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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編第2ステージ 写真を続ける力とは!? 第6回 レンズワーク
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  カメラの目は人間の眼が見たとおりには写ってくれない。それをおもしろいと感じるか、困ったと感じるかによって、写真の楽しみ方が変わってくる。
写真塾では当然おもしろいと感じたいわけで、今回はレンズの特性を活かした撮影術を追求してみよう。
広角レンズから望遠レンズまで、レンズの種類が多ければ多いほど、写真のバリエーションがそれなりに広がって、見た目と違う写真が撮れる。その違いを意図的に取り入れて自分のイメージに沿った写真に仕上げていくことができれば、写真の楽しみ方がもう一段上がっていくはずだ。
 

望遠レンズや広角レンズの特性をほどほどに理解し、使い分けようという意識をもったのは今年になってからだろうか。

自分の撮った写真のピントの甘さに嫌気がさし、もっと厳密にピントの合った写真を撮らなければいけないと心に決めた。それからはボケ味のおもしろさの誘惑を断って、できるだけ絞ってパンフォーカスに近い写真をねらった。カメラブレしないようにしっかりと構え、呼吸を整えてシャッターを押すよう心がけた。

パンフォーカスをねらい始めると、別の課題が表れてきた。広角系のレンズは、ピントは合わせやすいが広角特有のパースペクティブ(遠近感)が強調されるので、その使いこなしにとまどう。近くの被写体は30cm〜50cm近寄っただけで極端に大きくなる。また、広角レンズは広範囲を写すので、何を写さないかも画角決定の重要な要素になる。

いろいろな制約があっても、広角レンズは肉眼では見えないおもしろい映像が撮れるし、写真に想いが込められそうな気がして、だんだん好きになってきたのではないかと思う。大先生は常々、広角が好きといっているし、若先生もそうだっだ。で、私もそれに倣って広角系を多用してきた。

望遠系を敬遠した理由は、被写体の訴求ポイントの強さの1点にねらいを定める写真にあまり関心が湧かないからだ。もうひとつ理由があって、ピントが弱点の私にとって、望遠系のレンズがピントの精度をきびしく求めることだ。これは逃げていることになるのかな?

自宅から見た小金井の空 2008.2.29
 

写真を撮るときには、見たままに写ると思ってシャッターを押すことが多い。だがそれは勝手な錯覚で、ほとんどの場合、撮った写真が眼で見たとおりに写っていることはない。

見たとおりに写せないのは、人間の眼がとても高性能で、意識の中で見たい景色だけを選択したり、見たいものにピントを自動的に合わせる一方、レンズにはそういった働きがないから、そこに違いが出てくるのだ。

人間の眼とカメラのレンズの特性の違いを忘れてしまうとか、その違いに対処できないのは初心者が陥りやすい盲点といえる。

人間の眼は、広角35mmから中望遠約135mm(35mm判カメラの焦点距離。以下同様)くらいまでの間はパンフォーカスで、どこでもピントが合うし、見たいところをクローズアップするなど画角が自由でフレキシブルに対応できるが、カメラはどこでもピントが合うわけでもないし、見たい範囲を見たままの景色で忠実に再現することもできない。

 

では、カメラ用レンズの特性はどうなっているのかというと、人間の眼より遠くをクローズアップすることができるし、広範囲を写すことができる。だが、それは専用のレンズを使ったときで、すべてに万能の汎用レンズはない。

  そこで、写真を撮る際は撮りたい写真分野専用の各種レンズを使い分けることになる。

一般的なレンズは標準系のズームレンズで、28mm〜135mmくらいの焦点距離をカバーするレンズが適当だ。28mm〜135mmくらいの焦点距離だと、見た目とほとんど変わらない映像が撮れるのも使い勝手がいい理由となっている。

28mm以下の短焦点レンズ(超広角レンズ)になると、パースペクティブがきつくなって、手前の被写体が拡大されたり、高い建物や木が垂直に写らないが、合焦範囲は深くなってピントは合わせやすい。

135mm以上の長焦点レンズ(超望遠レンズ)になると、被写体のクローズアップ効果が強くなり、前後の距離感が圧縮されて見た目と違う景色になるが、合焦範囲は浅くなってピントは合わせにくい。


レンズの効能は以上のとおりだが、使いこなしという観点で考えると、どんな写真にしたいか、というイメージが大切になってくる。効能がわかったうえで、レンズ特性の効果を写真表現に活かす方法を考えるということだ。

同じ被写体を見て、こう撮りたいとか、こんな写真にしたいという絵づくりの構想は、「あ、きれいだな、パシャ!」という段階から、「何に感動したかをきちんと把握する」自己確認の段階を経て、「その感動をどう伝えればいいか、その方法は何かを考える」創造性発揮の段階にきたといえる。

手段がわかっても、それを実現させる技術はまだ身についていないが、少なくとも、進化の道筋は確認できたというところだろうか。

 
●小金井公園内の江戸東京たてもの園

レンズワークの実習に先駆けて、近所の小金井公園で自習。江戸東京たてもの園は江戸時代から昭和初期にかけてのさまざまな建造物が移築された、いわば建造物の博物館だが、できるだけ生活感を出す試みがあって、往時の生活を偲ばせるイベントも随時開催されている。 ISOは200にセットして撮影

焦点距離21mm(35mm換算で34mm 以下同様)f9 1/40秒
コメント
園内に展示される大砲を前景に、昼下がりの老夫婦のおだやかな語らいの景色を撮る。明治維新の遺物を広角レンズの特性で強調。ピントを大砲の先端に合わせたが、もう少し後ろにして、画面全体をパンフォーカスにすべきだったか
講評
手前が大きく奥へ行くにしたがって小さくなる、広角レンズの特徴を活かした構図ですが、面白味はあっても伝える内容はやや希薄です。
焦点距離28mm(45mm)f8 1/40秒
コメント
日本の近代建築の発展に貢献したという前川國男さんの自宅。広い切妻屋根と白壁が郷愁を誘う。中学生くらいの若者が3人、熱心に写生していた。図画の時間だろうか。建物全体を画角に入れると広角レンズのパースペクティブが気になるので、歪まない程度にフレーミングした
講評
緑の中に黒い木造のどっしりとした構えが美しい。白い障子(漆喰)が眼にしみるようだ。移築され保存されている建物と思えない自然な佇まいに癒されます。手前の人物も全体の雰囲気を妨げず温か味を添えましたね。私も一緒にベンチで眺めたい。
焦点距離44mm(70mm)f11 1/320秒
コメント
小金井公園から帰るとき、いつも気にかかる邸宅。あざやかな色彩と棕櫚が不思議な空間をつくっている。これまでは建物だけを撮っていたが、今度は棕櫚を取り入れてみた。周囲の雑多なモノが写らないようにフレーミングして、リアリティが出せそうなほぼ標準の焦点距離にした
講評
建物の青い色と棕櫚の組み合わせがエキゾティックな味わいがあっておもしろい。さすがに、何回も眺めている被写体だけにしっかりした構図です。光線状態や適正な露出とともにレンズワークの良さが、優れた表現効果につながりました。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
光の選択
レンズワーク
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