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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編第2ステージ 写真を愉しむ秘訣とは!? 第1回 モノクロ写真に挑戦
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  「モノクロ写真を撮ってみたいのですが、そろそろ撮ってもいいでしょうか?」
「モノクロ写真はむずかしいですよ」
「そう思います。でも、今まで我慢してきたのですよ……」
「おや、そうだったんですか! それでは、撮ってみましょうか」
「撮る前に、簡単な技術指導をお願いします」
「モノクロ写真は見た目と違って色がないので、明度だけを尺度として撮るのですが、これが慣れないとむずかしい作業です」
「ちょっと待ってください! 私は景色をカラーで見ていますが、プロカメラマンは景色を明度で見ているのでしょうか」
「私はそうですね」
「それは、修行時代にカラーがなかったからですか?」
「カラー写真が一般化したのは70年前後のことですが、その後も、モノクロ写真はとり続けています。歳の差だけではありません!」
「す、すみません……」
  「では、なぜモノクロを撮るのでしょうか?」
「モノクロ写真の表現力が高いからでしょうね」
「カラー写真のほうが情報量が豊かだと思いますが?」
「物理的な情報量はそうでしょうね。でも、情報量が多いほどいい写真ということではないんですよ。虹のように、色を見せる写真は別ですが」
「あれ? そうなんですか?」
「写真とは、コミュニケーションツールだとお話しましたが?」
「はい、でも、どうして?」
「伝えたいことや伝えたいものがあるときは、情報をすべて出すのではなく、選択し、強調しないと伝わらないのですよ」
「そうでしょうか?」
「モノクロ写真は、情報を整理することができるのです。簡潔に力強く」
「映像情報の力強さを表現するのに向いている、ということでしょうか?」
「そのとおり。モノクロには同時に、想像力を刺激するチカラもあります」
「よくわかりません……」
「今回は、カラーで撮って、それをモノクロ変換してみましょう。両方の写真を比較して、モノクロの力強さを体感してください。それが理解の近道です」
「は〜い! では、行きましょう!」
 
●恵比寿ガーデンプレイス
f10 1/500 秒
コメント
ガーデンプレイスの建物は石造りの趣があって、鉄骨やコンクリートがむき出しになっていないのでぬくもりが感じられる。ギリシャ様式風の装飾壁面の繰り返しパターンをやわらかな影の強弱で撮る。おだやかなたたずまいを表現しようと思い、遠近感の強い広角系よりやや長めの圧縮効果をねらった
講評
光と影をバランスよく配置した画面構成がうまい。光の状況をよく観察して捉え、表現力の強い作品に仕上げた腕前は立派です。
f11 1/400 秒
コメント
サッポロビール本社裏の花壇。黄色のユリがあざやかであったが、もちろん色はお見せできない。庭園入口のモニュメントの底部が八角形に光っていて、手前のユリと呼応してコントラストを強くしていた。カラーだとどうということのない写真だが、モノクロにすると味が出る景色があることがわかった
講評
手入れの行き届かない庭園の一隅、その淋しげな風情のなかで力強く咲く花の存在感と生命力を感じます。色を排したモノクロ写真にしたために訴求力の強い作品になりました。
f11 1/320 秒
コメント
ガーデンプレイス中央広場に向かう坂道。強い日差しを避けて日傘を差すご婦人が多い。六本木ヒルズやミッドタウン、汐留などと比べるとのんびりした風情が感じられるのは、建物の印象ばかりではなく、ネクタイ族がすくないからか。モノクロ効果は、路面の輝きと天蓋の暗さで表現できたようだ
講評
さまざまな人が行き来するゆるやかな坂道をパンフォーカスで捉えたのが効果的です。真夏の暑い昼下がり、一瞬時間が止まったような印象的な描写。アーチ状の天蓋やその奥の城らしき建物などがステージのセットを思わせて、味わいのある作品になりました。

f11 1/80秒

コメント
三越前の広場を俯瞰。やや暗い広場でくつろぐ人たち。そこから正面の坂道が向こうに明るく伸びていって、開放感がある写真になった。広場に露出を合わせたため、撮ったときはそれほど明度差があるようには思えなかったが、思いのほかモノクロ効果が出せたようだ。こういった効果は偶然の賜物で、これを意識して撮れるようになりたい
講評
映画のタイトルバックにありそうな写真でおもしろい。手前広場の雑然とした様子と奥にのびる街路の整然とした佇まいが対照的でこの写真に趣をそえています。
 
●六本木ヒルズ
f11 1/40 秒
コメント
蔦を絡ませたオブジェの向こうに雑誌を読む少女。まるでドラマのようなシチュエーションで、これは決まった! と撮った。だが、モノクロにしてみると写っているモノが同程度の明度で、ごちゃごちゃとうるさい印象になってしまった。カラーで見る写真とは大違いでがっかり
講評
気持はよくわかります。カラーとは違ったモノクロ写真の表現が少し理解できたと思います。撮りたい景色の中で、それぞれの色がどんなグレートーンで表現されるか、それを知ることが意図したモノクロ写真を撮る鍵になるのです。
f11 1/640 秒
コメント
けや木坂の道端のオブジェを逆光で撮る。奥のビルのガラスが夕陽に光り、車道の Audi が輝き、舗道の並木が長い影を落とす。適正露出より高速シャッターでかなりアンダーに撮る。いろいろな要素が明度差を盛り上げてくれたわりにはうるさすぎない絵に仕上がった
講評
低い逆光線が演出する光と影、よい時間帯に巡り合いましたね。情感をかもす街の貴重な一瞬が表現されています。直線と曲線をうまく取り入れた画面構成と遠近感を強調したレンズワークが効果的でした。
f11 1/60
コメント
毛利庭園の蓮を中央に広く写し、手前には空の映り込みをすこしだけ見せる池を配置し、奥にはうっそうとした暗い森を置く。主役は池の端でくつろぐカップルで、そこにピントを合わせたが、もっと大きく写しこんだほうがよかったのだろうか。人物はいつもこのくらいの大きさで撮ってしまう
講評
この場合はトーンのバランスや池のスケール感からして、人物の配置はよいと思います。花のない時期なので水面の映りをもう少し取り入れたほうがよかったでしょう。
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