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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編第2ステージ 写真を続ける力とは!? 第1回 1年間の進歩を判定する
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●写真塾が目標とするところ――総合評価

押しかけ写真塾がめざすところは、写真を趣味に選び、それによって楽しく幸せな人生をおくることです。あるいは、写真が好きで、もっといい写真が撮れるようになりたいと思いながら、そこからさきに進めず留まっている愛好家の背中をポンとたたいて、歩き出す手助けをすることです。

では、押しかけカメラマン氏はどうなったか? 

塾を始めて1年経ちました。彼は足早にかなり多くの学習を重ねてきたので、講座の消化不良を起こしているのかなと気になりますが、写真を撮って歩く姿は楽しそうに見えます。

今回は彼の1年のあゆみを検証し、次のステップへの足がかりを築いてみたいと思います。


●感動を受け止めるために心の窓を開けておく

写真とはなにか感じたコト、なにか感じたモノを写すことですから、なにも感じない対象を写真にすることはできません。これは写真をやる人はみな同じです。押しかけカメラマン氏は、感動を画面に写すという写真の意味を理解し、納得し、上達への努力を惜しまない。これは彼のすぐれた資質でしょう。

最近の彼はまた、カメラを持たないカメラマン(モノを見る視線が写真的)になったりして、わたしを喜ばせてくれます。ところがカメラマン氏の頭の中には憲法のようなものがあって、「これはオレには向いてない」と決めつけて、撮らないことが多いのではないでしょうか? 

向き不向きはおのずから決まっていくものですが、決めるのはまだ早い! もっと貪欲にいろいろなモノやコトを写してほしいものです。

感動はいつ、どこから、突然やってくるかもしれません。そのために心の窓はいつも開けておきたい。感動した心を直感的に写し取って、伝える。この喜びを大切にしたいものですね。


●押しかけカメラマン氏はどのくらい進歩したか――項目別評価

写真はだれにでも簡単に楽しめるという手軽さがある一方で、たいへん奥の深いものです。経験を積んでいくうちにそれなりのレベルに応じた目標を持って楽しめる。それが写真のおもしろさであり、奥の深さでしょう。撮る人のセンスや感性と写真の知識、技術がうまく噛み合っていい作品が生まれるのです。

今回は、見る人を感動させる1枚の写真が、どのような要素で構成されているのか、そのエキスを項目として並べました。そしてその項目についてカメラマン氏1年の成果をみていきます。

達成度の目安は5段階評価、★の数で示します。各項目のレベルを、[できない][ほぼできる][できる][よくできる][とてもよくできる]、とします。たとえば、★★★★☆ならば、[よくできる]という評価です。

評価項目 判定 講評
着想・着眼点 初々しい、しびれます
被写体の状況をみる精度 ファインダーで決める前によく見る
シャッターチャンス もっと直感的に
背景の選択と描写 よく考えています、この調子で
フレーミング もっと体を動かして
画面構成と構図 縦の構図がうまくなった
光のとらえ方 これからのテーマです
露出 上達度が著しい、もう安心
レンズワーク ズームレンズも多種を使う視点で
ピント 写真の要、カメラのホールディングも要

●写真を比較して進歩を検証

ゼロからスタートした1年生はこの1年間で驚くほどの上達ぶりです。

彼が撮った作品の中から初期のものと直近のものを見比べたら「う〜ん、すばらしい!」と納得できます。2年目はこの白い☆がいくつ解消できるでしょうか。ハードルはますます高くなりますよ。

直近の作品
f4 1/125秒 ISO 400
コメント
赤い実と新芽と葉に差す光。春の息吹が聞こえるような写真を取れたのではないかと思う。 暗かったのでISO400で撮る
講評
自然の中のちいさな一部に着眼した秀作です。地味な画面に赤い実をそえ、葉を照らすリズミカルな光が巧みな構図で表現されています。このようなイメージの描写は画面全体の明るさが決め手になりますが、その点露出の選択は適正で意図がよく伝わります。
初期の作品

直近の自然科学園の写真では、評価項目のすべてについて高いレベルを保っています。テクニックが向上したため、写真の表現力は単に自然の描写にとどまらず、作者の心象風景にまでイメージを高めています。

これに対し初期の作品は、ピントや背景の描写に甘さがあって、感動のありかが問われます。しかし、これはいま評価するからであって、当時のカメラマン氏が全力投球した作品なのです。

最近の作品(A)
以前の作品(B)

どちらもモチーフは桜と水ですが、完成度の違いは明白です。
(A)は満開の桜と波ひとつないお濠の水面を、清々しい朝の光によって捉え、時が止まったような静寂感を表現しています。フレーミングやレンズワークの良さが作者の意図を明確に伝えます。

これと比較して(B)の作品は、晴天の美しい景色であることは十分想像できますが、主役が何か、作者の意図がよくわかりません。目の前の景色を漫然と切りとった感じになっています。

以上2つの例でカメラマン氏が1年かけて培った作品づくりの考え方やノウハウのすばらしさが見られます。次の1年が楽しみです。

●撮ったら見せる、見てもらう

誰でもよい、とりあえず身内でもよい、まず自分がとった写真をみせて、「どうですか?」と聞いてみましょう。

写真に込めた自分の意図がうまく伝わらなくて、苛立ったりあせったりすることもあります。そんな経験の積みかさねが「もっといい写真を撮りたい」という意欲につながるのです。

そして、それ以上に大切なことは、立場がかわって仲間の写真をみせられた時に、相手の気持を温かく受け止められるようになることです。

プロ顔負けの機材を担いで、修行僧のように家庭もかえりみず、ひたすら写真にのめりこむのがカメラマンの模範だなどと勘違いしてはなりません。一緒に暮らす妻にたまにはアクセサリーのひとつもプレゼントする、そんなあたりまえの生活者であってこそ、写真を通じて楽しい人の輪を広げ、幸わせな人生を過ごせるのだと思います。

これが1年を一緒に歩いてきた押しかけカメラマン氏へおくる講師からのメッセージです。

●古屋光雄先生(大先生)のプロフィール:
写真家。1934年生まれ、山梨県出身。大学卒業後、会社勤務を経てフリーランス・フォトグラファーとなる。1976年、東京六本木に株式会社光スタジオを設立、コマーシャルフォト、エディトリアルフォトを中心に新誌社の出版物、企業のPR誌、自治体の刊行物などで幅広く活動
●使用機材 :
生徒:CANON EOS 40D + EF-S17-55mm F2.8 IS USM + EF-S55-250mm F3.5-5.6 IS USM
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