|
ホレス・シルヴァー(Horace Silver/ピアノ 1928-)が、ニカ夫人に贈ったファンキーなハード・バップ・ナンバー。初演は、アート・ブレイキー(Art
Blakey/ドラムス 1919-90)、ドナルド・バード(Donald Byrd/トランペット
1932-)、ハンク・モブレー(Hank Mobley/テナー・サックス 1930-86)、ホレス・シルヴァー、ダグ・ワトキンス(Doug
Watkins/ベース 1934-62)というメンバーで吹き込んだ「THE JAZZ MESSENGERS/ART BLAKEY」という作品(CBS/1956年)。この楽曲をはじめ、タイトルにニカ夫人の名前を使ってジャズメンが作曲した曲はいくつもあって、
「Nica /ニカ」:ソニー・クラーク(Sonny Clark/ピアノ 1931-63)
「Pannonica/パノニカ」:セロニアス・モンク(Thelonious Monk/ピアノ
1917-82)
「Thelonica/セロニカ」:トミー・フラナガン(Tommy Flanagan/ピアノ
1930-2001)
「Nica's Tempo/ニカズ・テンポ」:ジジ・クライス(Gigi Gryce/アルト・サックス
1927-83)
「Tonica/トニカ」:ケニー・ドーハム(Kenny Dorham/トランペット 1924-72)
「Blues for Nica/ブルース・フォー・ニカ」:ケニー・ドリュー(Kenny Drew/ピアノ
1928-93)
「Nica Steps Out/ニカ・ステップス・アウト」:フレディ・レッド(Freddie
Redd/ピアノ 1928-)
など、多くのジャズ・ミュージシャンたちが、彼女のために曲を書いている。
ニカは、1913年ロスチャイルド家の令嬢として生まれたキャサリーン・アニー・パノニカ・ロスチャイルド(Kathleen Annie Pannonica Rothschild/Pannonica de Koenigswater 1913-88)の愛称。彼女は1935年、フランスの外交官ジュールズ・ド・ケーニングスウォーター男爵と結婚。5人の子を授かったが、1951年に別居。その後彼女は、ニューヨークの高級ホテルへ移り住み、戦後のパリで体験した“ジャズ”への思いを胸に、音楽への情熱を燃やす多くのミュージシャンの後援者として、公私にわたる援助を行ない“ビバップのミューズ”とも呼ばれた。
ホテルのスウィート・ルームで、食事つきのジャム・セッションを開くなど、ミュージシャンとのエピソードは数多く、映画『BIRD/バード』でニカ夫人がチャーリー・パーカー(Charlie Parker/アルト・サックス 1920-1955)の最後を看取るシーンがあったが、あれも実話をもとにしたエピソードだ。
|