味わいが異なる「寒玉」と「春玉」
トンカツや牡蠣フライ、ギョウザや野菜炒めなどで欠かせないのがキャベツである。しかし悲しいかな、キャベツを食べたいからとこれらを作る、または店で注文する人は少ない。いや、まずいない。
キャベツはどこまでも肉の引き立て役を粛々と演じているだけである。ときに主役をまかされる「ロールキャベツ」でさえ、人はそこに包まれた挽き肉を期待する。
だが、キャベツにはビタミンCのほか、骨を強くして骨粗鬆症予防効果のあるビタミンKやキャベジンとも呼ばれ胃や十二指腸の潰瘍予防・治療効果のあるビタミンUなどが含まれる。
だから、キャベツはめげない。脇役でもいいじゃないか、料理を美味しく健康に食べてもらえれば……。キャベツを食べるとき、そんな呟きが聞こえてきそうだ。なにしろ1年中あるから、ありがたみが少ない。だから旬の味など無縁の野菜と思われている。ところが調べてみると、キャベツは年中旬の野菜らしいのである。
キャベツが日本に伝わったのは江戸時代。外国人居住者が食料として持ち込んだのが、江戸末期から明治時代ごろ日本でも栽培されるようになったらしい。甘藍(かんらん)とも言っていた。
キャベツの栽培は暑さを嫌うので、温暖な地方では秋から冬にかけて種を蒔いて春に収穫し、一方高冷地では夏に種を蒔き、秋から冬に収穫する。というわけで年中供給されるキャベツだが、生産地や収穫期によって味わいもさまざまだ。

春キャベツ(新キャベツ)は早春から初夏に収穫、夏秋キャベツ(高原キャベツ)が7〜10月、そして冬キャベツが11月〜3月ごろまで出荷される。
キャベツはまた「寒玉」や「春玉」「丸玉」とも呼ばれる。
寒玉とは冬キャベツの中で、特に越冬して厳冬期から初春に収穫されるものをいい、葉と葉の間が密集していて甘みがあり、煮込み料理でも煮崩れしないのが特徴。また冬キャベツは千切りやお好み焼きにも合う。
一方、春玉は春キャベツのことで、黄緑の葉が中まであり、葉と葉が緩く重なって、瑞々しいのが特徴。サラダなど生食に向いている。
今回は1個の冬キャベツで、煮込み料理と千切りのふたつの味わいを堪能していただこうと「スタッフドキャベツ」と「コールスロー」を紹介する。それぞれ、キャベツの甘みと瑞々しさを楽しめるもので、立派に主役を演じるメニューである。
特にコールスローでは、生食なのでキャベツに多く含まれるビタミンC(外の葉や芯の部分に特に多い)をたっぷり摂ることができる。
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