「日蓮聖人入滅の霊場」として700年余り法灯を護り伝える東京大田区の池上本門寺で、
7月22、23日に「
Slow Music Slow
LIVE'06」というコンサートイベントが行なわれました。私は日曜日の23日に行ったのですが、奄美大島出身のミュージシャン中 孝介(あたりこうすけ)が出演しました。
“Ruby Evening”と銘打ったミュージシャンは他に、べべチオ、MONDAY満ちる、アン・サリー、ゴンチチ、吉田美奈子&河合代介 DUO feat.渡辺香津美。
本門寺正面の仁王門から向かって右手にある五重塔を少し下ったところにある、PAや照明施設もしっかりある常設の広いスペースが会場でした。ステージから見ると丁度正面に五重塔が見え、ミュージシャンたちは夕闇せまる森にライトアップされた五重塔と向き合い、せせらぎのような蝉の声を聞きながら、ゆったりとした気分で演奏できるようです。聴いている我々もとてもリラックスできる素晴らしい空間でした。少し蒸し暑く雨が降りそうだったけれど、幸い最後まで霧雨程度ですみました。
副題に「3回目を迎える、夏の大人のための野外イベント」とあるように、単なるコンサートというより、オーガニック野菜の販売やお酒も愉しめる、とてもリラックスした空間を演出していました。まず本門寺副住職さんからの呼び掛けで長崎集中豪雨で被害に遭われたり亡くなられた方々への黙祷を行いました。それから「この瞬間(とき)に感謝しよう、思いやりの気持ちを広めてこの殺伐とした時代を少しでも良くしていきましょう」という話があり、お寺でイベントをやる意義や活動というのは、こういうことなんだなぁと感心しました。
中孝介はオープニングアクトとして最初に登場しました。元ちとせと同じ奄美大島出身という程度しか知らず、3月デビューということもあって、知っている曲は2曲だけでした(J-WAVEジャムザワールドのエンディング曲なっています)。彼は白いシャツにパンツ、短い髪型、まるでスタッフかと思うような地味なイデタチで登場し、グランドピアノだけの伴奏で唐突に歌い始めました。
目を閉じて片手にマイク、片手でリズムをとるような(平井堅のような感じ)祈るようなしぐさで歌い、紡ぎ出されるメロディーは、シンプルゆえに力強く、やさしく、味わい深い、とても印象的なものでした。こういうのを“癒し”といっては少し失礼なのかなとも思いましたが、飾らない純真な魂、大自然、南の海を連想させ、何かが心の琴線に触れる本物のボーカリストだなあと感じました。
そして1曲歌い終わると、いま歌った曲について語り始めました。その語り声は26歳とは思えない落ち着いたもので、彼の飾らない人柄とブレの無い芯の通った生き方を表しているようでした。都会の虚勢、忙しさ、エゴイスティックな部分、これらすべてを排除していこうという彼の強い意志を感じました。こういうミュージシャンがもっと自由に活躍できる土壌が出来てくると本当に素晴らしいのですが、これはリスナーである我々が支えていく問題でもあると思います。
彼の歌を聴いていると、私も奄美大島にいつか行って見たい(できれば住んでみたい)と思ってしまいました。奄美大島に“なつかしゃ”という言葉があって、標準語の“懐かしい”とはちょっと違う感覚で、人を愛しく思ったり、故郷や家族を思って郷愁にかられたり、何かが心に触れた瞬間に“なつかしゃ”という言葉が出てくるそうですが、奄美大島の人と“なつかしゃ”を共有できたら本当に素晴らしいだろうなぁと感じました。
(WebデザイナーYK)