まるで食べる薬のような根菜
牛蒡(ごぼう)は孤高の野菜である。料理といえばきんぴら、かき揚げ、ゴボ天、それに柳川鍋などがすぐに思い浮かぶが、これほど日常の食材に牛蒡を使うのは日本だけであるようだ。欧米人には「日本人は木の根を食べている」ように見えるらしい。調理前の泥付き牛蒡を見ると、その気持ちもわからなくもない。そのためか、日本以外ではほとんど食材として認められることのない野菜なのである。 原産はユーラシア大陸の広範囲で、中国から日本へ伝わり「牛蒡」の記述が出てくるのは平安時代。中国ではいまも漢方薬として利用されていることからもわかるとおり、体にいい根菜なのである。
例えば牛蒡独特の歯応えは、糖質のイヌリンや繊維質のセルロールなどで、これは野菜のなかでもトップクラスの含有量を誇り、便秘解消や腎機能を高める効果がある。このほか中国では、発汗、利尿効果、ノド痛、解毒作用などの漢方薬として使われているというから、まさに食べる薬のような野菜なのだ。 旬は秋から冬にかけて。牛蒡の旨味や香りは皮に多く含まれるので、買うなら泥付き牛蒡がいい。ただし香りはすぐに抜けるので、入手したらなるべく早めに食べるようにしたい。 その泥付き牛蒡を、従来のイメージからガラリと変えるような料理に仕上げたのが「牛蒡の粒マスタード煮」「牛蒡の柚子塩きんぴら」「牛蒡チップス」の3品。ご覧のとおり、他の食材とのコラボレーションはなく、ほとんど牛蒡だけの料理である。まさに孤高の野菜の真骨頂。しかもこれが簡単かつじつに美味しいのだから、牛蒡の旨味やおそるべしである。太くて長い牛蒡さえ、あっという間に1本食べてしまうほどで、ぜひお試しいただきたい。 |
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