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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編第2ステージ 写真を愉しむ秘訣とは!? 第1回 モノクロ写真に挑戦
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  写真を始めると、街のポスターやショーウィンドウに注目するようになる。カメラ雑誌や新聞の写真も気にかかる。そこで、いろんな商業写真がある中で、モノクロ写真が意外に多いことに気づいた。
モノクロ写真は見る人に強い印象を与える。写真展でもモノクロ写真が多い。関心が増すにつれて撮影データも知りたくなる。自分が撮るとすればどこで何を撮ればいいか、どう撮るかなど、いろいろ参考になるからだ。
それで最近、モノクロ写真を撮ってみたいと思うようになった。モノクロ写真はアマチュアカメラマンのあこがれなのだ。
 

押しかけ写真塾は、撮影地をあえて近郊から選び、その風景を撮影しながら写真の考え方を深め、技術の向上を図る試みで続けてきた。近郊を選んだ理由は、いつでも、誰でも撮れる身近な被写体を繰り返し見つめることで見えるものが変わってくる――言い換えれば、カメラアイを鍛えることに主眼があった。

そんな地味な風景にこだわらず、すこし遠出をして名所、旧跡、観光地を訪れて、それを手っ取り早く写したらどうかという考え方もある。だが、写真術の向上という観点からはどうだろうか。派手な被写体はいくらでもあるのだから、それを撮ればもっときれいな写真が撮れると思わないでもなかったが、被写体のきわだった美しさや観光気分に惑わされ、写真の深さや技術の向上につながるかどうかは疑問に思えてくる。だから、誰でも撮れる、いつでも行ける場所を選んだのだった。

恵比寿ガーデンプレイスの昼下がり(オリジナル) 2008.7.12
f11 1/320秒 
講評

カラーでもモノクロでも明確な意図はゆるがないこの1枚です。 ゆるやかな下り斜面を楽しそうに行き来する人たちの姿がいい。道の両側に整然と置かれた植栽の鉢、半逆光が描く長い影、開放感に満ちた道の雰囲気をうまく捉えました。乳母車を押す若い夫婦の姿がこの作画のポイントで、カメラマン氏の想いを込めたシャッターチャンスが読み取れます。しかし、右後方で仁王立ちになった男性の姿が気になりますが、この人物がいなければ構図のバランスは崩れてしまいます。スナップショットのむずかしさはそこにあります。

写真は結果がすべてです。作画のプロセスによって評価が変わることはありません。この冷酷さがチャレンジスピリットを際限なく熱くするものと言えるでしょう。快進撃をつづけるカメラマン氏にとって、ハードルはますます高くなります。いっそうの挑戦を期待します。

採点
今回からはすこし辛目に採点します
モチーフ
構 図
ピント
露 出
光の選択
レンズワーク
恵比寿ガーデンプレイスの昼下がり(モノクロ変換) 2008.7.12
 

挑戦編第2ステージは、表現力の練習と、写真の愉しみの幅広さを確認する6回シリーズで、第1回はモノクロ写真に挑戦する。

モノクロ写真とは単色写真のことで、一般には白黒写真をさす。デジタル一眼レフカメラにはモノクローム・モードがあって、白黒だけでなく、セピアや青、紫、緑の単色でも撮れるが、単色写真をカラー写真に戻すことはできない(カラー情報もほしいときにはRAWで撮っておかなければいけないので注意が必要)。

モノクロ写真は、じつはいつか撮ってみたいと考えていた。先生にいただいた写真「モンマルトルの風景」がモノクロで、居間に飾って飽きることなく見続けているうちに、こんな写真を撮ってみたいと思うようになっていた。若先生の写真展に行っても展示されているのはモノクロ写真で、モノクロっていいなあと、単純にあこがれていたのだ。

でも、モノクロ写真は作品の品質がよくないと陳腐になりそうで、そう簡単に実現できないのではないかと恐れていたのも事実だ。

モノクロ写真を撮ってみようと考えたきっかけは、お台場へ行ったときに撮った写真だった。

お台場の海岸 2008.7.2
 

この2〜3か月で、写真が変わってきたように思う。押しかけ写真塾を始めて15か月。その間、写真とまじめに取り組んできたつもりだ。だから、すこしは上達したのかもしれない。

景色を見る眼も変わった。景色の奥行きが見えてきたのと、被写体を照らす光の状況が見えてきたようだ。それに加えて、どう表現すればいいのか、その方法も考えるようになってきた。

眼が変わってきたと実感したのは、新宿を撮ったときだ。撮影を終えて家に帰り、画像ファイルを保存して、一覧で画面いっぱいに拡大してみると、1年前の写真とは明らかに違うことに気づいた。被写体を見て何をおもしろいと感じたか、何を撮ろうとしたのかが、写真を見ただけでわかるようになったのだ。

1年前の写真を見ると、どうしてこんな写真を撮ったのか、この風景を見て、どうしてシャッターを押したのかが自分でもわからない写真が多かったのだが、今回撮った写真は見ただけで意図がわかる写真が多い。

そうはいっても、撮った写真はあいかわらずピントが甘いし、露出ももうひとつ納得がいかない。写真としての完成度は稚拙で、こうすればよかったとか、どうしてこう撮れなかったかといった反省点も多い。だが、少なくともシャッターを押した理由は説明できるようになった。

 
●原宿〜表参道を撮る

今回の撮影はモノクロ撮影を前提としていたのだが、カラー情報を捨てるのがもったいなくて、カラーで撮影し、後にモノクロ変換の方法を選ぶ。ISOを400にセット。

f10 1/60秒
コメント
原宿で撮影を開始。朝の9時すぎ、シャネルの店舗の前。明るい舗道の左右に並木とやや暗いショーウィンドウのポップな飾り付けを配置し、若い2人連れを画面に入れて活気を出した。路面がとばない程度に明るくして店舗の中を見せる。ピントが甘い
講評
素敵なカップルを捉えましたね。表参道というおしゃれな街にふさわしい。街のスナップ写真の場合、登場する人物は大切な要素です。ウインドウのディスプレイの描写がモノクロのためすっきりしませんが、構図のバランスもよく素直な印象で楽しい写真です。
f10 1/100 秒
コメント
表参道ヒルズの裏通りには、新潟県の物産展。表参道は六本木ヒルズや汐留の無機質な構成と違って、血が通った泥臭さが見え隠れするのがいい。表参道ヒルズのロゴの壁面と日差しの強い裏通りの対比をほどよく表現したかった
講評
着眼のよさに加え構図がおもしろい。人物の立つ位置によって、さらに裏道の表情が生きたのではないかと思います。
f10 1/60 秒
コメント
原宿の裏通りで、店の前に並ぶ頑固なオヤジ猫と潤んだ瞳の奥さん猫の石像。風車を従えて来客を歓迎するかのようなユーモラスな表情がほほえましい。こういう風景があるから裏通りはおもしろい。細工せず、正面から素直に撮った。左右に風車があったが、両方入れるとうるさくなるので右をカット
講評
ユーモラスな猫の夫婦の挨拶に、スーッと肩の力が抜けて気分が癒されます。理屈抜きで楽しい写真です。店の主人はどんな人でしょうか。
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