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| 焼酎のツマミに最適、滋養豊かで歯ざわりがいい |
すし割烹「みつ橋」の昼食は、期待した通り、いやそれ以上だった。岩のりをつまみに飲んだ、みつ橋オリジナルのイモ・麦ブレンド5年もの焼酎も、メインディッシュの島寿司も、実によかった。海原遠く東京を離れてやってきた喜びを実感できる、爽やかにして濃厚、さらりとしてコクのある重層的な味であった。しかし、その味を一層引き立てたのが、ご主人の人柄だ。島について何の知識もない初めての訪問者が尋ねることに、やや恥じらいを含んだ笑みを浮かべて、必要最小限の言葉で答える。食べ物飲み物の質問には適切にこちらの希望を汲み取り、それ以外の質問には言葉少なく決して結論を押し付けることがない。実に過不足のない対応である。
「ご主人はずっと八丈島ですか?」
連れが、あまり個人的なことは聞くもんじゃない、といわんばかりの目つきで脇腹を突く。
「いえ、私は八丈の人間じゃないんです。おかみさんが、妻ですが、八丈の生まれ育ちでして。今はおりませんが、夜は店に出ますので…」
「ああ、そうなんですか。するとご主人はどこで奥様と?」
連れの脇腹突きが激しさを増す。
「ええ、妻は高校が千葉でして。私は千葉の生まれ育ちで、そこで知り合ったんです」
「ああそうでしたか。海を越えた愛が実ったってわけですね。ご主人もなかなか…」
連れはついに声を出した。
「もう、失礼なことを次から次にいいまして、本当に。申し訳ございません」
「いえ、別に隠すことでもありませんから」
「そうですよね。いいお話じゃないの。こちらの若い人はやっぱり島を出たがるんでしょうねえ」
「ええ、そういう人が多いようです」
「あの、今夜は空いてますか? 奥様にもお目にかかりたいし、ホテルで食事するよりもこちらで、ぜひ一杯やりたいんですが」
「はい、ありがとうございます。同じお席を用意しておきます。5時過ぎでしたら何時でもかまいません。お待ちしております」
夜の食事はこうして決まった。何事もなりゆきのまま。人を信ずればすべて事はうまく運ぶのである。連れは夜もまたこの調子かと心配そうだったが。
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