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寝るまで腹の立つことばかりだが、この静かな大きい海を眺めていると、明日からはどんなことにも腹を立てずに済みそうな気がしてくるのであった。
「何をいってるんだか。旅先ではいつもそんなこといってるけど、東京に戻ればすぐに腹を立ててるじゃないの」
連れのこんな憎まれ口にも、腹を立てず、ニッコリと微笑み返すことができた。旅は、たしかに人を成長させる!!
八丈島は、空港のある中央地帯から北側には温泉がない。したがってホテルの風呂も通常の湯だ。部屋の風呂も、大浴場も同じ。そこで、温泉はこれから先の楽しみにとっておき、今夜は何はと
もあれ「飲む&食う」に集中することにした。シャワーを浴びるように簡単に部屋の風呂を使い、タクシーを呼んでもらって、「みつ橋」に向かった。
運転手さんは話し好きで親切な人だった。
「老後は八丈島で暮らしたいって人が結構多いそうですね」
「多いってほどじゃないけど、私も今までに8人ぐらいお世話しましたよ。自分で島の中をいろいろ見て歩いて、気に入った場所があるとそこをすぐに買おうとする人がよくいるんだけれど、そういう人はあんまり長続きしないねえ」
「?」
「私はね、ここに移住したいって人には、もし気に入った場所が見つかったら、半年待ってもう一度見に来て、それでもそこが気に入っているなら買いなさいっていうんです」
「なあるほど。しかし、土地を買って家を建てるとなると、いくら八丈島でも結構な金額になるでしょうねえ」
「そりゃそうですが、東京に比べれば全然違いますでしょ。貸家っていうのもあって、お世話した方もあるんですが、結局は他人が建てたもんですからね、気に入るかどうかは難しいんです。お客さんももし八丈島にお住みになりたいなら、お手伝いしますよ」
「ハイ、その時はぜひよろしくお願いします」
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