おとなのたまり場 > いつでもbon vivant > もういちどカメラ > 押しかけ写真塾
写真で綴る自分史 もういちどカメラ 藤森元之

押しかけ写真塾 藤森元之 プロフィール
挑戦編 写真の心にチャレンジする!第5回 背景の選択
  1 2 頁
  写真を撮るとき、美しい景色や有名な建物などを背景にしたスナップ写真を撮りたいと、誰でも考える。
だが、どんな背景をどこからどこまで画面に入れるかを考えるのがせいぜいで、どう入れるかはあまり考えていないものだ。
では、どうすればいいのか。主題と背景の関係をはっきりさせるような背景の処理には、基本となる考え方がなにかあるに違いない。
今回は一足早く春を迎えた南房総のお花畑に遠征し、その実験をしてみる。
 

「南房総に、菜の花やポピーを撮りに行きませんか。きっと、きれいな黄色が一面に広がっているでしょうね」 そういって先生を誘惑し、今回は電車に乗ってはるばる南房総を訪れた。東京でも梅が終わった後、あちこちでいろんな花が咲き始めている。各地で桜の開花情報もそろそろ聞こえ始めた。
写真を始めたのは昨年、遅咲きの桜が散り始めたころだったから、ほぼ1年になろうとしている。

1年たって、私の写真術は進化したのだろうか。日常的な行動の中では、これはきれいだとか、ここは写真に撮りたいとか、こう切り取ればいい画角になりそうだとか、気分は典型的な写真愛好家になっている。だが、目標とする気持ちのいい写真が撮れるようになっているのかと自問すると、はなはだ心もとない気がする。気持ちのいい写真が撮りたければ、そういう主題を探して、画面に気持ちよく写すことができなければいけないのだろう。

写真は心を映すといわれる。私の写真はまだとてもそんな段階ではないのだが、ひとつだけ思い当たることがあった。それは、画面の中のジャマモノに気づいていないということだ。
最近、「アングルとポジション」、「背景を画面にどう取り入れるか」という2つのテーマで写真を撮ってみて気づいたのだが、主題の周辺の枯れ枝やゴミが写っていたり、写したくない看板や道路標識が入っていたり、主題を表現するうえでジャマなものが写っていることが何回かあって、それに気づいたころからぼんやり意識し始めたことだった。

私の写真は「気づきさえすれば除外して撮るのに、見えていないものがあるから写っている」ことをしっかり表現している。ファインダーをのぞいていながら見えていないのだが、写真には写っているものがあるということだ。いいかえれば、主題だけしか見ていなくて、画面全体をつぶさに見ていない結果が写真に表れている。ファインダーをのぞいているが、見えているのは真ん中と画面の枠だけで、主題と外縁部の中間が視野からスポッと抜けていている。全画面を細かく確認していないのだ。

背景の選択とは、技術的にはさまざまなテクニックがあると考えられるが、それと同じくらい画面を精査して、表現上無駄なものはないかよく調べるプロセスを重視したい。

今回は、それを意識しながら南房総の撮影に取り組んでみよう。

 

 春をさがしに南房総を訪れた。明るい日ざしの中に菜の花の群落があざやかだ。千葉の田んぼや畑は広めの雑草地が境界になっているところが多く、それがのどかな田園風景を演出している。撮影地は南房総市和田浦〜白浜〜千倉へと、海岸線を南に向かう。

f7.1 1/200秒 ISO 200
コメント
和田浦駅近くの小学校で撮影。駅舎にもこの小学校にも南房総ならではの巨大なフェニックスが並んでいる。校舎とわかる程度にボカし、背景とした。南国気分が表現できただろうか
講評
着眼のよさとユーモラスな構図が魅力的です。カメラポジションをうまく選びながら背景の描写まで考慮しているのは立派です。
f5.6 1/640秒 ISO 200 露出補正-0.67
コメント
房総白浜の屏風岩にたたずむカモメをスポット測光。明るめの海の色で春の海ののどかな風景を表現した。淡い空の色が背景
講評
入り江に緩やかに寄せる波の表情が美しく描かれています。岩の上のカモメがワンポイントの魅力となってこの画面に温かさを加えました。時間がゆっくりと流れていくようなのどかな春の海です。無駄を排したバランスのよい構図が画面を引き締めました。
f5 1/1600秒 ISO 200 露出補正+1
コメント
南房総の海岸沿いはどこもかしこも花摘みの観光客でにぎわっている。遠く、海と空がぼんやり見える程度の絞りを選択
講評
満開のお花畑と花摘みの人たちの冬姿がおもしろいコントラストです。人物の配置など部分的にまずいところもありますが、空、海、人家など盛りだくさんの要素が詰まっていて眺めていて楽しくなります。早春の季節感が描かれたユーモラスな光景です。この場合は背景をボカさずパンフォーカスにしたらさらに説得力のある作品になったでしょう。
  次のページを読む
「もういちどカメラ」トップへ戻る
TOP