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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編第2ステージ 写真を愉しむ秘訣とは!? 第1回 モノクロ写真に挑戦
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モノクロームという言葉を辞書でひくと、単色で描かれた絵と書いてあります。モノクロ写真とは白黒写真のことです。写真にかぎらず、テレビも映画もすべてカラーが当然という今、なぜモノクロ写真かと思うことでしょう。

1839年に写真が誕生して、1935年にカラー写真が発明されるまで約100年もの間、写真はずーっとモノクロームの道を歩んできました。現在でもなお、写真の世界ではモノクロによる表現が確立されています。多くの写真作家が撮った優れたモノクロ作品が美術館に収蔵されるようになって、観賞する機会も増えてきました。モノクロ写真は静かなブームといってもいいでしょう。

そこで、写真を始めようとする人なら、モノクロ写真を撮ったことのある人もない人も、この機会にモノクロ写真の楽しさを体験してみていただきたいと思います。モノクロ写真の魅力を探ることは写真の本質を探ることなのです。

どこの家庭にもよくある父や母の古い写真アルバム、そこに貼られた家族の記念写真を眺めます。黄色く変色したそのモノクロ写真からは遠い過去の記録にとどまらず、眼には見えない季節感や色までも想像できます。

「後ろの柿の木にこんなにたくさん実が付いている。きっと秋だね。空の雲がきれいだ。秋晴れのいい天気だったんだ」とか、「父も母も服装からして何か特別な日だったようね。銀婚式の記念かもしれない。11月に結婚しているから。お母さんのワンピースが素敵ね。このレース、きっと藤色だと思う」など、こんな会話もあるでしょう。

しかし、これがカラー写真の場合はどうでしょうか。空の色も、柿の色づき具合も、レースの色もすべて色情報によってイメージは限定されて、それ以上に広がることはありません。色は受け取る側の経験や美意識によって好き嫌い、あるいは快不快などイメージを感覚的に、あるいは生理的に語りかけてきます。モノクロとは違った視点が生まれるのです。このように、モノクロ写真の魅力のひとつは、見る側の想像力を刺激し、被写体や風景の中へ入り込んで思索的な世界へ導いてくれることです。

さらに、白から黒への微妙なグラデーションが独特の美しさを表現していることです。

色を排することで、主題の純粋性と透明性が強調されるのでしょう。

 

若い時に趣味で写真にのめりこんでいた人は、自宅の押入れを暗室がわりにしてフィルムを現像したり、引伸機で大きくプリントをして、思いっきりモノクロ写真を楽しんだ経験があることでしょう。この暗室作業の楽しさもまたモノクロ写真の魅力です。

現在でもレンタル暗室などを利用して味わい深いモノクロプリントにこだわる人も多く、また初心者にも懇切丁寧な手ほどきをして無理なく楽しめるようなシステムができています。私もこんなデリケートで豊かなイメージの世界を棄てきれず、折々に暗室に通っています。

さて、優れたモノクロ写真に触発されて自分も撮ってみたいと思ったとき、デジタルこそ最良のお助けグッズです。むずかしいことを考えなくても気楽にモノクロが楽しめるのです。カメラにモノクロモードが付いているならそれを使って撮影するのもよし、パソコンの画像ソフトを使って撮ったカラー写真をモノクロに変換するのもよし、また、プリンターの設定を「モノクロ印刷」にしてプリントで楽しむこともよいではありませんか。

同じ写真でもデータの操作によって、従来の暗室作業と同様、好みの雰囲気に仕上げることもできるのです。デジタルモノクロの魅力をぜひ試してほしいものです。

作例1
データ不明
コダックトライX

雪国(越後湯沢)。深い雪の中にひっそりたたずむ民家、無垢で白い雪の世界こそモノクロにぴったりのモチーフである。
作例2
f8 1/125秒
コダックトライX

横浜山手の新興住宅街の一角。従来の山手の雰囲気とは違って下町的風景が展開している。
 

モノクロ写真の体験を通して、押しかけカメラマン氏は写真の本質を探り当てることができたでしょうか。

本質とは何か、この問いに明解に答えることはできなくても、これまでにない何かを感じ取ったことでしょう。

著名な作家のモノクロ写真を見ると、色眼鏡をはずし、技巧の装いを脱ぎ捨てて、被写体と向き合っていることを感じます。そこには丸裸にされた被写体が発するメッセージと、作者の被写体にこめた強い想いとが相乗効果となって、見る人に力強く語りかけてきます。

写真の本質とはおそらく、写真を見る楽しさを人の心に働きかけ、触発するものだと私は考えます。モノクロ写真は私たちにとって、そこへ行き着く道しるべとしてずっと存在していたのです。

●古屋光雄先生(大先生)のプロフィール:
写真家。1934年生まれ、山梨県出身。大学卒業後、会社勤務を経てフリーランス・フォトグラファーとなる。1976年、東京六本木に株式会社光スタジオを設立、コマーシャルフォト、エディトリアルフォトを中心に雑誌、企業の出版物、自治体の刊行物などで幅広く活動
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM + EF-S 55-250mm F3.5-5.6 IS USM
大先生:大先生:ニコンS3+ニッコールS 28mm F2.8、ライカM-6+ズミクロンM35mm F2
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