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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

壱岐島(8)  text & photo Fumihiro Funaki 2008年1月24日更新
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猿岩の黒崎半島から壱岐中央部を東へ

美しい湯ノ本湾を見ながら湯ノ本温泉街を通過

「前回、東洋一の砲台跡の項で日露海戦の有名な訓令、“皇国の荒廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ”を紹介したけれど、その発令の前にもうひとつ有名な言葉があるよね。連合艦隊が大本営に打電したもので、“敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ連合艦隊ハ直チニ出動、コレヲ撃滅セントス。本日天気晴朗ナレドモ波高シ”」
「猿岩を見てそんな電文を思い出していたんですか?」
「いや、そういうわけじゃないが、今日は本当にいい天気で、梅雨の中休みというよりも完全に真夏の空だね。太陽が高くなるにつれて海の色がどんどん濃くなってくる。それで“天気晴朗ナレドモ”を思い出したんだが、この美しい海と緑の島でなんと多くの残虐な戦いがあったことか、人間ってじつに愚かしいことをし続けているもんだなあ、と思う。猿岩の猿もきっとそう思いながら、遠くを見つめているんだろう」
「“コレヲ撃滅セントス”なんて、いやね。だから不戦の誓いは何度も繰り返さなくちゃならないと思うけれど、最近の世相は少し気になるわね」
バスの窓から木の間隠れに見える美しい湯ノ本湾

湯ノ本湾には真珠養殖のイカダが浮かんでいる

バスは猿岩に別れを告げ、反時計回りに進んで黒崎園地入口方面に戻る。右手の海岸近くには「壱岐出会いの村」が見える。ここは壱岐の豊かな自然を活かした、総合教育レジャースペースのようなところで、農漁業の体験ができるほか、キャンプ場もあり、資源活用工房、研修施設などがある。左手には青緑色の豊かな表情を見せる美しい湯ノ本湾。点々と浮かぶ真珠養殖のイカダが浮かぶ海面を見下ろしながら、壱岐の中央部へと向かう。湯ノ本湾に落ちる夕陽の美しさは格別だ、とガイドの小西さんがいう。そしてこの湾の光景は日本三景の松島に似ているといわれるが、それ以上ではないか、と小さな声で付け加えた。うん、確かに。

湯ノ本湾に沿うようにして左に回りこみ、湾のもっとも奥まった海岸に沿って東に進み県道174号線に入るのだが、このあたり一帯は湯煙りこそ見えないが、10軒ほどの温泉旅館が立ち並ぶ、離島では有数の温泉「湯ノ本温泉」である。1日の湧出量は3万リットル、平均温度69度、鉄分、硫黄、塩分を含む泉質だそうだ。いろいろな効能があるが、壱岐で「ヒラクチ」と呼ぶマムシに噛まれた傷にもよく効くという。もっとも今年は、天敵のキジが多いせいで、幸いなことにヒラクチは少ないのだそうだ。

湯ノ本温泉「平山旅館」のパンフレットと、女将の平山宏美さん(右)、「壱岐サロン」主宰の酒井晃子さん(左)

さて、ここで1軒の旅館を紹介しなければならない。ならない、というのも変な話だが、この「ゆっくりと島巡り」の読者なら、ブログ「島巡り情報案内〜島遊び島暮らし」をご存じと思うが、そのブログに何度か登場している「壱岐サロン」の主宰者、酒井晃子さんが修業した「平山旅館」が、ここ湯ノ本温泉にあるのだ。

「壱岐サロン」は、壱岐の新鮮な食材による素敵な料理と島のお話の会である。平山旅館で郷土料理の修業をした酒井晃子さんが、壱岐の歴史や風土、食の素晴らしさを東京の人々に紹介したいと願って、平山旅館の女将さん、平山宏美さんと二人で始められた。毎月開催されていて、その開催日やメニューは島ブログでもお知らせしている。ぜひ、島巡りブログをご覧になり、「壱岐サロン」に参加してください(ブログでは、2007年11月8日、12月1日、12月5日、2008年1月8日に掲載しています)。

壱岐出会いの村
〒811-5103 長崎県壱岐市郷ノ浦町新田触
電話:0920-46-0789/FAX:0920-46-0141

平山旅館
〒811-5555 長崎県壱岐市勝本町立石西触77番地
電話:0920-43-0016/FAX:0920-43-0847
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