おきしま)などがある。このうち琵琶湖の沖島は450人ほどが住む、世界でも珍しい淡水湖の有人島だが、そのほかは無人島である

洞爺湖の中央に浮かぶ島は、もっとも大きい大島と、その南手前の3つの小さな、弁天島、観音島、饅頭島の4島からなり、まとめて中島とよばれている。今は無人島だが、大島には先住民の遺跡もあり、かつては人が住んでいたと思われる。現在はエゾ鹿が生息している。4月下旬〜11月初旬に島内の「洞爺湖自然森林博物館」が開館していて、エゾ鹿や近隣の植物の展示や説明が行なわれている。

午前7時ごろの洞爺湖。ちょっと絵葉書的ですが中島がよくわかる
2008年サミット会場となる「ザ・ウィンザーホテル」は西のポロモイ山上にある

2008年のサミットが洞爺湖西側のポロモイ山(標高625メートル)にある、「ザ・ウィンザーホテル」で行なわれることになり、洞爺湖は全国的にすっかり有名になった。

洞爺湖は今から約16万年前と8万年前の激しい火山活動で出来た洞爺カルデラ内の湖で、面積は日本で9番目の70.7平方キロ、カルデラ湖としては3番目の大きさがある。最大水深は180m。南岸に洞爺湖温泉、有珠山、昭和新山、そして北側にはエゾ富士といわれる羊蹄山が見える。

50年ぶりに見る洞爺湖は、やはり格別だった。到着した日の夕刻、夕焼けの赤い空に浮かぶ黒い羊蹄山を従えて悠然と広がる湖は、どこまでも優しく美しかった。また、ゆっくりと上ってくる朝陽に明るさを次第に増していく早朝も息を飲むように美しかった。

普段から早起きの連れ合いと私は、日の出を待ちわびるようにして6時には湖畔の散歩に出た。そして、貸しボートの小屋に近づくと、まだ7時前なのに、係りの女性が「乗ってもいいですよ」と声を掛けてくれた。手漕ぎのボートで滑るように、まだ誰もいない静かな湖面に漕ぎ出せたのは、実に予想外の幸運で、女性の親切が泣きたいほど嬉しかった。

ボートを漕ぐなんて何年ぶりだろうか。2本のオールを左右交互にゆっくり漕ぐと、静かに進む。オールが船べりの金具と擦れあって、ギー、ギーと鳴く。最初は漕ぎ方がぎこちないので左右にグラグラと揺れ、まっすぐにはなかなか進まないが、すぐに勘を取り戻す。2分ほどすると、我ながら船はじつにスムーズに進み始めた。ああ、懐かしい。湖面すれすれに進み湖畔がゆっくりと遠ざかるのに身を任せていると、初めてこの湖を見た遠い昔が、まるで昨日のように思い出される。わずか30、40分であったが、時の流れを忘れる至福のひと時であった。


洞爺湖温泉観光協会:公式ホームページ
洞爺湖サミット:公式ホームページ
琵琶湖の沖島については:近江八幡市:公式ホームページ

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