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成長するごとに呼び名が変わる出世魚の代表がブリ。関東ではワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ。関西ではツバス→ハマチ→メジロ→ブリと名前が変わる。大体7kg以上がブリと呼ばれるのだが、鮮魚店にはいっぱいいても、釣りではなかなかお目にかからない魚だ。
私がこれまで海でブリに遭遇したのはたった1日、2回しかなかった。1回目はなんとか釣り上げたが、2回目は針に掛かった瞬間、8号ハリスがブチッと切れた。以来10年、いまだ再会をはたせずにいるが、細山さんの店で出るブリ大根は毎年冬の楽しみとなっている。

ブリの強烈な引き味も忘れられないが、初めて食べたそのブリ大根も衝撃的だった。普通ブリ大根といえば、醤油ベースの煮付け系の料理だが、目の前に出てきたのは透き通ったたっぷりの汁に厚めに切ったダイコンとブリの切り身。まるでブリとダイコンがゆったり温泉 |
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でくつろいでいるかのような料理だったのである。ところが食べてまた驚いた。口のなかでとろけるブリに、メチャウマのダシが染みこんだダイコンが最高で、最後の1滴まで飲み干したものだった。
さすがにこのレシピは門外不出ということで、ここではそれに替わる「最後の1滴まで飲み干す」ブリ大根を教えてもらった。
ブリは鮮魚店の切り身でOK。しかもダシは市販のおでんのダシ。つまり超簡単なレシピなのだが、これがじつに美味しい。驚きの味になること請け合いの一品なので、ぜひお試しいただきたい。 |



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ブリの切り身 3〜4切れ |
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ダイコン 厚さ6cm前後を3〜4つ |
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ダシ 市販のおでんダシ1袋+水1000cc+酒400cc+昆布 |
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塩 |
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旨味調味料 |
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ミリン |
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刻みネギ |
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ゆずの皮の千切り(なくてもいい) |
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今回の料理では千葉県大原港から来た7kg超のブリを使ったが(豪快にさばく様子をぜひ映像「2.下処理〜」の方で楽しんでいただきたい)、めったに釣れる魚ではないので、鮮魚店の切り身でかまわない。そこにダイコンがあれば、ほとんど材料が揃ったことになる。
まずは下ごしらえ。ダイコンは6cm前後の厚めに切って皮をむいたら、上下の切り口の角も切って面取りをする。「面取りはダイコンの煮崩れを防ぐため」と細山さんはいう。
そのダイコンを、たっぷり水を入れた鍋で下茹でする。このとき生米をひとつかみ鍋に入れる。「生米を入れるのはダイコンのアクを取るため。また、根菜は水から茹でるのが基本」(細山さん)。茹でる時間は40分前後で、ダイコンを串で刺してスーッと通るのが目安だ。下茹でしたダイコンは、一端冷水にさらしておく。
その間にブリの切り身を熱湯で湯通し(霜降り)した後、冷水にさらして臭みや汚れ、小さなウロコも取ってしまう。これで下ごしらえは完了だ。


次はダシ作り。市販のおでんダシ(今回使ったのはS&B食品「おでんの素」)によれば、1袋に対して1000ccの水とある。その量に酒400ccを加え、ダシ昆布を浸す。
そこに下ごしらえしたダイコンとブリの切り身を入れて煮詰めていく。注意するのは絶対ダシを沸騰させないことと、じっくり煮詰めながらこまめにアクを取ることだ。40分ほど煮詰めたら、塩を小さじ2杯に旨味調味料とミリンを少々入れ、ひと煮立ちさせたら火を止める。これでほぼ完成だ。
この鍋を一端冷まして、次に火を入れたときが食べごろだ。「このときダイコンにダシが染みこむ。また、ダシがまろやかになる」と細山さんがコツを教えてくれた。
後日私も家で作ってみたが、ちょうどカレーのように、一晩くらい寝かせた方が、作った当日より美味しかった。市販のおでんダシがベースとなっているが、そうとはわからないコクのあるさっぱり風味に仕上がるから、作った本人でさえ驚く料理となる。
盛り付けは、底の深い器にたっぷり汁を注いで、刻みネギやゆずの皮の千切りをのせる。材料少なく調理も簡単な料理だが最後の1滴まで飲み干すほどメチャ美味しい。
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活きのいいブリは、刺身、煮付けなど、どんな調理でも美味しいが、ここでは塩焼きを紹介しよう。なんだ、塩をかけて焼くだけじゃないか、と思われるかもしれないが、今回、ブリというより、魚の旨味を引き出す焼き方を細山さんが教えてくれた。
まず切り身に金串を2本刺す。細山さんによれば、こうしておくと、以後切り身に触らず焼き面を返したりできるので身崩れ防止になるのだという。
その金串を持って切り身の両面に酒を霧吹きで吹きかけ、塩も均等に両面へ振りかける。酒を吹きかけるのは塩をなじませ、魚の旨味を引き出して身を柔らかくするためだ。また塩振りは尺塩といって、魚から30cmほど離してサラサラと振る。これが魚全体に万遍なく振るコツだ。細山さんは「初雪降るがごとく」というが、たまに我が家の塩容器のなかでは、サラサラの初雪どころか、大玉の雹(ひょう)のようになっていたりする。そういうときは鍋で乾煎りするとサラサラになるとか。
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06.切り身に酒と塩 |

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ブリの切り身 |
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酒 |
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塩 |
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ダイコンおろし |
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レモンの輪切り |
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また同じブリの切り身でも、背側より脂の多い腹側に塩を多めにし、ブリよりも淡泊な魚では塩も少なめにするといいいことも教わった。
こうして酒、塩をかけたら4〜5分置く。その間に焼き網の準備に入る。

塩焼きは魚の表面も中も万遍なく火が通る「強火の遠火」が基本だ。ガスコンロの場合、五徳に焼き網を置いて強火の近火になると、表面はきれいに焼けても、中身は火の通りが不充分ということになり、火力の調整が難しい。そこでガスコンロ用に高焼き台も市販されているが、レンガを高焼き台替わりに利用するのも一手。私も長年レンガを使っていて、これだと火力調節を気にせずに、いつもガス全開できれいに焼けている。
そうした台に焼き網を置き、これをじっくり焼く。切り身が網に焼き付かないためだ。焼き網が充分熱せられたら切り身を網に置くのだが、いくつか切り身を置いたとき、網の中央と端では、焼き加減が違ってくる。そんなとき金串を持って切り身を移動させる。また金串は、焼いている途中で何回か切り身の中を回しておくと、金串に魚の身がくっつくことを防ぎ、皿に盛るときにスーッと抜けるのだという。
盛り付けは、皮面が表になるのが基本。そこで焼き網でも、最後の焼きは皮面が表になるようにする。こうすれば裏返すことなく、そのまま皿の上に持ってきて串を抜くだけですむ。そこにダイコンおろしとレモンの輪切りを添えれば出来上がりだ。
こうして焼き上がった塩焼きは、皮パリパリで中がふっくらと仕上がる。しかも酒の効果か、身の柔らかさは冷めてもさほど変わらない。塩焼きも一手間かけると、こうも美味しくなるかと実感するのである。 |


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