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名曲の楽しみ JAZZ/WorldMusic編 案内人 船木文宏

JAZZ/World Music編 (11/27更新) JAZZトップへ戻る
Days Of Wine And Roses/酒とバラの日々
  作詞:Johnny Mercer(ジョニー・マーサー)
  作曲:Henry Mancini(ヘンリー・マンシーニ)
ジャズ・ファンにはお馴染みの定番曲。1962年の同名映画(※)の主題歌で、同年のアカデミー賞映画主題歌賞を獲得、さらに翌63年度のグラミー賞のベスト歌曲賞にも輝いた。映画では小さく流れる程度にしか使われていないが、フランク・シナトラやペリー・コモ、ジュリー・ロンドンなど多くのシンガーによって歌われポピュラー・ナンバーとして定着。キャピトル・レコードを創設し、初代社長を勤めていたマーサーと、この前年には『ティファニーで朝食を』の主題歌「ムーン・リバー」が大ヒットしていたマンシーニ。まさに脂が乗っていた時代の作品だ。
(※)『DAYS OF WINE AND ROSES』(1962年アメリカ )監督:ブレイク・エドワーズ

ジャック・レモンとリー・レミック主演のアルコール中毒をテーマにした物語。酒を手放せないジョー(ジャック・レモン)と、チョコレートが大好きなカーステン(リー・レミック)。ひょんなことから知り合った二人がはじめてデートに行ったとき、「酒なんて飲んで何が楽しいの?」というカーステンにジョーが飲ませたのがブランデー・アレキサンダー。

それで味をしめ、結婚後の二人はウイスキー、そして落ちぶれてからはジンをストレートで飲む。失業し、二人は妻の親が経営するバラ園で出直そうとするが、好転の気配に再びボトルが登場して…。

当時、ジン・ストレートはアル中患者の代名詞だとみなされていたので、ドライ・マティーニはその隠れ蓑だったという説も。


〜ワインとバラの関係〜

欧州やその他世界各地のワインを生産するブドウ畑では、ブドウ畑の周りにバラを植えたり、ブドウの木の間にバラを植える。バラとブドウの木は性質的に似ていて、寄生する病害虫も非常に似ているようで、ブドウの木の健康状態を観察するためのようだ。

ブドウの木のほうがバラに比べてたくましく、バラは非常に繊細で土の状態が少しでも悪いと、ブドウの木より先に害虫や病気に罹ってしまう。バラに虫がつきだせば、つぎにブドウの木がやられることになるので、すぐに殺虫、殺菌の手配をする…ということ。バラが美しいブドウ畑は、ちゃんと手入れをされている“証”なんだとか。


ちなみに作詞のジョニー・マーサーはパーティなどで酔って暴れしまうことがあったそうで、そうした翌日には、不愉快な思いをさせた相手にバラの花束を贈って詫びる習慣があったそうだ。なんとも洒落ている。

必聴オススメ盤
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プリーズ・リクエスト

オスカー・ピーターソン・トリオ

UCCU-5006
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オスカー・ピーターソン(Oscar Peterson/ピアノ,1925-)といえば、まずはこれ。陽気で軽快、艶やかでいて派手すぎず、キッチリと節度を保っていて、一音一音の切れも良く、趣味のいいスウィング感も絶妙。息の詰まりそうな早いフレーズから、バラードでの甘美なリリシズムまで、お手本のような堂々たるプレイ。レイ・ブラウン(Ray Brown/ベース,1926-2002)、エド・シグペン(Ed Thigpen/ドラムス,1930-)とのトリオ。1964年10月19日と20日、ニューヨークでの録音。

録音当時の大人気ヒット曲の数々を収録。ジャズ・アレンジもゴキゲンなピアノ・トリオ・アルバムに仕上がっている。しかし“黄金のトリオ”とまで呼ばれたこのトリオは、本作をもって解散。ジャズの美味しいところをすべて持ち合わせた傑作。録音も良好。


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ア・ハッピー・アフタヌーン

ディーター・ライス・トリオ

UCCU-5521
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西ドイツ最大の家電メーカーであったサバ(SABA)の重役、ハンス・ゲオルグ・ブルーナシュワー(Hans Georg Brunner-Schwer)は、サバ電気の中にレーベルを設けてアルバムを積極的にリリースしていた。自らアマチュア・ピアニストであり、熱心なジャズ愛好家で、自宅リヴィングにはスタインウェイのピアノが置かれ、プライベート・スタジオまでもつというオーディオ・マニアでもあった。彼は1968年にサバ電気がゼネラル・エレクトリックに吸収されると、自らサバ・レコードを買い取り、同地にMPSレコードを新設した。

1961年頃からオスカー・ピーターソンと親交をもち、また、ドイツにやって来たジャズ・ミュージシャンを招いてはこつこつと録音を行なっていた。ピアニストでありプロデューサーであり、レコーディング・エンジニアでもあった彼は、自分で気に入ったピアニストを探し、説得し、プロデュースし、自らレコーディングをした。そういった訳でピアニストのアルバムが多いMPS、ピアノの録音にかけてはそうとう力を注いでいたようだ。オスカー・ピーターソンが彼の録音したテープを聴いて、自分のピアノの音がこんなに美しく録音されたのを今まで聴いたことがない、と語ったというエピソードもある。そういった熱意のこもったアルバム製作が、当時の録音のレベルをはるかに越える、ヨーロッパ随一の“音がいい”レーベルとして評価されるようになった。

本作はドイツ出身のピアニスト、「時計のライス」の愛称で知られるディーター・ライス(Dieter Reith,1938-)の代表作。ペーター・ウィッテ(Peter Witte/ベース、生没不詳)、チャーリー・アントリーニ(Charly Antolini/ドラムス,1937-)とのトリオ。1966年8月23日と24日、フィリンゲンにて録音。

いかにもヨーロッパらしい、正確無比でパワフルなドラム、クールでモダンなセンスのベースライン、破綻のない極めて知的でリリカルなピアノ。それにプラス、ファンキーな表情を覗かせるアレンジが、タイトで小気味良いスィング感を生み出していている。

時代を感じさせない、硬質で瑞々しいサウンドもMPS盤ならではの素晴らしさ。

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ミシェル・ペトルチアーニ

ミシェル・ペトルチアーニ・トリオ

UCCU-5346
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欧州最高のサイドメンをバックに得て、当時18歳3ヵ月の天才ピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani,1962-1999)の出現を告げた記念すべき作品。録音としてはこの前に『フラッシュ-Flash』 (1980年) という作品があるが、発売は後年なので、これが実質的な記念すべきファーストアルバム。1975年にフランスの写真家ジャン・ジャック・プショーによって設立されたOwl(アウル)レーベルの中でも、熱心なジャズ・ファンの間では“赤のペトちゃん”“赤ペト”の愛称で知られる本盤。ジャン・フランソワ・ジェニー・クラーク(Jean-Francois Jenny-Clark/ベース,1944-1998)、アルド・ロマーノ(Aldo Romano/ドラムス,1941-)のトリオによる、1981年4月3日と4日、オランダ「Spitsbergen Studio」での録音。

優雅で気品ただようこの楽曲「酒とバラの日々」のイメージを、見事に再現してくれているのが本盤に収められた演奏。心のひだにじんわりと沁みこむ流麗な演奏でありながらも、その奥にある熱っぽさをヒシヒシと感じる。もし映画を知っている人であればこちらをオススメしたい。物語での感情や情緒を感じていただけるだろう。

写真家のプショーによって始められたレーベルらしく、ジャケットのアート・ワークにも秀逸な作品が多く、そちらも魅力的。

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ス・ワンダフル

ザ・グレイト・ジャズ・トリオ

VRCL-18822
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最近の録音で聴きたいという方にオススメ。ハンク・ジョーンズ(Hank Jones/ピアノ,1918-)、ジョン・パティツゥーチ(John Patitucci/ベース,1959-)、ジャック・デジョネット(Jack DeJohnette/ドラムス,1942-)、百戦錬磨のベテランらしい抜群のコンビネーション。ジャズ界の誇る名匠、ハンク・ジョーンズは2006年7月31日に88歳を迎えた、現役バリバリのピアニストである。「もっとピアノが上手くなりたいな。まだまだ学ぶべきことがたくさんある。最低でも150歳まで生きるつもりだから、まだ上達する時間はあるはずさ」と笑顔を絶やさないハンク。

作曲者の意図したであろう旋律をできるだけ忠実に解釈し、自分なりの個性を加えた上で音楽的に成立させることを最も大切にしていると語る。互いに触発し合い、作り出された極上の雰囲気。フィーリング、趣味の良さ、どれをとってもジャズに溢れている。


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ヴォヤージュ

アン・サリー

VACM-1188
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ソウル・ボッサ・トリオのゴンザレス鈴木氏に見出され、内科医でありながらシンガーとしてもデビューした彼女(Ann Sally,1972-)の、2001年のファースト・アルバム。ロベルト・メネスカル「O Barquinho(小舟)」、チャップリン映画でお馴染みの「スマイル」、イヴァン・リンス「Emoldurada(エモルドゥラダ)」、マリア・マルダー「真夜中のオアシス」、ジョニ・ミッチェル「青春の光と影」「all I want」などセンス抜群の選曲。しなやかで伸びやかな温い歌声。アコースティックを基調とした透き通るようなサウンド。心の緊張がほどけていく心地よい響き。飲みすぎた次の日、冬の乾いた西日を浴びながら…。

イヴァン・リンス「Velas(ヴェラス)」のカヴァーでは、ジャズ・ハーモニカの大御所トゥーツ・シールスマンス(Toots Thielemans,1922-)も参加している。


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