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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
実践編第2ステージ 写真を続ける力とは!? 第1回 1年間の進歩を判定する
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  「1年間撮ってきました。撮りたい写真が撮れるようになりましたか?」
「最初のうちは、1年くらい修行を積めば撮りたい写真がわかってきて、そこそこは撮れるんじゃないかと思っていました……」
「それで?」
「でも、今は目標がはるかに遠のいた感じです」
「どうしてそう思いますか?」
「初めのうちは、写真は詰まるところピントと露出の組み合わせなのだから、カメラ操作に慣れさえすれば露出もピントも自動化されたカメラがやってくれる。だから、そうむずかしくないはずだと高をくくっていました」
「そんな気がしていましたよ、いつわかるかなと思いながら。わかるのが意外に早かったですね」
「いやあ、お恥ずかしい限りです」
「カメラマンなんて、簡単な職業だと思っていませんでしたか?」
「カメラがよくなったので、素人とプロの垣根が低くなったんじゃないかとは思っていました」
「それで自分がどう変わったと思っていますか?」
「自分でもおどろいているのですが、モノを見る目が精密になってきました」
「わかっています。写真にそれが表れていますから」
「それに加えて、モノを知らないことがわかってきました。木の名前も花の名前もわかりません。雲の名前も知らないし、花びらの構造もわかりません。特徴がわからないから、特徴をとらえたそれらしい写真が撮れないのです」
「それこそが進歩の前兆です。知識がなければ人に伝えられません。知らないことを実感して、そこから進歩が始まるのです」
  「最初のころ、こんな写真が撮りたいといっていましたね。ねらいどおりの写真が撮れるようになりましたか?」
「撮りたかった主題は、懐かしい風景――わたしの場合は里山と農村の風景、光と影、それからちょっと大げさですが、文明のたそがれでしょうか」
「それはまた、かなり観念的な主題ですね。それで、撮れるようになりましたか?」
「いいえ、とてもとても。道のりは遠い感じです」
「撮りたい主題を決めてしまうのはまだ早いのではありませんか。もっとからだを動かして、いろいろチャレンジしてみれば、新たな主題が見つかるかも知れませんよ」
「そうかもしれませんね。それに、もうひとつ心配があります」
「それはなんですか?」
「自分の撮る写真、ということは写真にこめた自分の想いが、人に伝わるかという不安です」
「誰かに写真を見せて、なにかいわれたのですか?」
「いえ、ほとんど見せていません。まだ見せられるほどの写真が撮れていないので」
「そんなことはありません。レベルに関係なく、身近な人に撮った写真を見せて感想を聞くのはとてもいい勉強になるものです。一生懸命撮っているのはたしかですから、何かが必ず伝わるはずです」
「そうですね。人の感想を聞いて、それを写真に反映させることも必要なのですね。恥を忍んで見てもらうことにします」
f8 1/125秒 ISO 200
コメント
純白の花を咲かせるコマツナギ(駒繋)という桜の大木。桜花をくっきりと奥行きをもたせ、フレームいっぱいに撮りたかったが、ピントが甘い。手ブレかもしれない
講評
シンプルな背景に画面いっぱいにひろがる桜、シャープに描写できていれば力強く説得力のある作品になったのに残念ですね
f8 1/80秒 ISO 200
コメント
桜木が何重にも重なり、咲き乱れる様子を撮りたかったが、うるさい印象になってしまい、主題が何かはっきりしない。ピントは前から1/3くらいに合わせ、パンフォーカスをねらった
講評
気持はとてもよくわかります。晴天の強い光があればコントラストのある狙いどおりの作品になったでしょう。色彩的にも同じような桜色が手前から奥の山まで重なっています。曇天の光ではパンフォーカスで撮れたとしてもインパクトのない作品になってしまうでしょう。
f9 1/100秒 ISO 200
コメント
桜の薄いピンクの中に萌黄色の若芽が混じる美しい様子を撮りたかった。やはりパンフォーカスをねらったが、ピントが甘い
講評
季節の移ろいをうまく切り取って表現しました。桜のピンクと新緑のコントラストが美しい。晴天のつよい光があればもっとインパクトのある作品になったでしょうが、やや平凡な仕上がりになったのは残念です。この作品の意図からして、パンフォーカスでなくてもよかったと思います。
f9 1/100秒 ISO 200
コメント
満開のヤエベニシダレ(八重紅枝垂)。八重桜の豊満な花びらの迫力をフレームいっぱいに表現しようとした。もっとパンフォーカスにしたかったが、これもピントがやや甘い
講評
狙いどおり迫力満点の枝垂桜です。画面構成、露出もよかった。奥を犠牲にしても、もうすこし手前にピントが合うほうがよかったですね。あくまでパンフォーカスにこだわるなら、絞り値は16〜22を選択することになるので(ワイドレンズなら8〜11でOK)三脚が必要かもしれません。またシャッター速度が遅くなると風にも配慮しなければなりません。そのくらいの努力をしても撮ってみたいすばらしい被写体ではありますね。
f9 1/125秒 ISO 200
コメント
山あいに桜の木が川のように流れていた。ややアンダーにして、濃い緑と白い桜のコントラストをヨコ位置でねらった
講評
いい景色を捉えましたね。着眼のよさが光ります。曲線を描いて流れ落ちる桜花の滝を連想します。とても自然が作り上げた景色と思えません。被写体の魅力を引き出すためには次の写真のように大きく切り取るほうが意図も明確になります。
f9 1/125秒 ISO 200

コメント
これはタテ位置。構図としてはこのほうが主題をよく表現できていると思う。空がもっと青かったらどんな写真になったのだろうか
講評
コメントのとおりです。主題を大きく見せたのでディテールもよくわかり、作品性が強くなりました。床の間に飾られた美しい日本画を眺めている気分にさせてくれます。晴天の光があればさらに立体感のある立派な作品になったことでしょう。
f8 1/125秒 ISO 200
コメント
里山の風景。山吹の鮮やかな黄色を前景、小川の蛇行を背景に配置できるよう、撮影ポイントを探して撮った
講評
なつかしい里山の自然をイメージした作品。山吹の黄色が季節感を演出して美しい。背景の蛇行した小川が画面に変化をつけています。しかし、作者の温かい視線は感じとれますが全体の雰囲気はインパクトのない平凡な作品になりました。
f8 1/125秒 ISO 200
コメント
池に散った桜の花びらを主題に、桜花のピンクの映りこみと雑木の映り込みを配した。右下の太い幹の映りこみの角度と大きさのフレーミングに苦心した
講評
花筏と水に映る細い雑木のマッチングがいいですね。季節の移ろいをうまいフレーミングで切り取った作者の感性が光っています。着眼のよさとすっきりした画面構成で意図が明確になりました。
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