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はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月  2006.12.06更新

13 ダシの基本 その2「鰹節/煮干し」

「香りを取るか味を取るかで、使う削り節も変わってくる」というマルミ屋の小林哲也店長。東京・築地場外にある店からは、削り節のいい香りが漂ってくる

鰹節削節海産物問屋(株)マルミ屋
東京都中央区築地4-12-7 電話03-3541-6839

ダシはもとより、おにぎりの具だったり数の子のトッピングになったりと、鰹(カツオ)節は日本独特の食材だ。あの風味に触れると、なぜか食欲が刺激される。それも当然。鰹節は、グルタミン酸の昆布と並ぶ旨味成分、イノシン酸の宝庫である。その歴史は古く、生の鰹は縄文時代から、干して食に利用する習慣は5世紀ごろからあったという。その鰹節と、それに並ぶイノシン酸高含有率の煮干し(炒り子)について、築地の専門店「マルミ屋」の店長・小林哲也さんにうかがった。



脂がない魚がダシには最適

鰹を茹でて干し、燻製にしたのが「荒節」で花カツオの原料になる。「荒節」を干し、味をまろやかにするため白いカビを付けたのが「本節」だ。宗田節(削り)は鰹節より濃厚な味があるが、少し香りにクセがある。鰹節の香りを出すなら厚削りがいい。そばのかけつゆによく使われる(写真は上から順に、荒節、本節、宗田節、厚削り)

鰹節ができるまでにはさまざまな工程を経る。

鰹を三枚におろし、それを腹側、背側に分け、茹でて干したものが「なまり節」。それを燻製にしたものを「荒節」といい、花カツオの原料になるものだ。「荒節」の表面を削って天日で干した後、カビを自然繁殖させた(味がまろやかになる)ものが「本節」だ。一般にいう鰹節はこの本節のことで、この製法は江戸時代から始まり、出来上がるまでに1年近くかかるのだという。ちなみに、荒節を削った花カツオは「鰹削り節」、本節を削ったものは「鰹節削り」と呼ばれる。

同様の製法では鰹のほか、宗田(ソウダ)ガツオの宗田節、鯖(サバ)節があり、珍しいものではムロアジ、サンマ、サケ、ウルメイワシ、メジマグロ(本マグロの若魚)などもある。小林店長によれば、これらを本節にするときの共通点は魚に脂がないことだという。「脂分が少なく生食では美味しくない魚ほど本節に向いていて、クセのないダシが取れる」のだ。


これは煮干しにも共通する。煮干しはその名のとおり、魚を煮て干したもので、一般にカタクチイワシが多い。他にアジ、アゴ(トビウオ)などもあり、小さいものが煮干しに適している。というのも脂が少ないためで、鰹節などと同様、脂分が臭みの元となるからだ。

ひと口に煮干しといっても、マルミ屋の店頭にはさまざまな種類が並んでいる。たとえばカタクチイワシでも白煮干し、黒煮干し、かえり煮干しなどがある。

白煮干しは、暖かい海域で獲れたカタクチイワシで味はあっさり系。一方、黒煮干しは冷たい海域で獲れたもので味は濃く、そのぶん香りにクセもあるが、白煮干しの味に物足りないという人は、こちらを買っていくとか。かえり煮干しは、おもに瀬戸内で獲れる極小のカタクチイワシで、クセのないあっさりした味は讃岐うどんのダシにも使われる。

またアゴでも煮干しのほか、焼きアゴというものがある。これは煮て干すかわりに、焼いて脂を落としたものだ。手間がかかるぶん煮干しより高めの価格だが、香ばしい風味が味わえる。


ところで鰹節も煮干しも、気を付けたいのが湿気とカビ。だから冷蔵庫で保存したい。とくに鰹節は「1本で3〜5年近くは使えるので、料理する都度削って使うのが美味しく利用するコツ」と、小林店長は言っていた。



鰹節は沸騰してから

似たようなダシの素だが、鰹節と煮干しでは、ダシの取り方はずいぶん違う。

まず鰹節削りや花カツオ。水1リットルに対して40gが基本。花カツオでは、大きくガシッと1つかみといった感じだ。お湯が沸いたら鍋に入れ、それが沈んで再沸騰したら火を止め、3分前後でダシが出る。削り節はペーパータオルやガーゼ、サラシで漉してもいいし、菜箸で丸め取ったり、穴あきお玉で取ってもいい。もし香りを強く出したいなら、厚削りを使うといいし、味を濃く出したいなら鯖節や宗田節を使う、とは小林店長のアドバイス。ただし、鯖節、宗田節は、味は濃くなるが、若干臭みも出てくるから、このあたりは好みで使い分けたい。


 
鰹節(本節)のダシ取りの基本は、水1リットルに対して鰹節約40g。昆布と一緒に合わせダシにすると旨味がさらに増す。右は血合い部分を抜いて削ったお吸い物用

またダシを取った鰹節は、水気を取ってそのまま食べても美味しいし、鍋で乾煎りして醤油を少々加え、ご飯のふりかけにしても美味。



煮干しは水から

一方煮干しには水出しと煮出しと、ふたつのダシの取り方がある。

水出しは半日ほど水に浸しておくもの。煮出しは、鍋で水から10分ほど煮立たてるもので、このふたつの方法を併用する、水出し後に煮出しする取り方もある。

また、大きなカタクチイワシでは、はらわたの黒い部分に若干苦味があるので、事前にその部分を取ってからダシに使う方法もあるが、これは好みで使い分けたい。どちらにしても煮干しではカタクチイワシがダシは濃いが、青魚ゆえの臭みを感じる人もいる。そういう人には白身魚のアジやアゴがお奨め。カタクチイワシに比べるとあっさりとした味で、アゴは九州ではお雑煮のダシに、アジはラーメン店でよく使われているとか。

またこれら煮干しは鍋で乾煎りし、マヨネーズと醤油をあわせたタレにつけて食べると、オツなつまみになるので、1度お試しいただきたい。


   
カタクチイワシが煮干しの定番。大きな煮干しなら、はらわたの黒い部分に若干苦味があるので、ここを取ってダシにするといい(もちろん気にならなければそのままでいい)。カタクチイワシより臭みが少なくあっさり味なのがアジとアゴ(トビウオ)。ちなみにアジはそのまま乾煎りして食べても美味しい。どちらにしても煮干しのダシは魚料理より、味噌汁や野菜煮、雑煮などの料理に使われることが多いようだ(写真は左から、カタクチイワシ、アジ、アゴ)

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