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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

壱岐島(3)  text & photo Fumihiro Funaki 2007年9月5日更新
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豊かな穀倉地帯から八幡半島の美しい海へ

安国寺の大杉、焼酎工場

壱岐・原の辻遺跡展示館を出ると、夢から覚めたように弥生時代から現在の壱岐島に戻る。梅雨時とは思えない青い空が柔らかな丘陵の上に広がり、雲は地平線あたりにほんのわずか遠慮がちに浮かんでいるだけだ。ぐるりと見回すと豊かな実りを約束された田園が広々と広がり、壱岐という小さな島にいるとは思えない。

沖縄本島を除く、いわゆる離島のなかで最大の島は、ご存じ佐渡島である。それから、奄美大島、対馬島、淡路島と続き、壱岐島は北海道南西の奥尻島に続いて20番目の大きさがあり、全国で数百島に及ぶ有人島の中ではかなり番付は上位にある。佐渡島に初めて行って、南北を大佐渡、小佐渡の山岳地帯に挟まれた国仲平野を見たときには、その大きさに驚いたものだが、ここ壱岐の深江田原(ふかえたばる)平野も相当な大きさを感じる。小さな島の狭い平野などとはとても思えない。

車窓からやっと撮った安国寺。右に見える大木が境内の有名な大杉

さて、バスは展示館から北東へ進み、壱岐島でも、もっとも美しいといわれる海と断崖絶壁が見られる八幡半島突端の「左京鼻」に向かう。

ほどなく進行方向右手に安国寺が見えてきた。安国寺は1339年、足利尊氏が天下の安泰を祈り、元寇の戦死者と、後醍醐天皇の冥福を祈って建立したといわれる古刹だ。そしてその境内の樹齢千年を超える大杉は、高さ30メートル、周囲6メートルの堂々たる大木である。しかし、安国寺参拝は今回の旅程に入っていないので、バスの窓越に見るだけだ。ではせめて写真だけでもと思ったが、あいにくこの付近はバスが速度を落とせないので、なかなかうまく捕らえられない。やっと首を捻じ曲げて、通り過ぎる瞬間に撮ったあやふやな写真を1点ご覧いただきたい。

焼酎メーカー「壱岐の華」のタンク
焼酎工場の隣にこんな立派な小学校が建っている

安国寺を過ぎてやや進むと、今度は「壱岐の華」という焼酎工場の銀色の大きなタンクが見えてきた。壱岐は麦焼酎発祥の地といわれている。明日、別な工場を見学することになっているので、焼酎の詳しい話はその時に譲るが、ガイドの小西さんがもう少し奥のほうを見てくださいという。

「工場に隣りあって建っているのは小学校です。焼酎の仕込み時期になりますとね、教室までプ〜ンといい香りが漂ってくるんだそうです。きっと、この小学校の生徒は大変なノンベエになるんでしょうね」

まさかそんなことはないと思うが、小学校と工場のどちらが先に建ったのか、肝心のところを訊きそびれてしまった。まあいずれにしても、酒は早いうちから鍛えたほうが、何かと都合がいいだろう!!  いや、冗談はともかく、7月18日の長崎新聞が伝えるところによると、ヨーロッパ各国 のトップシェフらの味覚評価による飲食品品評会「iTQi(国際味覚審査機構)」があって、この「壱岐の華」(長田浩義社長)の「尋ね鳥」という焼酎が、最高賞の「三つ星」に選ばれたのだそうだ。焼酎ブームは全国的に沈静化しつつあるようだが、これからは質をアピールして、壱岐焼酎全体の価値を高めていきたいと壱岐の焼酎メーカーは燃えているそうだ。

やはり、小学生のうちから焼酎に親しんだほうがよろしいようで。もっとも小学生諸君は“香り”だけにしておいてね。


バスは美しい田園地帯を走る
壱岐安国寺:公式ホームページ
株式会社壱岐の華:公式ホームページ
iTQi(国際味覚審査機構):公式ホームページ

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