おとなのたまり場 > いつでも Bon vivant > はじめよう おやじ流手料理 > 上りガツオ
はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月
連載 第13回 2006.5.10更新 十五 上りガツオ 刺身が最高と実感するヘルシー&簡単料理 「季節の刺身」「味噌たたき」「まご茶漬け」  料理指導=細山和範(船宿割烹「汐風」店主)
 カツオには年2回旬がある。1回目は、エサとなる小魚を追いかけて黒潮を北上する春から初夏にかけて。2回目は、たっぷりとエサを食べて南下する秋ごろだ。前者が「上りガツオ」、後者が「下り(戻り)ガツオ」と呼ばれ、味覚も結構異なってくるから、それぞれにファンがいる。脂がのった「下りガツオ」が最高という人もいれば、脂がくどくない分いくらでも食べられる「上りガツオ」の方が好きという人もいる。どちらにして
映像を見る 01.上りガツオについて
も旨さの決め手は鮮度のよさになるが、「初ガツオ」となると、これはもう「上りガツオ」になる。
初物を食べると寿命が75日延びるといわれた江戸時代、この「初ガツオ」1尾に3両(米450kg分に相当)もの値がついたことがあったというから、まさに高級魚だったわけである。今回紹介する料理で75日寿命が延びるとは保証できないが、なにしろヘルシーかつ簡単レシピ。しかも「上りガツオ」の魅力をとことん味わえる料理なので、ぜひともお試しいただきたい。
季節の刺身
映像を見る 02.下処理
映像を見る 03.そぎ切り

材料
カツオ
ダイコンのツマ
ワカメ
大葉
新タマネギのスライス(水でさらしたもの)
おろしショウガ
ニンニクの千切り
木の芽(ミョウガか大葉でもいい)
万能ネギ

 主役のカツオは、鮮魚店で売っているサクでもいいが、独特のおろし方があるのでこの機会に覚えておこう。
カツオは頭部に近い背中からエラブタあたりにかけて鎧(よろい)のような硬いウロコで覆われている。だから通常の三枚おろしにしようとすると、頭に近い背中で包丁が引っかかることがある。そこでまず、背中の硬い部分をそぎ取ることから始める。次に胸ビレ近くと腹側の硬い部分に沿って肛門から切れ目を入れ、頭を外すと内臓も一緒に取り除くことができる。それを水洗いして、水気を拭き取ったら、今度は背ビレの両側に切れ目を入れる。尾側の背ビレを切って、包丁の刃元で押さえて魚を引っ張ると、身に食い込んだ背ビレの骨が外れるので、ここから三枚おろしにする(詳しい手順は映像を参照)。
 三枚におろした片身は、中骨のところ(血合いの部分)から背側と腹側に切り分ける。腹側は腹骨をすき取るが、ここに寄生虫がいることが多い。しかし寄生虫がいても、生で食べるのになんら問題はないと細山さんは言う。逆に、虫がいないカツオは美味しくないとも言っていた。
 背側、腹側にサク取りしたら皮を引き、カツオの刺身としては薄い5mm幅ほどの、切断面が広くなるようにそぎ切りにする。このとき、包丁の刃元から刃先までを引くようにするといい(鮨屋でサクから鮨ダネを取るときによく見かけるアノ要領ですね)。今回3品の料理に使うので、片身全部をそぎ切りにしたが、その量は映像を参考にして決めていただきたい。
初夏の香りが彩る絶品刺身
映像を見る 04.季節の刺身

 盛り付けは、大きな皿にダイコンのツマを敷き、そこに大葉と、水にさらして水気を切ったワカメをのせる。その上に刺身を広げて並べる。さらに「上りガツオ」の時期に出回る新タマネギのスライスで、刺身が隠れるくらいに覆う。これがミソ。
タマネギといえば、切っていると涙が出て苦労するが、新タマネギだとこれがほとんどない。それどころか、生でかじれるほど瑞々しいのが特徴だ。私など、この時期刺身に最も合う薬味だと思っている。
それはともかく、その新タマネギの上におろしショウガをまんべんなく広げ、細かく刻んだニンニクと木の芽(山椒の葉)を散らせば完成だ。木の芽がなけ
れば、香りのあるミョウガや大葉の刻みでもいい。
たっぷりとのせた薬味を刺身で巻いて醤油につけて食べてもいいし、じかに大皿の上へ醤油をかけ回してもいい。新タマネギのシャキシャキとした食感と甘みのなか、木の芽の香りが口の中でふわっと広がってくる。そこにカツオの弾力のある、もちもちとした歯ごたえと甘みがなんとも爽やか。この爽やかさが「上りガツオ」ならではの味わいで、まさに初夏の香りと味を楽しめる料理だ。
味噌たたき
 はっきりいって、これは失敗しようのないほど簡単料理だ。しかもメチャ美味しいので、料理に慣れていない人にこそチャレンジしていただきたい1品だ。もとは漁師料理だそうで、細山さんは八丈島の漁師に教えてもらったという。
先にそぎ切りした刺身を細かく切り、包丁で叩いてさらに細かくする。そこに、カツオの量に対して4分の1前後の味噌を加え、全体になじむように再度叩いていく。粘りがでてきたところで完成だ。じつに簡単!
アジのナメロウと同じだが、薬味を入れないから、究極の簡単料理といえるだろう。しかも、これがとても美味しい。

映像を見る 05.味噌たたき

材料
カツオ
味噌

 そのまま食べてもいいし、醤油に付けてもいい。どちらにしても、酒の肴に最高で、ご飯にのせて「味噌たたき丼」にしても旨い。脂がのった「下りガツオ」より、さっぱりとした「上りガツオ」の方が、こうした刺身系の料理には合うようだ。
まご茶漬け
映像を見る 06.まご茶漬け 

材料
カツオ
醤油
ミリン
おろしショウガ
糸三つ葉
あられ(ゴマでもいい)
刻み海苔(なくてもいい)
 これも漁師料理で、名前の由来は「まごまごしていると味が落ちる」とも「孫の手も借りたいほど忙しいときに食べる」料理ともいわれている。どちらにしても、手早く作って食べられる料理だ。
まず、先の刺身を醤油1:ミリン1のタレに30分ほど漬け込む。好みで、刻んだ青唐辛子(島唐辛子)かタカノツメをタレに入れてもいい。漬けにした刺身を数枚ご飯の上に盛り、糸三つ葉をのせて、そこにおろしショウガを添え、あられを振りかけ、刻み海苔もあればのせて、熱いお茶をかければ出来上がりと、これまた簡単だ。
刺身を覆っていたタレが滋味深いダシとなって、じつに美味しい。魚の生臭さはまったくなく、それでいて刺身とお茶漬けを同時に味わえるから、酒宴の締めには最高のメニューだ。
カツオといえば、すぐに「たたき」が思い出されるが、今回3品を食べて「上りガツオ」は刺身が最高と実感しましたね(「たたき」は「下りガツオ」で紹介予定)。
おやじ流手料理TOPへ戻る 釣魚12か月バックナンバー 料理のコツ バックナンバー
   
TOP