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はじよう おやじ流手料理 案内人 深川 達哉 「懇切ていねいな調理動画で、誰でも簡単にできる魚料理
釣魚12か月  2006.10.18更新

12 ダシの基本 その1「昆布」

昆布商(株)吹田商店   吹田修一さん
大阪で創業、三井家、岩崎家など顧客のためにも東京に進出した昆布の老舗「吹田商店」(仮店舗)と吹田修一さん

昆布商(株)吹田商店:
東京都中央区築地4−11−1 電話03−3541−6931

料理の基本はいくつかあるが、そのひとつにダシ作りがある。いまは簡便な顆粒ダシもあるものの、昔は味噌汁を作る前にはダシの香りが台所から漂ってきたものだ。それも各家庭によって煮干、鰹節、昆布とさまざまだった。ではこれらでダシをとるとき、何を基本にすればいいのか。

まずは昆布から。東京・築地の昆布の老舗「吹田商店」の吹田修一さんにコツをうかがった。



旨味成分グルタミン酸の宝庫

昆布は日本独特の食材で、平安時代に食用として使われていたことがわかっているが、一般に普及したのは江戸末期から明治にかけて、北前船の船運によるところが大きい。食用はもとより、日本独特のダシの素材として急速に広がっていった。

なんといっても昆布は旨味成分であるグルタミン酸の宝庫で、これも高含有率の浅草海苔の3〜4倍近くもある。また昆布には生臭さを吸収する効果もあって、それを活かしたのがサバの押し鮨(バッテラ)などで使われる白昆布だ。白昆布とは、おぼろ昆布で削り取った後の、昆布の芯の部分で、これを酢に浸してから使うことで柔らかくなり、旨味を増しながらサバの臭みを消して、さらに保存期間を延ばす効用があるのだ。



ダシ取りは沸騰させない

まずは昆布ダシの取り方の基本。

水1リットルに対して昆布10p角(10g程度)を水とともに火にかけるが、その前に濡れ布巾で砂などの汚れを取っておく。鍋から取り出すのは沸騰直前で、それ以上煮出すとぬめりが出てくる。また丁寧にダシを取るのであれば、事前に水に1〜2時間浸けておくといい。また、グルタミン酸と並ぶ旨味成分のイノシン酸を持つ鰹節や煮干と一緒にダシを取ることで、旨味は相乗効果で増していく。



昆布の大敵はカビ

ダシを取った昆布はその使命を終えたかというと、そうではない。今度は美味しい食材になる。煮上がった昆布を小さく切り、そこに酢をかけて食べる酢昆布。また、水と酒、酢で炊いて柔らかくした後、醤油を加えて水分がなくなるまで煮詰めていく佃煮風調理。これはご飯、おにぎり、お茶漬けに合う1品となる。吹田さんによれば「どんな昆布でも全部ダシが出るし、全部食べられるが、その特徴で使い道は異なってくる」という。ただし生の昆布には味がない。日なたで干して初めて味が出てくるのだ。それも短時間で干し上がったものが美味しいが、そういう昆布ほど湿気を帯びやすい。そのため昆布の保存には充分に気を付けたい。

昆布の大敵は湿気と温度で、ここで発生するカビ(主に黄色のカビ)が旨味成分を食べてしまう(昆布に付着した白い粉はカビではなく旨味成分)。そこで冷蔵庫に保存したくなるが、それでは香りが消えたり、他の香りが付いたりするので、乾燥剤を入れた缶やファスナー付きビニール袋に入れておこう。



料理で昆布を選ぶ

ところで、ひと口に昆布といっても産地やブランド名がさまざまにあり、どれを選べばいいかなかなかわからない。まずは代表的な昆布の特徴を紹介しよう。


真昆布(山出し昆布):道南・函館周辺の海で採れ、ダシ汁が澄んで上品な味。お吸い物などに最適で、大坂地方で好んで使われる。塩昆布や佃煮、おぼろ昆布などの原料にも使われる。

利尻昆布:道北で採れ、塩味がかった味と、澄んで香りの良いのが特徴。京都では椀物や千枚漬け、湯豆腐などによく使われる。

羅臼昆布:知床半島羅臼沖で採れ、濃厚なダシが取れるが、香りにクセもある。身が柔らかいので、細切りをそのまま食べたり酢昆布などにしても美味しい。富山地方で好んで使われる。

日高昆布(三石昆布):日高地域で採れ、ダシ昆布だけでなく、昆布巻きや佃煮などオールマイティに活用される昆布。柔らかく味が濃いのが特徴で、関東地方でよく使われる。

長昆布:道東・根室、釧路周辺で採れ、煮上がりが早く、煮崩れしないので、昆布巻きやおでんなどの煮物に適している。沖縄ではこの昆布が魚料理などにもよく使われる。



最上級は「晴天二十日」の昆布

こうした昆布は、暖流と寒流に洗われて海中で2年育ったものだが、なかでも最上級は「晴天二十日」と呼ばれる物だ。夏の一定期間しか行なわれない昆布漁だが、なかでも夏の土用のころの20日間に採った昆布のことをこう呼ぶ。海も凪ぎ、天日干しに最適なこの期間にできた昆布は、朝取りの昼干しで作られ、さながら冬に揚がった近海の本マグロのような価値を持つ逸品。

今回お世話になった「吹田商店」では、この「晴天二十日」の昆布も入手可能だが、なにより料理に合った昆布を選んでくれるところが、おやじ料理の強い味方だ。


※次回の「料理のコツ! 13」は、 「ダシの基本 その2 『鰹・煮干など』」 です。


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