おとなのたまり場 > いつでもbon vivant > もういちどカメラ > 押しかけ写真塾
写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編 写真の心にチャレンジする!第6回 画面の構成とフレーミング
  1 2 頁
  1年撮り続ければそれなりに腕は上がるに違いないとがんばってきた。写真のおもしろさがわかってきたのは半年を過ぎたころからだろうか。
写真の上達よりもっとおどろいたのは、風景や周囲を見る目が変わってきたことだ。空模様やまちの様子、行き交う人々、森や植栽など、周りの風景が自分と無縁ではなく、深く関わっていると感じられるようになってきた。
それを画面にどう表現したらいいのか。今回は挑戦編の最終回なので、フレームづくりをとおして考えてみる。
 

春になるとが撮りたいものがいろいろあらわれる。木の芽がいっせいに膨らみ、色とりどりの花が咲き、光が明るく雲がやわらかなカタチになると、あちこち出かけるのが楽しくなった。

写真塾を始めて1年になる。写真塾の連載も初級編、中級編、実践編、挑戦編とステップアップして、4シリーズ24回になったので、1年で何が変わったのかを振り返ってみたい。

写真は瞬間の芸だとか、シャッターを数打ちゃいい写真が撮れるとか、いい加減な俗説があって、それを半ば信じていたように思う。

シャッタースピードが1/125秒とか1/60秒とか、撮影という行為はきわめて短い一瞬の動作なのでそう思いがちだが、それは大きな間違いであった。撮影時間は短くても、撮影に入る前に「どう撮るか」という設計図を丹念につくらなければろくな写真にはならないことが少しずつわかってきたのだ。

具体的に変わった点を上げてみよう。


1.シャッターを押す回数が減った。ろくな写真にならないことが事前にわかるようになった。
2.見た景色やモノにいきなりカメラを向けて、すぐ撮ることがなくなった。どう撮るか、このポジションが最適かどうか、考えるようになった。
3.ファインダーの情報が見えるようになった。絞りやシャッター速度、露出補正ゲージを確認するようになった。
4.画面の中をぐるっと見渡す余裕が出てきた。
5.カメラの操作がスムースにできるようになった。
6.周囲の状況に注意深くなり、景色を見る目が変わった。光線や陰影の具合とか、美しいモノ、きたないモノが目に入るようになった。

数え上げていくとレベルの低いことばかりで、そんなこともできなかったのかと嘲笑されそうだが、それが事実だ。

 

この写真塾は毎回、テーマにふさわしい場所を決めておよそ半日実写し、その後、写真を見ながら先生に写真塾を開いてもらっている。

訪れる場所はたいてい初めての所で、いい撮影ポイントがどこにあるのか予備知識がない。カメラをぶら下げてうろうろしながら、手当たり次第に撮るというスタイルを続けてきた。

当然、天候、空模様とか、時間帯や光線の向きとか、その場所で撮影できる条件が揃っているわけではない。いわばロケハンだ。

こうして撮った写真は習作と呼ぶべきだろう。習作の撮影を1年続けてくると、心に残る撮影ポイントがいくつかあって、もう一度あの場所へ行き、こんな条件で撮ってみたいと思うようになった。いよいよ作品に昇華させたくなってきたのだ。

 

この1年間は、カメラとレンズの話題にはほとんど触れなかった。写真のよしあしを機材のせいにしたくなかったのだ。プロとアマチュアの違いは使用する機材・道具が違うのが一般的だが、カメラの場合はほとんど同じものを使う。腕や作品のよしあしを機材のせいにできない数少ない分野だ。

先生の機材はEOS 5Dで、わたしは当初EOS KISS。KISSのボディが小さくて手の中で遊ぶので、機能に不満があったわけではなかったが、ほどなくEOS40Dに変更した。イメージセンサー(CMOSセンサー)がEOS 5Dは35mmフルサイズ、EOS 40DはAPS-Cサイズで焦点距離が1.6倍になるので、レンズの画角が変わるのは仕方がない。先生は常用レンズEF24-70mm、わたしは同等品のEF-S17-55mm(35mm判カメラ換算で28-88mm)を常用とした。

●春の最大のイベントは桜の撮影〜小金井公園で自習

春になれば桜、と撮影の相場は決まっている。桜は撮影がむずかしい被写体だが、さいわい撮影ポイントは近くにたくさんある。今回は気合を入れて小金井公園、水と桜が撮れそうな井の頭公園、都市の風景と皇居が背景になりそうな北の丸公園から千鳥ヶ淵の3か所を選んだ。

f2.8 1/1600秒 ISO 200
コメント
青空を背景に桜のクローズアップを絞り開放で撮る。右側と左側の桜の花をくっきりと写すために撮影位置をさがし、樹の幹が花と重ならないようにした。もちろん手ブレにも注意し、速いシャッター速度を選択
講評
青い空と白い桜、朝のすがすがしい空気感が捉えられています。ストレートな花の作品ではなく、状況を描写することでイメージが広がりました。着想、光線の選択、フレーミングに配慮の行き届いた秀作です。
f10 1/640秒 ISO 200
コメント
桜を撮るのはむずかしい。花をクローズアップで撮ると淡いピンクがなかなかいい色にならないし、樹木全体を写そうとすると、いいカタチの樹が少ない。薄いピンクと黒々とした樹皮の組み合わせは適正露出がさがしにくい。桜の花の塊と空とを大胆に組み合わせてみた
講評
桜のボリュ−ム感と対角線の構図がシンプルで力強い。空に少し表情があってよかったですね。画面構成と色彩効果が光る作品です。
f9 1/250秒 ISO 200

コメント
朝の陽ざしが長い影をつくっていた。桜の樹だけではしまりのない構図になりそうで、影を大きく取り入れた絵づくりにする
講評
着想はよかったですよ。画面のバランスでは影の部分が強調されて、主役である桜の美しさが弱くなっています。この場合は露出をマイナス補正で桜の立体感を強く表現できたらよかったですね。
f7.1 1/250秒 ISO 200
コメント
公園内の小金井市総合体育館の壁の鏡面に映りこんだ桜を撮る。ワイドレンズのパースペクティブを活かし、非現実的な世界を表現してみた。空の青が残る程度に絞り、壁面の桜にピントを合わせる
講評
着眼のよさで勝負ですね。現実の桜と虚像の桜の対比がおもしろい。壁の曲線で画面に動きが出てよかったが、左の壁の途切れが気になるフレーミングです。カメラの視野率による結果ならばトリミングで修正しましょう。
f9 1/125秒 ISO 200

コメント
江戸東京たてもの園の堀割。公園に行くたびに撮るのだが、なかなかいい写真が撮れないでいた。静かな水面に青空が映り、桜が色気を添えている。絞りこんで全体をくっきりと見せて、早春の朝のやわらかな雰囲気が描写できただろうか
講評
堀割の鏡のような水面に朝の静かな佇まいが表現されています。水の中に並んだ菖蒲の鉢が画面の奥へ視線を誘導してくれますが、そこにある景色は魅力的なものではありません。橋の少し上くらいでフレーミングしたら狙いが絞られたのではないでしょうか。
  次のページを読む
「もういちどカメラ」トップへ戻る
TOP