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写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編 写真の心にチャレンジする! 第6回 画面の構成とフレーミング
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  「同じ被写体をねらっても、写し方で写真がガラッと変わりますね」
「構図とフレーミングを分けて考えていますか?」
「同じじゃないんですか? どう違うのでしょうか?」
「構図というのは、初級編第1回でおさらいしたとおりで、理論があります」
「もっとわかりやすく説明してくださいませんか」
「誤解を恐れずに大胆にいうと、構図というのはバランスや方向性といった力学、フレーミングというのは何を表現し、伝えるかという意味論の世界です。わかりますか?」
「構図はわかりますが、フレーミングがわかりません……」
「構図は、画面としてまとめるテクニックです。あなたはどうしていますか?」
「構図を考えるとき、わたしは重さのバランスを考えています、左右、上下の。空きスペースがあって重さがアンバランスになると、そこに方向性が出てくるので、動きが表現できると考えています」
「そうですね。構図はしっかりわかっているようですね」
「でも、フレーミングが……」
「それじゃあ、あなたが撮った写真で説明しましょうか」
f14 1/320秒 ISO 400

コメント
千鳥ケ淵の交差点から半蔵濠の土手の桜と菜の花を撮る。ここは撮影の名所のようで、カメラをぶら下げた人が列をつくって順番に撮っていたが、どんなフレーミングをしていたのだろうか
講評
すばらしいフレーミングですね。空の青、ピンクと黄色、色の対比が美しい。背景を省き、被写体だけに絞り込んだ画面構成によって狙いが強調されました。構図、レンズワーク、色彩効果の優れた作品です。
f14 1/320秒 ISO 400

コメント
これは遠く見えた国会議事堂を入れて撮った1枚。説明的になって、写真に力がなくなった気がする
講評
説明的というよりも視点がぼけてしまいます。「いま国会で皇居の桜が問題になっているのかな?」などと作品の意図からそれて主題が曖昧になります。背景はあくまで主題を盛り上げるものでないといけません。
  「どっちがいい写真だと思いますか?」
「どっちといわれても……、背景に議事堂が写っているほうが説明的ですね」
「議事堂を撮りたかったわけじゃないでしょう」
「はい、桜と菜の花が主題です」
「それなら、議事堂は何のために必要なのでしょうか?」
「千鳥ヶ淵の写真だとわかるといいと考えたので……」
「千鳥ヶ淵の桜と菜の花は、他の場所の桜や菜の花と違うといいたいのですか?」
「いや、そういうわけじゃないんですが……」
「コメントにあるとおり、議事堂を画面に入れることで主題が弱くなっています。でも、大部分のアマチュアカメラマンは議事堂を入れて撮るでしょうね。説明不足になるのを恐れてね」
「それでは、上の写真のほうがいい写真なのでしょうか」
「桜と菜の花と春を表現したかったのなら、余分なものを省いた上の写真でしょう」
「それがフレーミングということなのですね!」
「そうです。そのうえで、構図を決めていくのです」
「わかりました! 撮った本人が意識していませんでした」
「整理すると、フレーミングとは何を表現しようとしているか、それをわかりやすく限定して伝えるテクニックということができます」
「クローズアップの写真がそれなんでしょうか?」
「クローズアップや望遠系のレンズでは、被写体のよさを引き出すことがねらいになります」
「そうですね」
「一方、広角系のレンズは写るものが多いので、被写体と作者の関係をいかに見せるかがポイントです」
「どう感じているのかが問われることになりますね。むずかしいなあ……」
「まあ、そういわずに撮ってみましょう」

●井の頭公園〜北の丸公園〜千鳥ヶ淵

桜を追って都内を歩いてみた。小金井公園には水がないので、井の頭公園で池と桜を自習。どちらもカタチのいい桜の樹がないので、水を取り入れた組み合わせ写真になった。
こういう条件下ではフレーミングが問われるに違いない。

千鳥ヶ淵では55−250mm(35mm判換算で88-400mm相当)の望遠ズームを使ったので、手ブレを防ぐためISO400にセットした。

f7.1 1/160秒 ISO 200
コメント
水面に映る桜を撮りたくて、井の頭公園に行く。早朝池は波も静かで、人影もまばらであった。ただ鴨が泳ぐだけ。主題は池に映る空だが、桜もきれいに撮りたい欲張りな写真
講評
池を覆いつくさんばかりの満開の桜が水に映って美しい。緩やかな波が映りを滲ませ変化をつけています。池を広く取り込んだフレーミングは開放感あふれる春の一瞬を表現しています。被写体の状況をしっかりと把握して捉えたよい作品です。
 
f8 1/250秒 ISO 200
コメント
水面に桜が映ってほんのり色づいている様子を撮った1枚。公園内はで混雑し、まともに撮ると花見客の宴会風景やビニールシートが写るのでそれを避けた
講評
水の表情に焦点を当てた画面構成がとてもよかった。ここでは桜は水の引き立て役にまわっています。冷静な視線を感じます。
 
f5.6 1/250秒 ISO 200
コメント
水と桜をどう表現したらいいか、悩んだ末の1枚。水面に映る空の青を残しながらアンダーにしていったが、露出が決まらずに何枚も撮ってしまった
講評
水に映る桜が水面の動きで様々な文様を描く、それを背景に桜を配置した画面構成は見る人を詩情溢れる世界へ誘ってくれるでしょう。すてきな1枚です。被写体の状況をしっかりとみつめて作り上げた様子がうかがえます。レンズワーク、シャッターチャンス、着想、着眼のよさが光ります。
 
f10 1/125秒 ISO 200
コメント
靖国通りから北の丸のお濠の桜を撮る。朝日に輝く斜面の桜と、目の前の暗い桜を対比させて奥行きを出そうとした。露出の幅が広く、水面が広すぎるので、なにか変化がほしい。目の前の桜だけをボカして、斜面の桜と遠景のビル群をシャープに写し、構図は左をすこしカットすれば画面に力が出たか
講評
時間が止まったような静かな画面ですね。広いステージの中、スポットライトを浴びて輝く満開の桜がドラマの始まりを予感させる。物語性のある作品です。フレーミング、露出の選択もよくできています。
 
f14 1/160秒 ISO 200
コメント
田安門を背景にした桜。光がさしているところとまだ暗いところを対比させる。下草の緑と菜の花の黄色がアクセント。空の比率を工夫した
講評
朝日をうけて輝く満開の桜が立体的に表現されてきれいです。背景の切り取り方も適切で、斜めに取り入れた桜の存在感を盛り上げています。画面構成、レンズワークが光る立派な作品です。
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