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はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月
連載 第18回  2006.7.19更新 二十 マゴチ 夏の高級魚マゴチで、フグ級の味覚を堪能する 「薄造り」「南蛮漬け」 料理指導=細山和範(船宿割烹「汐風」店主)
 白身で歯応えのある上品な味だから、どんな美形な魚だろうと思う人もいるだろうが、ご覧のとおり、カサゴかアイナメが押しつぶされたような姿をしているのがマゴチだ。英名はBAR-TAILED FLATHEAD。棒のような尾っぽに平らな頭……見たまんまの名前である。しかし釣魚には、人相(魚相?)の悪い魚に美味しいものが多い。このマゴチもその代表だ。
夏に産卵のため浅場に上がってくるのが釣りの好機であり、また旬の味が楽しめる時季でもある。食通
映像を見る 01.今回の料理について
には、冬のフグの味が夏に味わえるという意味で、マゴチの薄造りは「フグ造り」ともいわれるほどだ。そこで今回は、ポン酢醤油で味わう薄造りを紹介しよう。そしてもう1品は、すぐに食べられる南蛮漬け。本来は甘酢に漬けて1晩寝かせる料理だが、ここでは甘酢に漬けて5分後には食べられる裏技とともに紹介する。

薄造り
映像を見る 02.下処理
映像を見る 03.三枚おろし

材料
マゴチ
もみじおろし
刻みネギ
レモンのスライス
大葉
ポン酢醤油
 独特の姿を持つマゴチは、締め方や下処理が普通の魚と少々異なる。まず締め方だが、マダイやイサキなどでは、エラを切って活き締めにするが、マゴチの活き締めは目の少し後ろの頭部中央をアイスピックなどで一突きにする。
下処理は、ウロコを取ったら頭を落とす。魚体の両側にそれぞれ胸ビレ、腹ビレが重なるように付いているので、まず腹ビレのところから切り込みを入れる。頭の下、腹側の方は、硬い骨に覆われているので、その縁に沿って切り、頭を切り離す。次に、腹に切れ目を入れて内臓を取り出し、水洗いしたら三枚におろす。
扁平魚の三枚おろし
 三枚おろしの手順はマダイなどと同じだが、背側が平たい魚なので、胸ビレ・腹ビレがあった面をまな板に置いて、背ビレと腹側から切り込みを入れて片身を取る。今度は切り取った面をまな板に置き、残った片身を同様にして切り取る。
三枚におろしたら、腹骨をすき取り、小骨を抜くが、腹骨は厚めに取ったほうが小骨の場所がわかりやすく取りやすいと、細山さんは言う。小骨は太く、抜くのにちょっと力がいるが、このあたりも、マゴチならではの下処理となる。ちなみに、頭はエラを取った後、
映像を見る 04.皮引き
映像を見る 05.そぎ切り〜盛り付け
背骨とともに適当な大きさに切り分け、お吸い物にするといい。その要領はアカハタと同じだ。
皮引きにもひと手間
 こうして切り取った片身は円錐形をタテに2等分したような形で、これだと皮が引きにくい。そこで片身の中ほどから尾側へ、タテに浅く切れ目を入れる。こうするとこの切れ目から身が広がり、皮が平らになって皮引きがやりやすくなる。サクになった片身は、薄くそぎ切りにする。包丁の切断面を広くとるのがそぎ切りで、身を軽く押さえ、包丁を寝かせるようにして刃元から刃先までを使って切っていく(これら下処理からそぎ切りまでの作業は映像を参照していただきたい)。
そぎ切りにした身は、1枚1枚大きめの皿に貼り付けるように並べていく。また、切り身をタテに3分の1ほど重なるように5〜6枚並べ、それを下から巻いていくと花のような形のお造りになって、プロはだしの盛り付けになる。最後に、皿に大葉を敷き、そこにもみじおろしをのせ、刻みネギ、レモンのスライスを添えれば完成だ。
ポン酢醤油と薬味の涼感あるタレをまとった切り身は、まさに夏場のフグといった趣だ。しかも弾力ある歯応えからじわっとにじみ出る甘みがじつに美味しい。これぞ夏魚マゴチの真骨頂で、食通ならずとも1度食べるとクセになる美味しさだ。
南蛮漬け
 最初は甘酢作り。ダシ3(顆粒のカツオダシでいい)に酢2、醤油1の割合で、総量が1.5リットルほどならレンゲ1杯の砂糖を入れ、鍋でひと煮立ちさせたら、粗熱を取って冷蔵庫で冷やしておく。
野菜はタマネギをスライスし(ピーマンやニンジンの細切りを加えてもいい)、長ネギは網焼きにして焦げ目が付いたら、小口切りで2pほどに切っておく。
マゴチは骨と皮付きのまま、3oくらいの幅で皮の手前まで切れ目を入れ、1切れ3〜4pほどに切っておく。切れ目を入れるのは甘酢が染み込みやすくするためだ。切り身は、切れ目の間にも片栗粉をまぶして二度揚げする。
油の温度は170度くらい。片栗粉を油に振りかけるとサッと散るのが目安。ザーッと盛り上がるのであれば高温ということになる。温度を確認したら切り身を入れ、少々火力を弱める。1回目で8割がた火を通すが、
映像を見る 06.甘酢作り
映像を見る 07.下ごしらえ

材料
マゴチ
タマネギ
長ネギ
甘酢/ダシ(市販の顆粒カツオダシ)3:酢2:醤油1:砂糖(適量)
一味唐辛子、またはタカノツメ
片栗粉
火力を弱めるのは外と中を均一の火の通り方にするためだ。最初の弾けるような音がやがて小さくなり、気泡も細かくなったのが上げる合図。
粗熱を取ったら、再度揚げるが、このときは1回目より少々高めの温度にする。ここで外はパリッと、中はふっくらと仕上げる。このときも気泡と音が小さくなるのが上げる目安になるが、その時間は2分ほどだ。
熱々のマゴチを一気に漬け込む
映像を見る 08.二度揚げ
映像を見る 09.甘酢漬け
 切り身を上げたら一気に甘酢に漬け込む。タマネギ、長ネギをボウルに入れ、そこに熱々の切り身を入れ、冷やした甘酢をかけまわしたら混ぜていく。これがすぐに食べられる南蛮漬けのコツで、熱い唐揚げに甘酢がどんどん染み込んでいくのだ。最後に即効で辛味を発揮する一味唐辛子(タカノツメの輪切りでもいい)を振りかけたら完成だ。
出来上がりから10分も経たないのに、揚げたてのマゴチにはちゃんと甘酢が染みこんでいる。それも甘い酸味にピリ辛の味が食欲を刺激してくるから、
酒の肴はもとよりご飯のおかずにしても美味しい。なにより、きめ細かい肉質と極上の甘みを持つマゴチの南蛮漬けは、まさに夏のフグともいえるほど極上の味なのである。
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