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バスは末吉地区向かって東に進み、ほどなく八丈八景の一つに数えられる「名古の展望台」に着いた。
「皆さん、ここは景色もいいですけど、おいしい焼酎がタダで飲めますよ。では、私がご案内しますから後に付いてきてください。展望台で身を乗り出して転落死した人もいますから、いやこれは冗談ですが、張り切り過ぎたり飲み過ぎたりしないでくださいね」
と播磨ドライバーがいう。末吉の洞輪沢(ボラワザワ)一帯を名古というのだそうだ。港は小さな漁港に過ぎないが、温泉が湧出し、滝があり、人家の周辺を清らかな水が取り巻き、仙郷ともいうべきところだ、と説明の看板に書かれている。
まさに、絶景……。眼下には、洞輪沢漁港から“小岩戸の鼻”という岬まで、海岸線が左から右にゆったりと逆S字を描いて湾曲し、左側には何ひとつ遮るものがない太平洋の大海原が広がる。岬のやや左手前方の海上には運がよければ青ヶ島が浮かんで見えるという。今日は残念ながら見えない。それにしても、この海の青さ。まだ2月上旬で、南国の海らしさは薄いというものの、本土の海では決して見ることの出来ない、紺碧……。その青さは見るものを吸い込むように誘っている。竜宮城伝説はこんな海を見た想像力豊かな青年が思いついたのかもしれない。
ここはまた月の美しいことでも知られている。特に秋の名月の素晴らしさは次のように詠われている。
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