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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編第2ステージ 写真を続ける力とは!? 第4回 シャッターチャンス
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  シャッターチャンスとは、一般的には写真の決め手となる「決定的瞬間」と理解されている。
だが、UFOやツチノコと偶然、出くわすことでもなければ決定的瞬間にめぐり合うはずがないし、報道カメラマンではないので事件やニュースなどの現場に居合わせることもない。
たいていのアマチュアカメラマンは、そういう写真を撮りたいとも思わないだろう。
撮影の「瞬間」ではなく、まず、撮影の場所に自身を置き、時間的な流れを読む「大きな時間」の選択と、シャッターを押す際に光線の具合を見るとか、通行人を画面にどう配置するかとか、の精密な構成を考える「小さな時間」の選択の2つがあると考えれば、シャッターチャンスが写真を良くも悪くもする要素だと気づくはずだ。
決定的瞬間をとらえた写真は、その場にいて初めて撮影することができる。その場所で時間の流れを読み、最適な瞬間を切り取る作業がシャッターチャンスなのだと考えたい。
 

私は写真入門書を読んだことがないので、上達の道を遠回りしているかもしれないが、写真塾を始めてからは、先生と話しながらテーマを決めてもらい、自分の考えをまとめてそれを先生に披露し、修正して、実写するという方法でやってきた。そういった意味では、シャッターチャンス、翻訳すれば「撮影機会」をお膳立てしてもらってきたといえる。

シャッターチャンスは一般には事件やニュース写真、スポーツ写真などの撮影の決定的瞬間と考えがちだが、撮影の現場にいると、そうそういいめぐり合わせになるとは限らない。

私たちが毎回撮っている写真は、「場所を決めて何時ごろから撮影」というプロセスだが、これでは、その場所の最良の写真を撮ることはできない。もちろんそれは想定内であるが、だからこそ、あの場所で、今度はこういう時間に、こういう天候の下で撮ればこんな写真が撮れるはずだという欲が出てくる。

たとえば、大きな時間的なチャンスとは、朝焼けの空を背景にしてこの建物を撮りたいとか、朝もやの中にたたずむ釣り人を逆光で撮りたいとか、撮りたい写真のイメージを固め、その現場に身を置くことがそれにあたる。

一方、ここに人がいるといい写真になりそうなので通りかかる人を待とう、と考えるのは小さな時間的チャンス。対象の変化のプロセスを推測し、その現場でいくつかの撮影条件を最適に配慮していくときは、一般的にいわれるシャッターチャンスと考えたほうがいいだろう。それが小さな時間的なチャンスだ。

お台場の朝焼け 2008.01.10
 

シャッターチャンスには、空間的なチャンスと時間的なチャンスがあると考えることもできる。以前に多摩川で夕焼けを撮り、お台場で朝焼けを撮ったが、これも場所と時間という2つのシャッターチャンスの選択と考えられる。

その2つを一致させようと苦心するのがカメラマンの習性なのだが、そんなに恵まれた条件が揃うことはない。

だから、現場に行って撮影する行動を無駄にしないために、シャッターチャンスの最適化を求め、ロケハン(下見)をする。空間的なシャッターチャンスを計画的に作り出し、次の偶然性の高い時間的なチャンスを待つわけだ。

こうした一連の撮影前の準備作業は、写真を撮りなれているカメラマンなら撮りたい写真、撮れそうな写真のイメージを固めているからこそ考えられることなのだが、写真を始めた頃の私には考えも及ばなかったことだった。

私の写真術は今、そういうことが考えられるところまで成長したのだ。そう思うと、なんだかうれしくなってきた。

 
●相模川で鮎の解禁を撮る

今回の撮影は、6月1日の鮎の解禁日に合わせて相模川に行く。前日まで雨が多い天候だったので、ひょっとすると靄がかかった夜明けの幻想的な景色が撮れるかも知れないという期待があった。もちろん、夜明けから日の出の時間帯の色を撮るのもねらいだ。

相模川流域は古屋大先生が熟知している場所なので、釣り人が集まって景色のよさそうな穴場に案内していただく。

ロケハンは終わっている段階なので(私にとっては始めての場所だが)、行き当たりばったりのいつもの撮影より、ちょっとはましな写真が撮れるかも知れないという予感があった。

川幅が広く、釣り人が遠いので望遠ズームを使用。ISO感度を200に設定する。

f8 1/125秒 ISO 200
コメント
相模川の橋桁の白い映り込みを背景に、釣り人を待つ明け方のボートを撮る。6月の濃い緑に囲まれた静けさが表現できただろうか
講評
画面全体の渋い緑の色調の中、流れに映る橋の白いゆらぎが動きを感じさせます。手前と左奥のボートなどの配置もよく、静かさ、すがすがしさが表現された。構図、露出、色彩効果に配慮したよい作品です。

f8 1/250秒 ISO 200

コメント
おだやかな流れに釣り糸を垂れる釣り人。輝く水面と映りこみで画面にコントラストをつけた。朝の光は川との相性がいいので、写真表現には格好のテーマだ
講評
川面を横切る眩しいほどの光の帯と、その帯の上に立つ釣り人の姿が、合成写真のような不思議な雰囲気を盛り上げています。タモの青い映りも幻想的で、作者の着眼のよさが光ります。人物の姿にもっと緊張感のあるチャンスを狙いたかったですね。
モチーフ
構 図
ピント
露 出
表現力
光線の選択
シャッターチャンス
f9 1/250秒
コメント
川の流れと溜まり水の対比が美しい。流れの速さに応じて空がさまざまな色に映りこんで、画面に変化をつけてくれた。点在する釣り人をどう配置するか、ポジションを変えて撮った
講評
早朝の川のすがすがしい空気感とともに奥行きのある画面構成で表情ある川の姿を捉えています。水の澄んだ青色がとくに印象的で、点在する人物の配置もよく、心が癒されます。
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