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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

奄美諸島 [徳之島、沖永良部島、与論島] (1)  text&photo Fumihiro Funaki 2008年7月17日更新

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闘牛と長寿の島「徳之島」へ(1)

昼なお薄暗いソテツトンネルと、展望台からの圧倒的な海の眺望

ソテツトンネルは金見荘のすぐ近くに入り口がある。案内の看板に従って歩いていくと、ほどなく中の道が薄暗くみえる入口に着く

砂浜を歩いたのでオニギリはほどよく消化し、体が軽くなった感じがする。やはり旅はいい。東京には空がない、とまでは思わないが、老後いつまでも身を置くところでもない、なんて思う。金見荘からほんの数分歩くと、ソテツトンネルがある。奄美大島にも見事なソテツ群生地があるが、ここ徳之島のソテツトンネルも、かなりの大木がまさに細い道の両側に生い茂り、約200メートルのトンネルを形成していて見事だ。

枯れた葉はゆっくりと朽ちるので、足もとはこんな具合になっているところもある

元々は島民が畑の境界線として植えたものだという。樹齢300年とも400年ともいわれる200本以上のソテツの古木は、歩く道が薄暗くなるくらいに密生している。木の間から外側をみると、なるほど畑になっているところがある。羊がヌーッと顔を出して驚かされたりした。そうだ、境界線を作るだけではなく、ソテツにはきっと防風林の役目もあったのではないだろうか。ここは台風の通り道だから、暴風は畑に甚大な被害を与えるはずだ。それに海風に含む塩分を避ける目的もあったに違いない。ソテツに縁取られた畑を見て、八丈島の畑にもこんな感じのところがあった、と思い出した。

ソテツの向うの畑からヤギがヌーッと顔を出した
ソテツトンネルが終わると階段の向うに展望台がある

この昼なお薄暗いソテツのトンネルを抜けると展望台に出る。風が強く、時々頬に冷たい雨粒が当る。これはまずい。嵐になるのかと空を見上げると、パラパラと雨粒を落として警告するだけで、それ以上激しく降る気配は今のところない。

展望台から、徳之島東端の絶海を堪能した。展望台のまっすぐ先に、金見崎の灯台が見える。その位置から左が東シナ海、右が太平洋だ。今日はこんな天気なのでどちらも同じように、海面は小さな波が絶え間なく生き物のようにザワザワと沸き立ち、時々白く波が崩れていた。今、この瞬間に雲が切れて、太陽が少しでも顔を出せば、映画の画面がモノクロからカラーに突然変わったように、眺望は一変するだろうに、と思うと悲しくなった。しかしまあ、これはこれで美しい。南の島の海がいつも穏やかで、コバルトブルーに輝いているわけではないのだから。

展望台から見る南の太平洋の絶景。太陽が出ていたらどんなに見事だったろう
波立つ海の向うには、加計呂麻島が霞んで見えた

そしてこんなに曇っているのに、はるか北の海の水平線上には山並が霞んで見える。奄美大島の南の加計呂麻島だ。このように姿を見せてくれたことが、とてつもなく大きな恵みであるように感じられた。そうです、人は飽食してはいけない、常にいくらか空腹であることが、食の恵みに感謝を感じ、自然との一体感が得られるのだ。


展望台の先には金見崎の灯台がある

と、偉そうなことをいっているが、今夜の黒糖焼酎と金見荘ご自慢の「長寿鍋」が、早くもチラチラと脳裏に浮かぶのでありました。しかしまだ午後2時。これから見たいところがたくさんあるのです。



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