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はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月
連載第11回 十三 メバル 旬の食材で春の一汁一菜を堪能!   料理指導=細山和範(船宿割烹「汐風」店主)
 春の到来を告げる花が桜なら、鳥はウグイス(鶯)、魚なら関東の海ではメバル(目張)が春告げ魚となる。白身で淡白、身ばなれがよく、鮮魚店では高級魚だが、こと釣りでは二ケタ釣果が当たり前の魚でもある。
ひと口にメバルといっても、棲息域が深場になるにしたがって、クロメバル(右写真下)、トゴットメバル、ウスメバル(右写真上)、ウケクチメバル(パンダメバル)、ヤナギメバルと種類が変わっていく。当然釣法も活きエビや活きイワシ、魚皮の擬似餌やイカ・サバの身エサなどさまざまだ
映像を見る 01.メバル料理について
が、なかでもウスメバルは通称タケノコメバルとも呼ばれる、まさに春告げ魚だ。そこで今回は、ウスメバルとクロメバルを春の食材と組み合わせてみた。
その食材とはタケノコとメカブ。これを一汁一菜にしたのが、以下に紹介する料理だ。
映像を見る 02.タケノコの下処理
映像を見る 03.メバルの下処理
煮付けには隠し包丁の心遣い
まずはタケノコの下処理から始めよう。竹の皮に包まれたタケノコは、上部を斜めに切り取り、その断面からタテに切れ目を入れて皮を剥きやすくしておく。それを、たっぷりの水と糠(ぬか)を入れた鍋で茹でる。糠を入れるのはアクを取るためで、金串がスーッと入るくらいまで茹でたら火を止めて粗熱を取り(この間、余熱でやわらかくなる)、その後流水にさらしながら皮をむく。薄皮は、包丁の峰でこそぐと簡単に取れる(詳しい手順は映像を参照)。最後に、根の硬い部分を切り取る。
 これが終わったところで、メバルの下処理に入る。ウロコ、エラ、内臓を取って水洗いし、よく水気を拭き取っておく。ただし煮付けにする魚には、内臓を取る際「隠し包丁」という技を施しておこう。魚の頭を右に向け、胸ビレ下から腹側へ斜めに切って内臓を取り出すのがこの技。盛り付けでは魚の頭を左に向けるので、こうして内臓を取り出しておくと、食べるときに切れ目が隠れるという心遣いの技だ。
タケノコメバルの煮付け
 下処理したメバルは両面に切れ目を入れ(飾り包丁といい、火の通りや味を染みこみやすくする)、熱湯をかけ回して湯通し(霜降り)して、冷水にさらしながら細かいウロコやヨゴレ、臭みを取ったら、水を入れた鍋に魚を浸す(このとき魚を左向きにしておくと、盛り付けるときそのまま皿にのせればいいのでラク)。水の量は魚の7分目が隠れるぐらい。それが8分目になるくらい酒を入れる。そこに砂糖をレンゲ山盛り3〜4杯、ゴボウ、ショウガを加えて最初は強火で煮る。鍋の縁が泡立ってきたら落し蓋(アルミホイルを丸く折って皿を載せて押さえてもいい)をして、こまめにアクを取る。煮立ってきたら、ここで醤油を入れる。醤油の量は少々薄め。出来上がりの味を10とすれば6ぐらいの量だ。これが失敗のない煮付けのコツだと細山さんはいう。

映像を見る 05.煮付け

材料
ウスメバル
ゴボウのブツ切り
ショウガのスライス
タケノコのザク切り
醤油
砂糖
ゆずの皮の千切り(または木の芽)
失敗しない煮付けのコツ
最初から醤油を入れて煮詰めると、慣れない人には味付けのバランスがつかみにくい。しかし、あらかじめ食材に火を通した後ならば味付けもしやすくなり、これが初心者も失敗のない調理法となるわけだ。
さて、こうして醤油を入れ、再び鍋縁が泡立ってきて、気泡が小さくなり色が濃くなってきたところで、適当な大きさに切ったタケノコを入れる。同時に、ガスも強火から中の強くらいに下げて煮詰めていく。 この後、煮汁の色がさらに濃い飴色に変わっていく。味見をしながら、好みの味となったところで火を止める。皿にメバル、ショウガ、ゴボウ、タケノコを盛り、煮汁をたっぷりとかけ回し、ゆずの皮の千切りか木の芽をのせれば、春を告げるタケノコメバルの煮付けの完成だ。
漁師汁
映像を見る 06.メカブの下ごしらえ
映像を見る 07.メバルの下ごしらえ

材料
クロメバル
タマネギのザク切り
タケノコのスライス
メカブの細切り
味噌
旨味調味料
ゆずの皮の千切り(なくてもいい)
かぼすの果汁
 菜(おかず)ができたところで簡単、豪快かつ繊細な味を楽しめる「漁師汁」を作ろう。メバルに限らず、ほかの白身魚でも応用できるので、ぜひお試しいただきたい。まずはメカブの下ごしらえから始める。
メカブの下ごしらえで注意したいのは、けして茹でてから切らないこと。茹でる前でも、水気を極力取り去ることだ。水気はヌルのもとで、これが手元を狂わせ、包丁を不安定にさせる。そこで、あらかじめまな板や手の水気をよく取っておく。メカブは芯で2等分し、ヒダが寝る方向に手で押さえつけ細かく切っていく。細かく切るのが難しければ、適当な大きさに切って、その後包丁で叩いて細かくすればいい。ここでは漁師汁用と、もう1品用に多めに切っておく。もし余ったら、ラップで包んで冷凍保存して、食べるときに茹でるといい。
下処理したメバルは豪快に3等分ほどにブツ切りにして湯通し(霜降り)し、冷水にさらした後、たっぷりの水が入った鍋に入れる。そこに、味をまろやかにするために酒を少々入れてから火にかける。
火力は強火で、こまめにアクを取り、沸騰する手前で弱火に落とし、味噌を溶き、旨味調味料を加える。そこにタマネギとタケノコを入れてしばらく煮込むが、けして鍋を沸騰させないように注意する。タマネギがちょっとしんなりしてきたら火を止めるが、その直前にメカブを入れる。黒褐色が、まるで化学反応のように一瞬にして鮮やかな緑色に変わるのが見ていて楽しい。出来上がった漁師汁は大きめの器にたっぷり注ぎたい。細山さんは、そこにかぼすの果汁を添えた。最初はそのままで食べ、次にかぼすを数滴垂らすと味わいが変わるという。
メカブ丼
 先に切ったメカブの細切りを、鍋に沸かした熱湯に入れ、色が変わったところでお湯を切りボウルにとる。そこに旨味調味料と市販のそばつゆを原液のまま掛けまわす。それを箸で粘りがでてくるまでかき回す。ご飯にのせればメカブ丼になり、マグロのブツを混ぜるとちょっと贅沢な酒の肴にもなる。
こうして整ったメバルの春の一汁一菜メニュー。まずは煮付けから。はっきりいってメバルは煮付けに最適の魚ですね。甘辛い煮汁をまとった白身がメチャ旨い! そこにタケノコのシャキシャキした食感と風味が、春の到来を口のなかで告げてくれる。また「漁師汁」は野趣あふれる料理だが、意外に繊細な味わいだ。

映像を見る 09.メカブ丼

材料
メカブの細切り
市販のそばつゆ
旨味調味料
 タマネギの甘味と魚から出るダシがなんとも味わい深い。さらにメカブの風味とかすかなトロ味が加わって、味噌汁とは一味違った味覚が楽しめる。そこにかぼすの果汁を数滴垂らすと、フワッと爽やかな香りが立ちのぼり、すっきりした味に変わっていく。一方メカブ丼は、ご飯にかけてもよし、別々に食べてもよしの一品。どれに箸をつけても、春を実感するメニューなのだ。
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