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ゆっくりと島巡り 案内人 船木文宏

奄美大島(9) 2007年1月24日 text&photo Fumihiro Funaki
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黒糖焼酎を味わい、奄美の歴史を振り返る

米麹を使って焼酎に、水は奄美随一の名水

やや空きっ腹ながら黒糖焼酎製造工場の見学をした。説明は階段を上がって2階で受ける。壁には製造工程や焼酎の成分表などが貼ってあり、ちょっと化学の授業みたいな雰囲気である。説明員もどこか中学校の熱心な教師、というイメージだ。ここで驚きましたね。Kさんが、先生に見つからないように悪さをするみたいな感じで、そっと私の袖を引いて耳打ちをしたのである。

「Fさん、これ見てよ。この圧力メーター。これね、ウチの会社の製品なんだ。ちょっと古いんだが、この工場で使う分には問題ない。私は営業じゃないから、こういうところに使われているなんて、まったく知らなかった」
製麹機。これについている圧力計がKさんの会社の製品だった

いや〜、驚きました。こういうことってあるんですね。このようなツアーで知り合ったメンバーは、あまりお互いの職業など披露しあうことはない。Kさんも別に教えるつもりはなかったろう。まったくの偶然で、自分の手がけた製品に予想もしないところで出会い、たまたまそばにいた私に、その驚きを伝えたに過ぎないのだ。しかし、披露するともなく仕事を知ってしまうと、親しみは一層深まるものだ。これも、予期せぬ旅の楽しみの一つである。


さあ、せっかくですから、ここで黒糖製造の流れを簡単に紹介いたしましょう。そうそう、中学の授業のように、退屈でしたら居眠りしてもいいし、別な本を読んでいただいても結構です。


(1) 原料米・洗米:
原料米を水に就けて洗米し、そのあと蒸す。
(2) 蒸米:
麹(こうじ)をつくるのに一番重要なのがこの工程。
冷やして種麹を散布し、保温する。
(3) 製麹:
自動製麹機に麹を移し変え、強力な麹菌を育成する。
35度C、40度Cの適温を保つ。麹は40〜45時間で熟成する。
(4) 1次仕込み:
5〜7日間熟成させた麹を水で仕込み、発酵させて酒母をつくる。
(5) 2次仕込み:
1次仕込みの酒母を別のタンクに移し替え、主原料の黒糖を蒸気で溶かし、冷却して仕込む。10〜14日を経過するとアルコール分が14〜16度になる。
(6) 蒸溜機:
2次仕込みの熟成もろみを蒸溜する。溜出した焼酎を検定タンクに移す。
(7) ろ過・貯蔵:
検定タンク内の焼酎を冷却し、不純物を除去し、ろ過して貯蔵する。
(8) 瓶詰め:
長期貯蔵の後、自動瓶詰機で王冠とをつけ、ラベルを貼る。
どの工程も衛生的に処理される。

 
黒糖融解のタンク
  検定タンクなど、さまざまなタンクはすべてステンレス製

 
麹棚。ここで麹を熟成させる
  壁に貼られた説明は極めて詳細だ

ここ奄美大島酒造では、上質な黒砂糖を全材料の60%以上使っている。また味の決め手になる水は、奄美大島でもっとも美味しいといわれる、龍郷町の山麓に湧き出る自然地下水を120メートルボーリングして、独自のパイプラインで送水したものを使っている。さらに、1982(昭和57)年7月の新工場完成とともに、全タンクをステンレス製に替えて衛生面でも一段の配慮をしている。

香り高く自然でまろやかな口当たり、喉越し極上の黒糖焼酎は、糖分ゼロ、無添加の健康食品でもある。もっとも、飲みすぎは常にいけませんが…。

(以上の説明とカットは、奄美大島酒造の説明張り紙、パンフレットにしたがった)


奄美大島マップ
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