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我が家のベランダで、君子蘭が盛りを迎えている。
「きれいな花だね。なんという名前?」そう問われた妻がビックリしてわたしの顔を見た。
妻が長年育てていて毎年目にしているはずなのだが、今年になるまで気づかなかった。当然、名前など聞くこともなかった。
空や雲の表情、季節の移ろいもよく観察するようになった。夜空はただ暗いばかりと思っていたが、暗さにも段階がありさまざまな色があるし、晴れていれば雲も見える。夜明けの空はとくに美しい。薄明かりから朝焼けに変わるころ、地平から次第に空いっぱいに赤味が増していくさまは、何度見ても飽きることがない。
樹木や花もよく見るようになった。
花の色や木肌の色は、晴れた日は光と影のコントラストが美しいし、曇った日はやわらかな光が回って細部まで見せてくれる。
モノを見る目という観点で振り返ると、目に映る画素数が10倍になったくらい、見えるようになった。
細かいところに目がいき、注目できるようになると、撮るものが変わる。真実は細部に宿っていることがわかってきたのだと思う。さらに、主題だけでは物足りなくなり、想いをつたえるために前景や背景を利用しようと考えるようになった。
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