あのぬめりが栄養の宝庫
郷愁に誘われる野菜が里芋である。若いころには見向きもしなかったのに、40歳を過ぎたあたりから煮物や衣(きぬ)かつぎを食べると、妙に懐かしさを覚えて、その味がしだいに忘れられなくなる。いうならば田舎料理、おふくろの味の代表選手が里芋だろう。
原産はインドやマレー地方で、日本に渡ってきたのは縄文時代中〜後期というから、古代日本人は稲作前から里芋を食べていたことになる。葉柄(ズイキ)は非常食にもなった。
これが郷愁を覚える理由かどうかは定かではないが、でんぷん質主体で低カロリー、食物繊維も豊富。あのぬめりに含まれるムチン、ガラクタンには消化促進、免疫力向上の効果もあり生活習慣病の予防に効果があるので、現代人もどんどん食べたい野菜なのである。
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| 葉の枯れた冬も地中に眠る里芋 |
また芋といっても、じつは茎が地中で肥大化したもの(塊茎)で、親芋、子芋、孫芋と増えていく(とくに八頭=やつがしら)ことから、子孫繁栄の縁起物として正月料理にも使われる。子芋を食べるのは土垂(どだれ)や石川早生(いしかわわせ)という品種。親芋を食べるのは筍(たけのこ)芋、親芋・子芋を食べるのは海老芋、セレベス(インドネシアのセレベス島から移植された品種)などがある。東北の秋の風物“芋煮会”でも主役になるように、収穫は初秋から始まるが、写真のように冬まで地中に蓄えてから収穫することも多い。
ここでは冬の滋養食として、郷愁とはひと味もふた味も違うお洒落な2品を紹介しよう。「里芋の明太子和え」と「里芋のグラタン」がそれで、ちょっと驚きの美味しさなのである。
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