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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編第2ステージ 写真を続ける力とは!? 第5回 光のとらえ方
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今回は「光のとらえ方」です。被写体に当たっている光の状態をよく眺め、自分が求めている最適の光を掴めれば作品は完成したも同然です。

それでは、自分にとって「最適な光」ってどんな光なの? という話になります。私たちは日常、朝から夜までさまざまな光の状態のもとで暮らしています。晴天の日もあれば、曇りや雨の日もあります。

身近な草花のひとつひとつに眼を向け、日や時間を変えて眺めていると、太陽の向きや色味によってその見え方は一様ではないことに気づきます。<庭先に落ちている葉の上の露> <夕焼けの空をゆく鳥たちのシルエット> <旅の車窓から見た草原の輝き> <逆光に映える紅葉>など、どこかで一度ならず見た印象的な光景ですが、すべては光が演出するすばらしい表情によって見る人の心を捉えるからです。

自分が求める最適な光を選ぶためには、光の方向や、質、色について基本的な理解をしておくことが大切ですが、これについては挑戦編第3回「光の方向と質感の描写」で学習しました。再度読みかえしてほしいと思います。
その上で被写体と向き合ってみてください。目の前に広がる光景がどんな光線状態で見えているのか、シャッターを押す前にちょっと考えてみます。
「この景色も悪くないが、早朝の光ならどう変わるかな? でも、夕方の赤い光のほうが私のテイストに合いそうだ」などとイマジネーションを働かせ、頭の中で光と遊んでみてはどうでしょうか。

仮に、現実がそのイメージと違った光景になっても失望することはありません。数々の失敗が成功につながるのです。それはプロも例外ではなく、常に自分にとって最適な光を探し続けているのです。

作例1
データ 不明

夜明け前の渚、光はまだない。寄せる波が薄明かりの空をうつす幻想の時間
 

日本には四季があります。季節や時間によって現れる限りなく多種多様な光が、私たちの生活に潤いを与えてくれます。光は太陽のめぐみです。毎日の生活の中で光が描くさまざまな表情をよく観察して、お気に入りの光を心の引き出しに溜め込むことです。

意図した作品を撮る際に、あらかじめ最適な光を読むことができれば、あなたの写真は今以上に深く、見る人の心を捉えるものとなるでしょう。光のコントロールとは、引き出しの中にデータベースとして蓄えられた、あなたなりの好みの光をうまく活かすことだと思います。太陽を自分の都合で動かすことなどできないのですから。


また体験談になりますが、「光へのこだわり」について、プロとして認識の甘さを痛感したある時のことを忘れることはできません。

40年以上も前のことです。わたしは映画監督の市川崑さんの撮影にスチールカメラマンとして同行し、真冬の越後湯沢ロケに行きました。撮影は大部分順調に進みましたが、空を描写するシーンが撮れません。とくに天候が悪いわけでもありませんが、来る日も来る日も監督はOKを出しません。私を含め20人ほどのスタッフは全員、為す術もなくコタツに入って待つばかりでした。映画の撮影現場を知らない私は状況が理解できず、それとなくスタッフの一人に、撮影ができないわけを聞いたのです。

監督は、光の状態と空の色、雲の姿が自分のイメージに合わない、妥協できない、と言われたそうです。私はそのとき、プロの世界の厳しさをひしひしと実感し、自身の認識の甘さを反省したのでした。

この体験を糧に、私はプロとして妥協のない作品づくりに取り組むことを心がけています。ここに添付した2枚の作例写真は、そのような妥協なしの心意気で撮影した光と海の表情です。

作例2
データ 不明

日の出の色は黄金色、ブルーグレイの空に雲がピンクに輝くドラマティックな一瞬
●古屋光雄先生(大先生)のプロフィール:
写真家。1934年生まれ、山梨県出身。大学卒業後、会社勤務を経てフリーランス・フォトグラファーとなる。1976年、東京六本木に株式会社光スタジオを設立、コマーシャルフォト、エディトリアルフォトを中心に雑誌、企業の出版物、自治体の刊行物などで幅広く活動
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM + EF-S 55-250mm F3.5-5.6 IS USM
大先生:CANON EOS 1+EF 70-200mmF2.8L
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