おとなのたまり場 > いつでも Bon vivant > はじめよう おやじ流手料理 > スズキ
はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月  2006.8.2更新


連載 第19回 料理指導 細山和範(船宿割烹「汐風」店主)

二十一 スズキ 夏が旬の出世魚にぴったりの涼しげな料理

 「塩がま焼き」「酢味噌仕立ての冷製刺身」

映像を見る 01.今回の料理について

スズキは冬の味覚ブリと同様、成長するごとに呼び名が変わる出世魚で、関東ではセイゴ→フッコ(関西ではハネ、30p〜)→スズキ(60p〜)と呼ばれ、夏が旬の白身魚だ。釣りでは、海面でも激しく頭を振って抵抗する「エラ洗い」がこの釣りの醍醐味でもある。近年はルアー・フィッシングでも人気ターゲットとなり、シーバスと総称されている。
料理では、活き締めにした洗いが最高だし、ムニエルもお馴染みだが、今回は切り身での「塩がま焼き」を紹介しよう。塩がま焼きといえば、お店で出されるプロの料理というイメージだが、これを見れば、意外に簡単に家庭でできる料理と納得してもらえるだろう。しかもスズキの旨味がダイレクトに楽しめるので、ぜひお試しいただきたい。もう1品は、暑い夏に最高の、酢味噌で味わう冷製の刺身だ。

塩がま焼き

映像を見る 02.下処理
映像を見る 03.三枚おろし
映像を見る 04.下ごしらえ

材料
スズキの切り身
タマネギ
シメジ
玉子(白身)

スズキはウロコを取って水洗いした後に頭を落とすが、エラブタの先端が鋭く尖っているので、扱いに注意する(頭は塩焼きや、アカハタのようにお吸い物すると美味しい)。次に腹を切って内臓を取る。内臓は、厚い皮状の袋に包まれているので、背骨に沿ってこの皮状の袋に切り込みを入れてから、三枚におろす。
背ビレに沿って切れ目を入れ、そこから徐々に深く、刃先が背骨に当たるところまで切っていく。つづいて腹側からも切れ目を入れたら、尾の付け根から頭の方に向かって身を切り離していくが、3分の2ぐらいのところで包丁が止まってしまう。ここで無理に切り離そうとせずに、一旦包丁を抜いて、尾側のところを切って身を切り取ったら、切り離す方の身を下にして手で押さえ、もう一方の手で尾を持ち上げながら身をはがす。残った片身も同様にしてはがすのがスズキならではの三枚おろしだ。
三枚におろした片身は、腹側の皮状の袋を切り取った後、腹骨をすき取る。切り身は頭側から5〜6cm幅で切り、切り口と平行に皮に2本切れ目(飾り包丁)を入れておく。切り身1切れに対してタマネギ4分の1個分をタテに薄切りし、シメジは適量用意する。細山さんによれば、いろいろ試した結果、タマネギとシメジが、塩がまにいちばん合う材料とか。

食材を和紙で包むのがコツ

映像を見る 05.塩作り
映像を見る 06.塩がま作り

下ごしらえが終わったところで、30〜40p四方のアルミホイルと料理用和紙(普通の和紙ならコピー用紙くらいの厚さが適している)を用意してから、塩がま用の塩を作る。塩で覆うとき足りなかった……ということがないように多めに作っておこう。例えば今回、2つの切り身で2個の塩がまを作ったが、このときの塩は、中型のボウルに半分強の量を使った。この塩に玉子1個分の卵白を入れるが、その前に泡だて器で軽く攪拌しておく。卵白を入れたら、水を60〜80cc加え、塩全体に卵白のふっくら感が出てくるまで手で混ぜていく(詳しくは映像を参照)。
和紙にタマネギを敷き、その上にスズキの切り身をのせ、シメジを添えて包む。次にアルミホイルに、厚さ1cm余りの塩を押し固めたら、切り身を包んだ和紙をのせ、これも1cm強ほどの厚さの塩で固めながら覆う。最後にアルミホイルを裾で丸めたら塩がまの完成だ(アルミホイルは断熱効果があるので上部は覆わないで、なるべく浅くまとめる)。

あると便利な卓上ガスバーナー

映像を見る 07.塩がま焼き

この塩がまは、上下から同時に焼くのがいちばんいい。ガスオーブンなら15〜20分ほど。表面に焼き色が付いたら完成だ。また、アウトドア料理で使うダッチオーブン(蓋に炭をのせられる)もいい。家庭のガスコンロで焼くなら卓上ガスバーナーを用意して、まず焼き網にのせ、アルミホイルの底部から中火で焼いていく。5分ほどしたら上部もガスバーナーで焼いていく。上部を焼くのは、中に火を通すというより表面の塩を固めるためで、固まってきたらひっくり返してガスコンロで火を通していく。このとき、塩がまは相当熱くなっているので、必ず軍手か断熱の手袋を使う。このやり方でも20分ほどで焼き上がる。それを皿に移し、塩がまを包丁で軽く叩いて割り、和紙を開けば湯気とともに美味しいスズキが顔を出す。
まさか塩がま焼きが家庭で作れるとは思っていなかったが、意外に調理はシンプルだ。なにしろ、味付けはいっさいなく、食材を塩で包んで焼くだけである。ところが、これがメチャ美味しい。タマネギの水分で適度な蒸らし加減になり、和紙がフィルターとなって絶妙の塩加減で食材に染み込んでいる。スズキは身がふっくらとし、この塩加減で甘みが引き立っているからたまらない。最初のひと口から一種感動的な味わいだったのである。

酢味噌仕立ての冷製刺身

材料
スズキ
ワカメ
キュウリ
ミョウガ
ダイコンのツマ
酢味噌(味噌 100g:酢 レンゲ3杯:ミリン レンゲ2杯:砂糖 レンゲ1杯)
練り辛子
白ゴマ

映像を見る 08.酢味噌作り 映像を見る 09.皮引き〜盛り付け

最初は酢味噌作り。味噌100gに酢をレンゲに3杯、ミリン2杯、砂糖1杯の割合で鍋に入れ、焦がさないように弱火で溶き、好みで練り辛子を適量混ぜたら、粗熱を取って冷やしておく。
刺身に添えるのはワカメ、キュウリ、ミョウガ、ダイコン。水で戻したワカメは、水気を切って適当な大きさに切る。キュウリは薄く斜めに切って塩もみし、水洗いしたらよく絞って盛り付ける。ミョウガはタテに薄切りにし、ダイコンのツマは水にさらしてぎゅっと絞り、円錐型にして盛る。
スズキは小骨を取って皮を引き、ちょっと厚めにそぎ切りにし、氷水に入れて冷やしたら、ペーパータオルに取って水気を切り、器に盛り付ける。活き締めなら洗いになるが、そうでなくても、こうして刺身を冷やして盛り付ける。最後に白ゴマを刺身に振りかけ、冷やした酢味噌の小皿を添えれば完成だ。
ワサビ醤油に慣れた舌には、スズキの旨味が酢味噌に負けるのではないかと思っていたが、夏が旬のスズキは噛むごとに旨味が出てきて、なんとも新鮮な組み合わせだ。それに刺身に添えた野菜が、酢味噌では準主役のように美味しく、夏に格好の1品である。

おやじ流手料理TOPへ戻る 釣魚12か月バックナンバー 料理のコツ バックナンバー
   
TOP