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カニ鍋ではなくカニ風味鍋というのは、具材にカニはなくてもカニのエキスがたっぷりのダシで作った鍋料理だからだ。これがいままでの鍋料理をひと味もふた味もグレードアップする。
今回用意したのはワタリガニだが、身をほじるのも面倒なくらいの小型でいい。それどころかコウバコガニ、ズワイガニ、タラバガニなど、前日食べて残った甲羅や、足先だけでもいいし、身の少ないベニズワイガニでもいい。これを包丁でブツ切りにする。
鰹と昆布で取ったダシ1600ccにミリン100cc、薄口醤油100cc、酒100cc、それにブツ切りしたカニを入れて火にかけ、ひと煮立ちさせる。これでダシは完成。この料理の7割は出来たも同然だ。
ダシが出来たところで、具材のうちの白菜、アンコウ、カキにひと手間かけて、さらに美味しい演出を施す。
まず4分の1カットの白菜は、葉を4〜5枚剥がして下茹でする。白菜は生のままで鍋に入れると水分が出てダシを薄めるし、下茹ですることでダシも染み込みやすくなる。また火の通りもほかの具材と同じになるのでこのひと手間をかけるのだ。
鍋にお湯を沸かし少量の塩を入れる(こうすることで色がきれいに出る)。そこに芯の部分を浸し、やわらかくなってきたら葉も入れ、しんなりしたらすぐに冷水に移す。
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| 白菜は下茹でする。沸いたお湯に少量の塩を入れ、最初に硬い芯の部分を入れ、てやわらかくなったら葉も浸し、しんなりしたら冷水に移す | ||||
巻き簾の上に同じ大きさのラップを敷き、その上に白菜を広げ、芯と葉を交互に並べて巻いていく。巻いたところでぎゅっと水気を絞り、ラップを剥がして6等分に切っておく。
アンコウは霜降りにする。魚をボウルなどに入れ、そこに熱湯を注いだ後は冷水にさらしてヌメリや汚れをとっておく。これで臭みがなくなるので、アンコウに限らず、タラなどの白身魚でもこのひと手間は行ないたい。
カキは塩を振って軽く揉み洗いし、流水で洗い流しておく。
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| 巻き簾にラップを敷いた上に、白菜を広げて芯と葉を交互に並べる。それを巻いたらぎゅっと絞って水気を取り、6等分に切る | ||||||
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| カニ風味蒲鉾が本物のカニのような味になる | ||
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大皿にアンコウ、カキ、白菜、3等分(10cmほど)に切った水菜、石づきを取り大きめにほぐしたエノキダケやシメジ、斜めにザク切りした長葱、柄を取った笠に飾り包丁を入れたシイタケ、それにカニ風味の蒲鉾も添え、具材全体にユズの皮の千切りを散らす。豆腐は食べやすい大きさに切って別の皿に盛っておく。これは豆腐から水が出てくるからだ。
具材が準備できたところで、金ザルにペーパータオルを敷いてダシを鍋に漉し、そのなかに具材を並べる。それを火にかけ、まずダシが出るアンコウとカキを入れる。これに火が通ったら野菜やキノコなどほかの具材を入れ、煮立ち始めたところで豆腐を入れ、煮立ってきたら食べごろとなる。
鍋がぐつぐつと煮えてきたころ、濃厚なカニの香りが立ち上ってくる。具材にカニはなくても香りはまさにカニ鍋だ。不思議なことにカニ風味の蒲鉾が本物に思えてくるほど美味しい。その風味が染み込んだ野菜も旨い。なによりダシが絶品で、コクのある甘みが食欲をそそるのだ。
締めはご飯を入れて雑炊がお奨め。仕上げに溶き卵をかけ回して半熟とろとろになったら、小葱の小口切りをたっぷり散らしたところで食べる。
具材のアンコウ、カキ、キノコ類、野菜の旨味が一体となって、これが鍋料理の美味しさだと実感する料理。そこにカニの風味を加えるだけで美味しさが2倍、3倍に増すから鍋料理はおもしろい。ぜひお試しいただきたい。
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| 切った具材は大皿に盛るが、豆腐は水が出てくるので別の皿に盛るほうがいい | カニのブツ切りを煮込んだダシは、ペーパータオルを敷いた金ザルで土鍋に漉す | 煮立ってくると濃厚なカニの香りが立ち上ってくる |