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はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月  2006.8.16更新


連載 第20回 料理指導 細山和範(船宿割烹「汐風」店主)

二十二 マダコ どんな調理にも馴染むマダコは、旨味の宝庫! 「しゃぶしゃぶ」「やわらか煮」「唐揚げ」

映像を見る 01.今回の料理について

鮨におでんにタコ焼きと、日本人はタコが大好きだ。ひと口にタコといっても食卓に上るのはマダコ、ミズダコ、イイダコだが、そのうちマダコが約8割を占めるという。しかも食べるだけでは飽きたらず、釣りにも行く。釣りたての活きマダコはまた格別で、夏はそんな味に魅せられた人たちで釣り船も賑わっている。
ところが世界を見渡せば、タコを食べない国もあり、とりわけイギリスでは釣りなどもってのほかで、デビルフィッシュ(悪魔の魚)と呼ばれ、ほとんど怪物扱いなのである。
確かに見た目は怪物級ではある。しかし刺身をはじめ、煮ても揚げても美味しいし、噛めば噛むほど旨味があふれてくる、稀な食材なのである。ここではそんなマダコの旨味を存分に堪能できる3品「しゃぶしゃぶ」「やわらか煮」「唐揚げ」を紹介しよう。

しゃぶしゃぶ

映像を見る 02.下処理1 活き締め〜ヌル取り

材料
マダコ
ダイコン
お茶の葉
エノキ
万能ネギ
昆布
もみじおろし
ポン酢醤油

鮮魚店で見かけるマダコは、ほとんどが茹でダコで、活きダコを見ることはめったにない。しかし、釣りたて、もしくは鮮魚店で活きダコを買う機会があれば、ぜひ食べていただきたいのが「しゃぶしゃぶ」だ。
マダコを美味しく食べるコツは下処理にある。調理自体は簡単なので、下処理さえきちんと行なえば、美味しいマダコ料理はほとんど約束されたといってもいいほどだ。
活きダコの下処理は締めることから始める。目の反対側の開いているところから頭(じつは胴体)を裏返しにするのがマダコの締め方。これでぐったりするので、内臓を取って水洗いしたら、今度はヌルを取る。たっぷりと塩をかけ、頭から足に向かって手で揉むようにして取り除く(まな板の上で処理がしにくいようならバケツの中で行なってもいい)。足と足の間や吸盤は特に丁寧に取る。この後水洗いし、ここで「しゃぶしゃぶ」用に足2本を切り取っておく。足を切り取ったところに切れ目を入れると口が出てくるので、これを取り除いたら、「茶ぶり」という、お茶の葉を入れたお湯で茹でダコにする。

調理のもとはダイコンとお茶で茹でる

映像を見る 03.下処理2 茹でる

大きな鍋にお湯を沸かし(マダコが丸ごと入る鍋がなければ、適当な大きさに切り分けて入れる)、皮をむいたダイコンを厚さ2pほどに切り、それを半分に切ったものを6〜8個と、お茶の葉大さじ4〜5杯をお湯に入れる。ダイコンは身を柔らかくするため。お茶の葉は茹で上がりの赤い色をきれいに出すためだ。お湯が沸いたら頭を持って、足を入れたら引き上げ、また鍋に入れて引き上げを繰り返しながら、徐々に深く入れていく。こうすることで、足が均一に外巻きになるので、それを確認して最後に頭を入れる。ここから5分ほど茹でたら、氷水を入れた大きなボウルに移して色を止める。茹で上げたままだと黒ずんでくるからだ。また氷水では、取り残した汚れも取り除く(詳しい作業は映像を参照)。
鮮魚店で売っているマダコは、こうした下処理を済ませたものだ。だから「しゃぶしゃぶ」以外の「やわらか煮」と「唐揚げ」は、鮮魚店で買ったものでもできる料理でもある。

刺身、湯引きなど3種の味が楽しめる

映像を見る 04.皮剥ぎ〜そぎ切り〜湯通し

「しゃぶしゃぶ」用の生の足は、まず皮を剥ぐ。吸盤の反対側の皮を引っ張り、伸びた皮の先を切り取る。この切れ目から身と皮の間に包丁を入れ、剥がすように皮を切り取っていく。そうすると吸盤も皮ごと取れるので、これは熱湯に数秒湯通ししたら水洗いし、食べやすい大きさに切っておく(身の方もサッと湯通しして氷水で締めた後、そぎ切りにしてワサビ醤油で食べても美味しい)。
身は軽く水洗いした後そぎ切りし、1枚1枚皿に並べ、湯通しした皮も一緒に盛り付ける。ここにエノキ、エノキと同じ長さに切った万能ネギを添える。刻みネギともみじおろしを薬味に、小鉢にポン酢醤油を入れ、昆布を入れた土鍋のお湯がたぎってくればマタコの「しゃぶしゃぶ」の完成だ。
そぎ切りにした身は、もちろん刺身でも楽しめる。まずは塩を付けて食べていただきたい。マダコの旨味がシンプルかつダイレクトに味わえるはずだ。一方「しゃぶしゃぶ」では、身がぎゅっと引き締まりもちもちとして、噛めば噛むほど旨味が出てくる。その旨味の持続力たるや、まさに怪物級。一方皮と吸盤はプリプリとした食感で、同じ食材でありながら3種類の味が楽しめる。

やわらか煮

映像を見る 05.下ごしらえ
映像を見る 06.煮詰める

材料
茹でたマダコ
炭酸水、またはサイダー
砂糖
醤油
ショウガの細切り

茹でたマダコの頭を切り離したらタテに半分に切り、中を水洗いして足とともにひと口大に切る。先に茹でたダイコンも水で洗い、鍋に入れたらひたひたになるぐらい水を入れ、さらに水と同量の炭酸水(サイダーでもいい)を足す。そこに切ったマダコを入れ、レンゲで山盛りの砂糖3杯半、酒を少量、醤油を煮付けとしては薄いくらいの量を入れ、落し蓋をしてから弱火で30〜40分ほど煮詰めていく。
醤油が薄めなのは、煮詰めていくなかで水分が飛び、味が濃くなっていくからだ。もしそれでも味が薄ければ醤油を足せばいい。逆に濃いからと水を足すと不味くなるので、煮付けは薄い味から濃くしていくのがコツと覚えておくといい。また、火加減が強いと身が硬くなるので注意する。煮上がったら器に盛り、ハリショウガ(ショウガの細切り)をのせ出来上がり。
煮汁が充分染みたダイコンと同様、マダコも味が染みて美味しい。「しゃぶしゃぶ」とはまた違った食感で、特に頭の部分のトロトロになった皮は、ちょっとクセになるほどの美味しさだ。

唐揚げ

映像を見る 07.切る〜揚げる

材料
茹でたマダコ
市販の唐揚げ粉
レモンの輪切り

暑い夏、ビールにぴったりの酒肴としてお奨めしたいのがマダコの「唐揚げ」だ。
茹でた足を刺身と同じようにそぎ切りし、水分をよく取って、市販の唐揚げ粉にまぶす。唐揚げ粉には塩味が付いているので、まぶした後は揚げるだけの簡単な料理だ。
油の温度はやや低温の160度ぐらい。唐揚げ粉を油に落としたら、サッと散るのが目安。ザーッと油が泡立って盛り上がれば、温度が高い証拠だ。温度を確認したらマダコを入れ、弾ける気泡が小さくなってきたら油から上げる。油をよく切って器に移し、レモンの輪切りを添える。
塩味のきいた「唐揚げ」は、「しゃぶしゃぶ」「やわらか煮」とはまた異なる食感で、ぐいぐいとビールが進む。こうして3品食べてみると、マダコは料理に応じてさまざまな味に馴染じみやすく、それでいて最後は自らの味を主張する。アイデア次第でマダコの美味しさはまだまだ引き出せそうだ。

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