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海釣りの醍醐味は青物に尽きる。少なくとも、私の周りではそうだ。群が回ってきたと聞くや、目はうつろ、仕事も手につかず、ついには会社に病欠届けを出して港に走る人もいる。青物はそれほど釣り人を興奮させる魔力があるのだ。
鮮魚店での青物はサバやカツオ、イワシなどだが、釣り人がいう青物は、カンパチ、ヒラマサ、ブリなどアジ科の回遊魚を指す。どれも超美味の魚だが、釣り人を狂乱させるのはその引き味である。なかでカンパチはパワーが身上のターゲットだ。
釣り方はいろいろあるが、私がハマったのは、まずムロアジやイカを釣り、それを生きエサにする釣法で、ハリスはナイロン30号以上。ヒラメと同様、エサをくわえたときの前アタリがあり、それを呑み込むと竿が一気に海中に引き込まれる。ここまででも心臓バクバクなのに、この後のやりとりでは、まさに「ファイト」という言葉がふさわしい体力勝負となる。
体力に自信がない私など、ブリ級(7〜8kg)と思った引き味が3kg級。竿を立てるのがやっとで、リールが巻けないほどのされたのが7kgだった。だから釣り上げたときは、ほかの魚では味わえない達成感に満たされるのだ。それだけに、釣ったカンパチは余すとこなく美味しくいただきたい。そこで今回はその中から、なにはともあれ刺身、それも腹身部分の「トロ・カンパチのお造り」と、頭もきっちり食べ尽くすべく「アラ煮」を紹介しよう。もちろんカンパチに限らず、ほかの青物でも美味しいので、ぜひお試しいただきたいメニューだ。
すき引きのススメ
まず下処理。今回の食材は三宅島で釣れた10kgのカンパチ。とはいえ、ウロコは小さいので、すき引きでウロコを取る。カンパチに限らずブリ、ヒラマサもウロコが小さいので、このすき引きは覚えておきたい。包丁を寝かせて、薄く皮ごとウロコを取る技は、ちょうどマアジのゼイゴ(ゼンゴともいい、尾の付け根から延びるトゲ状のウロコ)を取るのに似たやり方だ。それにすき引きは、ウロコが飛び散らないという利点もあるので、数釣りできるイナダ(ブリの若魚、関西ではハマチ)で練習するといい、と細山さんは言っていた。ただしその後の三枚おろしのときに、包丁が入りやすくするためと、ウロコが身に混じらないように、背ビレの付け根まできれいにすき引きできるようにしたい。
ウロコを取ったらエラを取る。大型魚では腹を上にしてエラ蓋を手で広げ、そこから包丁を入れてエラの付け根を、半円を描くように切っていく。魚を元の位置に戻したら、エラ下の、ノドにあたる部分を切り、その切り口中央から腹にも切れ目を入れておく。次に下アゴ側のエラの付け根を切り、最後に背骨側のエラの付け根を切って、手でエラを引っ張ると内臓も一緒に取り除くことができる。
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