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はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月  2006.9.20更新


連載 第22回 料理指導 細山和範(船宿割烹「汐風」店主)

二十四 カンパチ 引き味は強烈、食味もすごい!絶品刺身と、骨までしゃぶり尽くす「アラ煮」 「トロ・カンパチのお造り」「アラ煮」

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海釣りの醍醐味は青物に尽きる。少なくとも、私の周りではそうだ。群が回ってきたと聞くや、目はうつろ、仕事も手につかず、ついには会社に病欠届けを出して港に走る人もいる。青物はそれほど釣り人を興奮させる魔力があるのだ。

鮮魚店での青物はサバやカツオ、イワシなどだが、釣り人がいう青物は、カンパチ、ヒラマサ、ブリなどアジ科の回遊魚を指す。どれも超美味の魚だが、釣り人を狂乱させるのはその引き味である。なかでカンパチはパワーが身上のターゲットだ。

釣り方はいろいろあるが、私がハマったのは、まずムロアジやイカを釣り、それを生きエサにする釣法で、ハリスはナイロン30号以上。ヒラメと同様、エサをくわえたときの前アタリがあり、それを呑み込むと竿が一気に海中に引き込まれる。ここまででも心臓バクバクなのに、この後のやりとりでは、まさに「ファイト」という言葉がふさわしい体力勝負となる。

体力に自信がない私など、ブリ級(7〜8kg)と思った引き味が3kg級。竿を立てるのがやっとで、リールが巻けないほどのされたのが7kgだった。だから釣り上げたときは、ほかの魚では味わえない達成感に満たされるのだ。それだけに、釣ったカンパチは余すとこなく美味しくいただきたい。そこで今回はその中から、なにはともあれ刺身、それも腹身部分の「トロ・カンパチのお造り」と、頭もきっちり食べ尽くすべく「アラ煮」を紹介しよう。もちろんカンパチに限らず、ほかの青物でも美味しいので、ぜひお試しいただきたいメニューだ。

すき引きのススメ

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02.下処理1 ウロコ・エラ・内臓取り

まず下処理。今回の食材は三宅島で釣れた10kgのカンパチ。とはいえ、ウロコは小さいので、すき引きでウロコを取る。カンパチに限らずブリ、ヒラマサもウロコが小さいので、このすき引きは覚えておきたい。包丁を寝かせて、薄く皮ごとウロコを取る技は、ちょうどマアジのゼイゴ(ゼンゴともいい、尾の付け根から延びるトゲ状のウロコ)を取るのに似たやり方だ。それにすき引きは、ウロコが飛び散らないという利点もあるので、数釣りできるイナダ(ブリの若魚、関西ではハマチ)で練習するといい、と細山さんは言っていた。ただしその後の三枚おろしのときに、包丁が入りやすくするためと、ウロコが身に混じらないように、背ビレの付け根まできれいにすき引きできるようにしたい。

ウロコを取ったらエラを取る。大型魚では腹を上にしてエラ蓋を手で広げ、そこから包丁を入れてエラの付け根を、半円を描くように切っていく。魚を元の位置に戻したら、エラ下の、ノドにあたる部分を切り、その切り口中央から腹にも切れ目を入れておく。次に下アゴ側のエラの付け根を切り、最後に背骨側のエラの付け根を切って、手でエラを引っ張ると内臓も一緒に取り除くことができる。

大きな包丁で大きく切る

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03.下処理2 二枚おろし〜サク取り

ウロコ・エラ・内臓を取って水洗いしたら、頭を切り離す。これは「アラ煮」にするので捨てずに取っておく。次にサク取りするため三枚おろしにするのだが、今回は大型なので二枚おろしにした片身をサク取りした。背ビレの上から切り込みを入れ、その切れ目から何回かに分けて徐々に深く、背骨にコツコツと刃先が当たるまで切っていく。腹側も同様に背骨まで切り込みを入れたら、尾の方から包丁を入れて片身を切り離す。細山さんは、こうした大型魚を捌くときは、大きな包丁で大きく切っていくときれいに仕上がると言っていた。

切り離した片身は、カマの部分を切り取る。これは塩焼きにすると美味しい。次に腹骨をすき取る。これは頭と一緒に「アラ煮」にする。この後サク取りする。サク取りとは、刺身や切り身にする前に、その大きさに見合ったブロックに切り分けることで、小骨のところから背側・腹側に切り分けるのが基本だが、大型魚ならさらに切り分ける。また釣りたての魚なら、サクにしてラップで空気を抜いて包み、冷蔵庫で2日ほど寝かせると脂が回って美味しくなる(詳しい手順は映像を参照)。

トロ・カンパチのお造り

映像を見る 04.皮引き〜盛り付け

材料
カンパチ(腹身)
ダイコンのツマ
ワカメ
大葉

刺身にするのは腹身。マグロでいうところの大トロの部分だ。皮を引いたら刺身にする。そのとき包丁をノコギリのように押したり引いたりして切らないこと。刃元から切り込みを入れたら、刃の7〜8割を使って手元に引きながら切るのが美味しく、そしてきれいに切るコツだ。

盛り付けは、皿にダイコンのツマを敷き、その上に大葉と、水で戻し適当な大きさに切ったワカメを散らし、そこに刺身を並べてワサビを添えれば出来上がり。

淡いピンクの身に細かいサシがびっしり入った刺身はまさにトロ。これが超美味! トロといえばマグロのイメージだが、カンパチでは身に歯ごたえがあって、なんとも贅沢な甘みがじわっとにじみ出てくる。この味の差はサバ科(マグロ)とアジ科(カンパチ)の違いなのだろうが、それにしても忘れがたい味なのである。

アラ煮

映像を見る 05.頭の処理と湯引き
映像を見る 06.煮詰める

材料
カンパチ(頭と腹骨の部分)
ショウガ
ゴボウ
ゆずの皮の細切り

カンパチに限らず、魚の頭を割るコツは中央を断ち切ることだ。包丁が左右どちらかにブレると硬い骨に入って切りにくくなる。そこで事前に上アゴ中央から浅く、切り取り線のように切れ目を入れておく。その線に沿って上アゴから包丁を入れ、峰を叩いて一気に断ち切る。この切り口から頭を開いて、適当な大きさに切り分ける。切るといっても、実際は刃元で叩き切るのだが、このとき刃をひねらないよう注意する。叩いたときにひねると包丁の刃が欠けるからだ。

食べやすい大きさに切った頭と腹骨は熱湯で湯通し(霜降り)して冷水にさらし、取り残したウロコや血の汚れを取り除く。このアラを、水を入れた鍋に入れる。水の量はアラが半分強隠れるくらい。そこに酒をアラが3分の2隠れるほど加え、砂糖をレンゲで山盛り3〜4杯足してショウガ、ゴボウの細切りを入れたら強火にして落し蓋をする。

鍋が煮立ってきたらアクを取り、ここで醤油を入れる。醤油は仕上がりより味も色も薄い量だ。ここから15分ほど、煮汁が3分の1ほどになるまで煮詰めていって、ちょうどいい味、いい色になってくる。もし煮詰めても薄いようであれば醤油を足せばいい。逆に濃いからと水で薄めれば料理が台無しになるので、煮物は薄いところから濃くしていくと覚えておきたい。煮上がったら皿に盛り、香り付けでゆずの皮の細切りを散らせば完成だ。

このカンパチの頭は、大人4〜5人で食べてもいいほどボリュームあるものだった。それほど身がぎっしり詰まっている。煮汁の染み込んだ身は骨にしゃぶりついて食べたほどで、じつに美味しい。魚の旨味は、皮の下と骨の周りにあるというが、それを実感する味だったのである。それに目玉と口の周りの、トロリとしたセラチン質がこれまた絶品。アフターフィッシングでも青物は釣り人を狂乱させるのである。


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