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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編第2ステージ 写真を続ける力とは!? 第5回 光のとらえ方
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  順光は撮影の常識として誰でも知っている。逆光は強いイメージがあるのですぐわかるし、影が出ていれば光の方向を気にしないわけにはいかない。
だが、順光か逆光かサイド光か、その方向はわかるとしても、それがいい光なのかよくない光なのかを判断していないことが多い。
光は被写体の表情や色彩を良くも悪くもする。もう少し待てば光線の状況が好転するはず、あるいはもっと左(右)や上(下)からならいい光になるという判断――光の予測は、じつはとてもレベルの高いもので、被写体を精密に見る訓練を積んで得られるものではないだろうか。
というわけで、今回は「光のとらえ方」がテーマだ。
 

写真は光の芸術といわれる。写真を撮る作業では、いつも光が重要なポイントになる。写真とは、光のコントロールがすべてといっていいのかもしれない。私自身も、写真を撮るときにはもっとも気を配らないといけない要素だと考えるようになってきた。

ところがこれまでの写真では、光の重要性がわかっていておろそかになるのではなく、まったく気にしていないことが常だった。実際に撮影する段階になると、被写体の状態の観察とか構図づくりばかりに関心が向き、光線の具合を見ることまで考えが及ばなかった。結果としてうまくいったことがあっても、光をコントロールして写真を撮ったのではなかったのだ。

写真を撮る際に、主要な被写体と全体のフレームは気にするが、中心と枠の間への気配りがおろそかになっていると以前書いた。それと同じで、そのときの中央部を占める被写体の露出は気にするけれど、表情や色彩を決める光の具合にはまったく無頓着で、もっといい光をさがすとか、もっと好ましい状態になるまで待つことなどなかったのだ。

被写体を見る眼が粗野なうえに、速くシャッターを押すことに心がはやって、光を見るゆとりがもてなくなるようなのだ。

光については、挑戦編第3回で「光の方向と質感の描写」講座で教わった。それ以来、どの方向から光が射しているかを見るようにはなったが、方向を確認するだけで終わってしまい、光の質の判断――被写体の光の具合がいいか悪いかを判断するところまでいっていなかった気がする。

江戸東京たてもの園(小金井市)にある江戸時代中期の農家 2008.3.29
 

先生は撮影の際、「光の具合はどうかな?」とつぶやくことが多い。独り言が多いわけではなく、私に聞かせるためにそうつぶやいているのだろう。

そのつぶやきを聞いて私は、「……そうか、光か! そういえば……光線の方向は? 被写体に射す光は適切だろうか?」と考え始める。

以前の講座で学んだことは、光には方向性があって、それが被写体の質感描写に影響する。だから、質感を表現するために被写体をよく見て、いきなりそのまま撮るのではなく、被写体の表情や色彩をもっと引き出すための光があるかどうか、最適なポジションを探す努力をしなさいということだった。

写真を撮る際の「いい光」とは何だろうか?

光は、コントラストの強弱と考えるとわかりやすいかもしれない。強い光は被写体をあざやかに力強く見せるが、明度の幅が大きく影が強く出るので、露出には細心の注意が必要になる。弱い光は力がないが、明度差が小さいため影が出にくく、フレーム全体をおだやかにまとめ、細部を明晰に表現してくれるメリットがある。どちらを採用するかはカメラマンの好みの問題だ。

もうひとつは、時間差だ。光はいうまでもなく太陽光線なので、刻々と陽射しの状態が変わる。その変化を先読みし、もっといい光がくるのを待つこともできる。撮影ポジションを変えて最適な光の方向を見つけることもできるし、構図を決めてその構図に最適な光になるまで待つこともできる。

いい光とは、ポートレートや風景などの被写体を見て、それを「自分が撮りたいイメージで表現できる光線」ということができる。だからこそ、自分好みの光をさがしたり、待ったりする。

肝心なのは、絵づくりのイメージなのだ。被写体を見て、構図を考え、被写体に最適な光線の状態をさがす。いいかえれば、撮りたい写真のイメージが固まっているから、そういったプロセスを踏んで、撮りたい色や露出を待ち、はじめてシャッターを押すことができるのだろう。

 
●新宿副都心を撮る

新宿駅西口一帯は、私が学校を卒業した70年頃に副都心として建設が始まったと記憶している。まだ浄水場が残っていた中に、高層ビルの先駆けとなる京王プラザホテルが開業し、その後、高層ビルが続々と立ち並び始めた。それからざっと40年。その間に私は就職してリタイアしたことになる。

新宿西口は今、どうなっているのか。昨年ちょっと新宿を撮ったが、それから私のカメラアイは変わったのか。今回の撮影には2つの確認事項があった。

レンズは標準〜望遠ズームの使用を想定し、2本使う。望遠使用でシャッタースピードを速くしたいのでISOを200にセット。

f20 1/250秒
コメント
傾き始めた午後の陽射しが2つのビルに反射して光る。手前の鏡のオブジェは異次元の曲線を映して、ビル街に無機質の空間を造っていた。太陽の反射がきれいに写るよう露出を調整
講評
太陽の光が2つのビルにうまく反射するアングルをみつけてフレーミングしたのが功を奏しました。ビルの高低差や奥にあるビルの建造物としての不思議な印象、全体に直線で構成された画面に鏡に写る歪んだ映像が対照的でおもしろい。光を効果的にとらえた秀作です。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
光線の選択
f10 1/200秒
コメント
都庁の広場は半円形で、円形部にはブロンズの彫像が等間隔で並ぶ。焦点距離が18mmでパースペクティブがきつくなると、幻想的な空間になってしまう。ブロンズ増の輪郭が浮き出て、中央の議事堂と空が白くとばないように露出をセット
講評
明暗差を生かし、主題をシルエットで表現した画面構成がうまい。彫刻の姿に動きがあって画面に情感がでてよかったですね。このようにシルエットでの表現も光の捉え方の手法としてよく使われます。お手本にしたいような作品になりました。
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